女子高生剣士の私が異世界に転移したら大変なことになった 第一部

瑞樹ハナ

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幕間 北スラムの王

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スラム街北 王の寝室

北スラムの王クロードは、スラム最大勢力の長として、三十年の長きに渡って君臨してきた。
その齢は六十に近いが、彼は配下の誰よりも強かった。
強さの理由はいくつもあるが、まず挙げる必要があるのが身長は2メートルに迫り、体重は100キロを超す巨躯。
全身筋肉の鎧で覆われており、その腕力は素手で敵が振り下ろす剣を掴み取り、へし折ることができた。
次に、彼の体に刻まれた大小無数の傷が雄弁に物語る戦闘の経験。
暗殺者として育てられた彼の最初の殺人は6歳の時だ。無手の子供と油断した騎士二人の首をへし折った。
それから彼はその身一つで、数え切れない程の命を奪い続け、ありとあらゆる武器を使う敵と戦い、その全てをねじ伏せてきた。
第三に、その暗殺の技法。
男が身に着けた徒手格闘術は、組み付き絞める。投げて殴って折る。魔物との戦いが闘争の中心にある世界で、それは人を殺傷するためのものであり、あらゆる状況に対応できる武術として完成されていた。
最後に、残忍さ。
今、彼の脚元には、幾人もの裸の女が身動き一つせずに横たわっている。
「来い」
クロードは部屋の隅で震えている女に命令する。
しかし、彼女は腰が抜けて動けない。
彼は立ち上がり、のしのしと歩き、「ひぃ」とか細く悲鳴を絞り出した女の髪を鷲掴んで引きずり、ベッドへと投げ入れた。
ベッドの上にも、複数の……。
それらと目を合わせた女は、全身を氷付かせた。
「四つに這って尻を向けろ」
他の犠牲者達に行われた獣以下の蛮行を知る彼女には、命令に背く選択肢も、命令に従う選択肢もない。
女が震えたまま動かないのを見て、唾を吐いた暴君はその背後に迫り、彼女の脇腹に両手を添えた後、握りつぶすように持ち上げ、ドスンとベッドの上に胡坐をかく。
内臓を痛め、口から血を流している女の身体を、己の威きり猛って股間から真上にビンと突き立つ、血濡れた馬の様なペニスに突き刺すように振り下ろした。
乱暴な性交などとも到底呼べない一方的な蹂躙。
声も上げられなくなり痙攣する女の身体を、自らの股間を刺激するためだけの物として扱い、持ち上げては叩きつけ、持ち上げては叩きつけ、そのスピードが速まり、クロードは性的快楽に醜悪な顔をグロテスクに歪めた。
「むふ!」
北スラム王が達すると同時に、寝所に部下が入ってくる。
元より扉は開け放たれていた。
「ほうこくしまーす。ってボス、ま~たそんなに。偶には俺達にもお下がりをくださいよぉ」
へらへらとした態度でやってきたのは、剣を背にした、目つきの悪い黒髪の男。
彼は、今しがたクロードが玩具として消費し終えた女の髪を掴んで首を持ち上げ、その顔を見る。
「あーあー。もったいねぇな」
クロードは傷だらけのスキンヘッドから湯気を上げながら、酒瓶を手に取り、それをガブガブと飲み干して放り投げた。
「昨日の西の闘技場……例の凄腕女とやらはどうだった?」
「あ~りゃバケモンです。正直、真正面からでは勝てねぇな。敵になるというなら苦労させられるでしょう」
男は報告しつつ、ボスが投げた酒瓶を拾い、逆さにして振り、「ちぇっ。一滴も残ってねえや」とボヤいて彼の王へと向き直った。
「だからこそ、俺にやらせてくれ。ボス」
「何が考えがありそうだな」
クロードはその部下へ、お前の考えていることは分かっているぞと言いたげな笑みを返す。
「如何に剣の腕が冴えようと、所詮は女ですよ」
黒髪の剣士は、悪友同士で笑い合うような下品な笑みを零した。
「どんな女だ?」
「そっすねぇ。まあ美人じゃないですかね。あとチチとケツと態度がデカかったすね~」
「生かして俺の前に連れてこれるな?」
部下に釘を刺す北スラム王の赤眼には、欲にまみれた狂気が宿っている。
「ええ~!ボスに渡したらすぐ壊しちまうじゃないですか~」

男はキャキャキャとけたたましく笑った。

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