女子高生剣士の私が異世界に転移したら大変なことになった 第一部

瑞樹ハナ

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零れだす地獄

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「イズミ!!」
フェリクスが客席にいる。
その声が聞こえる。
「な、なんだよ!イズミがいるんだよ!」
あの子に、綺麗だと私を褒めてくれるあの子に、汚い私を見せる訳にはいかない。
たとえ、本当の私がどれほど汚れていようとも。
「うう~っ!」
私の中の悪い私を跳ね除ける。振り払う。
気持ちいいのなんて、後で思いっきりオナニーするからいいもん!!
ベランダオナニーくらいのすっっごいやつやっちゃうんだからね!!!(泣)
私の心はここに決まった。
強い心で……コイツに勝つ。
もう、スラムの戦いでもなんでも巻き込んでもらおうじゃないの!!
そうよっ。負けてなるものか!おじいちゃん、力を貸して!
腰に差した日本刀の柄をぎゅっと握りしめる。
巨大イソギンチャクの大きさは、昨日の1.5倍ほどはあるだろうか。
ヴィクターは、多分、マルドゥークの性格を踏まえて、私の相手がこれになると分かっていたのだ。
異形の淫魔は身もだえを始める。それが触腕攻撃の合図だと身を持って経験していた私は、その大きさを考慮にいれて間合いを取り、腰を落とす。
魔物は酸欠に苦しむかのように泡を吐き散らした後、頭(口)をこちらに向け、ビュビュビュビュ!と触腕を伸ばした。
「や!」
目では追えない攻撃を迎撃する。客席が地鳴りのようにどよめく。
衆目の視線が私に集まる。
はぁ、ふう、はぁ。
ヤバい……高揚した身体の息が乱れてきた。
その乱れを突くように、触腕がムチのようにしなり、私の前の地面を叩いて、破裂音と共に砂埃を巻き上げる。
目眩まし、コイツこんな知恵が……!!
「狙いはわかってんの!!!」
私はこいつの攻撃が、執拗に下腹を狙ってくるのを知ってる。
だから、触腕の軌道は読めている!
砂塵が収まると、私の前には切断された触腕の尖頭4つが地に落ち、ビチビチと跳ねていた。
魔物の触腕はボコボコと血泡を吹きながらその欠損部を補いだす。
今や全ての観衆が、固唾を飲んで戦いを見守っていた。
シーンと静まり返った戦いの場。
私はふーっと呼吸して体内の邪気を口から吐き出し、刀を正眼に構える。水の構えとも呼ばれるこの構えは、ここから滞らない流水の如く、他の構えに円転自在に移行することができる。
攻撃を誘うべく、切っ先から魔物へ殺気を放つ。
しかし、人に非ざる淫魔は、殺気には釣られない。
私は一歩間合いを詰める。
魔物は距離によって動き、再び触腕を突き立てに来る。
それらをバツンと切り結び、更に間合いを詰める。
重たい!
たった一歩前に出ただけで、斬り落とす刀に掛かる重さが倍になる。
ダメ、私の攻撃ができる間合いまで、到底踏み込めない。
額に焦燥の汗が浮かぶ。
焦るな。落ち着け。
淫魔は再び震えだして、その口がある頭部をこちらに向け、私は咄嗟に剣を下段構えに落とす。
淫魔の口から、ミストシャワーが噴出された。
酸ではない。目つぶしではない。
これは······吸い込んではいけない······!?
高揚した身体では呼吸をコントロールできず、噴霧された甘い香りがするそれを吸い込む。
びっくびくに膣からお腹が震えた。
「やぁあん!!!」
吸い込まされたのは淫陶酔効果のある液体。
わずかに吸い込んだだけなのに淫らな快感が惹起されて、私はじゅくん!と疼いた外陰部を両手で押さえて、剣を前に思いっきり放りだす。
「あーあう!!き、きもちぃ!あぁ!お❤」
私は頭を振り、髪を振り乱してゾクゾクと震え、お股を両手でぎゅ!と掴むほどに抑えながら、ガクガクに笑ってる膝で触腕の間合いの外へ逃げる。
「お❤!はうう!ん!ああ!あん!もーおっ!」
お尻を突きあげて股下に両手を差し込み、陰核を弄り、秘肉を押し広げて、両手いっぱいにつかってオナニーをしてその快感に仰け反り、潮を噴いた。
止めどなく溢れ出てる、本当なら大好きな人の為に流すはずの愛液を両手を窪めて受ける。
「い、いや!んぅぅ!ああ!イヤっ!ん~~~!」
皆の前でオナニーさせられちゃって、期待通りの展開に観客達が沸きに沸く。
アイドルになったかのような気分に酔って気持ちが昂って、涙で景色が滲む。
脳が痺れてる。
エッチな自分の姿を、男の人達に見て欲しくなる。
「はぁう~~!ん~~!あっ!あっあっあっ······❤」
差し込んだ両手。
左手の人差し指の腹で強めにグリグリとクリトリスを押しつぶす。
親指も添えて、ぐちゅっと捻る。
「あーーーーーっ!」
思わずつま先立ち。
本当は、せめて足くらいはびっちり閉じて、腰を引いて、出来るだけ皆に見せない様にしないといけない秘め事。そんな一人遊びを、大観衆の前で下腹を突き出すようにして、ガニ股を広げてしちゃってる。
ズリズリと近寄ってくる淫魔。
つくっちゃおうか?子供。
皆の前で、この魔物と。
全てが終わったら、私を客席に投げ込んで。
皆に、順番に、犯してもらうから。
「!!」
トリップし過ぎたせいか、目の前がチカチカ光って、私の視点が空に舞い上がる。
闘技場の真ん中で、泣いてる私がいて。
放り出された刀があって。
その先に淫魔がいる。
昨日、散々にしゃぶられ、むさぼられたから分かる。
この魔物は多分、私の股の匂いに反応してる。
そこに「勝機」があった。
頑張れば、きっと勝てる。
それなら、私はどうするの?快楽に溺れたままでいるの?
貴女は何をしにこの世界に来たの?

