女子高生剣士の私が異世界に転移したら大変なことになった 第一部

瑞樹ハナ

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賢者アーヴィン

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賢者様に会う為に、と通された円形のお部屋は、セクハラ大将軍が昇って行ったのとは真逆の階下にあり、半径10メートルほどの空間だった。
地下だから窓も何もなく、壁に取り付けられた12本の松明の光が揺らめいてる。
一緒に居るのがライディール様じゃなかったら、変な意味で身の危険を感じてしまうような密室だ。
勿論、無人。
「あの、賢者様は……?」
ライディール様を見上げ尋ねる。そういえば賢者様って聖都にいるんじゃなかったっけ?
「まもなくです。こちらに」
ライディール様は私の手をしっかりと握ったまま、部屋の中央を見据えて動かない。
──そして、部屋の中央に光が生まれた。
これは、嫌な感じこそしないものの、あの魔物を生み出す光と同一だ。
しかし、光の中から何かが出てくる気配はない。
「さあ、参りましょう。中に入れば、そこは聖都です」
じゃあこれは、異開門とは違うの?
ガチで乗りたくない絶叫マシン搭乗前レベルの怖さがあったけど、ライディール様に強めに抱き寄せてもらって、一緒に足を踏み入れる。
「!?」
踏み込んだ足が、ふわりと浮いて……そして揺るやかに降る。
周囲は光。オーロラのような光が幾重にも揺らめき踊っている。
その中を、運ばれているのか、落ちているのか。
風は感じないし、髪も舞い上がらないし、スカートも揺れない。
ただ、光が近づいてきてるのがわかる。
あの光が、出口なのがわかる。

「……!!」

脳裏をかすめる光景。
私はここを通った事がある。
──道場。
開いた引き戸。
神棚。
目の前に立つ男。
抱き寄せた日本刀。
(いや!やめて!)
脱がされていく衣服。
恐怖に動けず、なすすべもなく裸にされる私。
強い力で突き飛ばされて床に倒れる。
私を見下ろす男が自らズボンを降ろして、怒張した男性器を取り出して、扱きだす。
それを口で受けろと命令され、私は──。
光に飲まれる。
自分の輪郭も消えて無くなるような、真っ白な光。
私は、どこか高い所にある部屋······塔の最上階に立っていた。
あの恐怖を追体験したせいで、ちょっと震えてる私の肩を、ライディール様が支えてくれている。
見渡した円形部屋の広さは丁度、光りの中に入った部屋と同じく半径10メートル程の広さ。
半球状の天井とそれを支える周囲12本の柱があって、壁はなく、展望台の様にこの世界をパノラマで見る事が出来た。
足元にはうっすらと水の張った、大理石質の床。
所々に、ほぼ水面と変わらない高さの正方形の渡り石があって、私達はその一つに立っている。
空が近い。
雲の流れが速い。
「······ようこそお越しくださいました」
そこで私達を待っていたのは、白髪でワンレンロングな男性。
年齢は30代くらい。
彼は基本的に西洋風な文化で成り立っているこの世界で、どこか和な感じの、剣道着と袴を彷彿とさせるローブを身に纏っていた。
その双眸は閉じられていて、杖をついていて、出現した私達の気配に反応したかのような素振りを見せる。
あ、この人のは盲目の……?
「賢者アーヴィン様、でしょうか……?」
私の質問に、彼は静かに頷く。
その時、一際強く風が吹いて、私のスカートが舞い上がった。
「ムッ!」
その男性は、糸の様に細い目を彼が出来る限界まで見開き、機敏な動作で首の角度を調整して、私のスカートの中へと視線を送る。
サッ。とスカートの裾を押さえる私。
パタ。と瞼を閉じる彼。
目、見えてる……じゃないの……。
これが賢者アーヴィン?本当にぃ~?
私は思わずライディール様を見てしまう。
「賢者アーヴィン様、如何でしょうか?」
ライディール様が言葉少なに彼に尋ねる。この娘は聖者でしょうか?との意味だろう。
賢者と呼ばれた男は深く頷いた。
「この女性を聖星の加護が包んでいます。強い。とてつもなく……」
彼は私に向けて右手をかざす。
その掌で、何かを感じ取っている。
彼はそのままこちらに歩き、その手の平が、当たり前みたいにぼよんと私の胸に触れた。
そして1回揉む。
私はぴょんと飛び上がる。
「おお……やはり、大きい、見事な……」
アーヴィンはうんうんと何度も満足げに頷いている。
賢者様……?それ加護の力とかってののお話ですよね……?
これで私は聖者確定、なの?
その聖星の加護がある事が、私が魔物ではない理由に、そして聖者である確実な証拠になるの?
ライディール様は、まだ不安を残している私の顔を見て、力強く頷く。
「さあイズミ。聞きたいことがあれば、このお方に」
聞きたいこと……。
私は死んでいるの?
元の世界に帰れるの?
どうしてこの世界に来たの?
聖星って?加護って?
なぜ私なの?
私はここで何をすればいいの?
これから私はどうなるの?
様々な疑問が頭に浮かぶ。
賢者アーヴィンは、私のおっぱいを触ったまま。うんうんと頷いている。
その手をじりじりと、乳房の重さを受け止めるように下側方に動かしつつ、親指で乳首に触れてくる。
そしてふにふにと二回続けて揉んだ。
「わかりました、お答えいたします。私が知る全てを」
「え?」
あれ?もしかして、通じてる??
「はい」
賢者はふわりと微笑んだ。
これ、心の声が駄々洩れっていう奴?!
私失礼な事考えたりしなかったよね!?
あ、でももうおっぱいは触ってなくてもよくない?
と思った途端、彼の手が私の胸からサッと離れた。
この人を信用しても……いいのかな……。

私はこれから、この世界の真実を聞くことになる。
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