私の中にある現代日本人としての誇り。
祖父の教え。剣の道。
なけなしのそれを振り絞れば······。

「すっごく気持ちがいいオナニーくらい、途中で止められるのよ!バカぁ!!」
私は気力を振り絞り、腕を振るって、手に受け貯めた愛液を魔物方向の虚空に飛ばしてから、魔物に向って走り出す。
正確だった触腕の動きが、バラ撒かれた飛沫によって妨げられていた。
その下を、脇を、潜り抜けて、前方に放り投げておいた刀を拾い、斬り込む。

左逆袈裟斬り。

魔物の身体が左方下部から右方上部に割れて、向こう側の景色が見える。
刀を返して、私はその柄頭をガッシリと掴む。
私はこんな生き物は知らないけど、脳があって神経が伸び、心臓があって血管が伸び、骨格と筋肉で動く、そんな生き物ではないのかも知れないけど。
正中を割られて、平気な生き物がいるとは思わない。

真向斬り。

魔物は、口から真っ二つとなり。その四分割された体が砂床に崩れ落ちる。
私は肩で息をしながら、気力を振り絞り、心を残す。
魔物はピクピクと蠢き、畝っているが、再生の気配はない。
ただ一本の触腕が、弱弱しく伸びてきて、私の踝に力なく巻き付き、股下から漏れて内腿を伝う雫を求めだす。
今更ながらに、別にこの魔物も、「悪」とかではないのだと思った。
顔を上げ、マルドゥークを睨む。
彼は椅子から起立して、大仰に、パチ、パチ、パチと手を叩いた。
貴賓席に座っているヴィクターと、ヴァレリーもそれに続き、困惑を残しつつも闘技場内は拍手で包まれた。
私はこれで、スラムの勢力争いに巻き込まれるのか。
でもまあいいか。
途中経過でなんかあったきがするけど、最後の斬撃で皆忘れてくれたでしょ。
うん(泣)。
フェリクスに何て言おう……。
魔物の死骸が、力を失い、私の足に縋っていた触腕も崩れ、その大部分は水分であったのか、砂地に染み入るように溶けていく。
そして視界が明るく輝いた。
スポットライトで私を照らして、勝者コールでもするの?
そう思って天井を仰ぐ。
「あれ?おじいちゃん……?」
闘技場の上に浮かび現れた光。
それは夢の中で見た光とそっくり。
でも、私がそれを祖父だと思った理由は、優しくて暖かな何かだと感じたから。
また私が、私の中の悪しき心を斬ったから······?
でも、雰囲気が、変だ……。
優しくない。
その輝きが闘技場を客席を飲み込み始める。
項にゾワリと走る悪寒。
これは、おじいちゃんじゃない!!
「異開門だ!皆ここから逃げろ!」
客席のライディ―ル様が厳しい警告をその場にいる皆に発する。

私は、光の中から禍々しい魔物が地に降るのを見た。
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