15 / 66
騎士長ライディール
しおりを挟む
検問所の取調室にやってきた男性。
その腰には、ここにいる誰と比べても明らかな格の違いを感じさせる、紋章入りの西洋剣、所謂騎士剣が下げられている。
ドラAもドラBも、そしてドスケベ最低糞馬鹿オヤジも、完全に腰が引けていた。
男は、超が付くほどの美形だった。
そこ居るだけで空気感を支配し、一変させ、風が吹き抜けたかと錯覚するほどの。
歩みを進めるごとに、栗色の髪が涼やかに流れる。
中性的な美形じゃなく、逞しさの中に優美さを備えた、男性的な美。
力強く光る濃い碧瞳に、くっきりとした目鼻立ち。
肩幅ガッチリして、つま先から頭までシュッとした流れのあるシルエット。
思わず呆け見とれてしまった後、ハッとなって足を閉じる。
ぱん!と太腿肉がぶつかってエッチな飛沫が飛んで、それがオークオヤジの顔にかかったけど、本人もそんなの気にしてる場合ではないらしく目も瞑らなかった。
「は、ははは。こーれーは騎士長殿!閣下などとお人が悪い。いえ、こんな所にまでお越しになるとは思いませんでした、我々は治安維持のため市民の······」
「ご苦労な事だね管理長。ところでその娘にまだなにか不審な点はあるか?そもそも何か不審な点はあったのか?現場を知らない俺には分らんが、説明していただけると大変にありがたい」
「めめめ滅~相~もありません、貴方様のご慧眼が、我々の僅かな経験に劣るはずがありませぬ。お前達、検査は終わりだ、持ち物を返して差し上げろ」
「「はっ!」」
ドラAは、うってかわった紳士的な仕草で私の手を取り、補助して高い検問台から降ろしてくれる。そんな私の肌を隠すように、ドラBは私の衣装を広げ、胸の前に垂らす。
今更遅いわアホ。
そのまま大きな姿鏡がある別室に通されたけど、そこにはとんでもなく淫らな自分の姿が映ってそうに思えて怖くて、鏡を壁方向に向けてから、衣装を着る。
そして三馬鹿が深々と頭を下げる中、騎士長様に保護されて、検問所から無事に出る事が出来た。
いえ、これ無事っていうのかな。大怪我した気がする······。
「イズミ!」
詰所前で待っていてくれたフェリクスが駆け寄ってくる。
心配して、待っててくれたんだ!?
早くお兄ちゃんに会いに行きたいだろうに!
でも、今はそれどころじゃない。私の隣に凄いの居るでしょ!そこで待ってて!
「あの、ありがとうございました」
そういえば私この人に裸みられちゃってるぅう!なんて乙女な思考をしつつ、騎士長と呼ばれていた恩人のイケメンさんに頭を下げる。
彼はニコリと小さく笑った。
うっ。完璧すぎる······。
「うん。キミもまあ、悪く思わないでくれたまえ。それと、お礼はその子に言うといいよ。俺は偶然通りがかっただけだ。彼が大騒ぎしていたからこその流れだったからね」
そうなんだ······ありがとうフェリクス!とりま後でちゃんとお礼するからね!そんな訳だからもうちょっと待っててね!
「あの、本当に······」
「ここにおられましたかライディール様!」
人混みを割って、数名の騎士がやってくる。将軍がお呼びですとかなんとか、そんな事務連絡のようだ。
「おっと、じゃあこれで失礼するよお嬢さん。ザクセンを楽しんでいってくれ」
彼は私の傍らを離れ、騎士達と合流し、その場を去っていった。
「ライディ―ル······様······」
素敵な人だった······なんか一気に私の心の中にはない物語感がでてきた感じがする。
ここに「ガチ異世界に来ちゃった説」に清き一票を追加します!
「おい、行くぞイズミ。おい」
頬を膨らませた少年が、私の足を軽めに何度も蹴とばしてくる。
「ん······なんか私熱っぽい、頭へんかも······。フェリクス、宿みたいなとこ、探して······」
「お前ほんっとに世話が焼けるな。それなら多分あっちだ」
足元をふわふわさせたまま、少年に手を引かれて大門前を離れ、市街に向かう。
ともあれこうして私は、無事に東都ザクセンに到達した。
この街で、運命が大きく動く。そんな予感がしていた。
その腰には、ここにいる誰と比べても明らかな格の違いを感じさせる、紋章入りの西洋剣、所謂騎士剣が下げられている。
ドラAもドラBも、そしてドスケベ最低糞馬鹿オヤジも、完全に腰が引けていた。
男は、超が付くほどの美形だった。
そこ居るだけで空気感を支配し、一変させ、風が吹き抜けたかと錯覚するほどの。
歩みを進めるごとに、栗色の髪が涼やかに流れる。
中性的な美形じゃなく、逞しさの中に優美さを備えた、男性的な美。
力強く光る濃い碧瞳に、くっきりとした目鼻立ち。
肩幅ガッチリして、つま先から頭までシュッとした流れのあるシルエット。
思わず呆け見とれてしまった後、ハッとなって足を閉じる。
ぱん!と太腿肉がぶつかってエッチな飛沫が飛んで、それがオークオヤジの顔にかかったけど、本人もそんなの気にしてる場合ではないらしく目も瞑らなかった。
「は、ははは。こーれーは騎士長殿!閣下などとお人が悪い。いえ、こんな所にまでお越しになるとは思いませんでした、我々は治安維持のため市民の······」
「ご苦労な事だね管理長。ところでその娘にまだなにか不審な点はあるか?そもそも何か不審な点はあったのか?現場を知らない俺には分らんが、説明していただけると大変にありがたい」
「めめめ滅~相~もありません、貴方様のご慧眼が、我々の僅かな経験に劣るはずがありませぬ。お前達、検査は終わりだ、持ち物を返して差し上げろ」
「「はっ!」」
ドラAは、うってかわった紳士的な仕草で私の手を取り、補助して高い検問台から降ろしてくれる。そんな私の肌を隠すように、ドラBは私の衣装を広げ、胸の前に垂らす。
今更遅いわアホ。
そのまま大きな姿鏡がある別室に通されたけど、そこにはとんでもなく淫らな自分の姿が映ってそうに思えて怖くて、鏡を壁方向に向けてから、衣装を着る。
そして三馬鹿が深々と頭を下げる中、騎士長様に保護されて、検問所から無事に出る事が出来た。
いえ、これ無事っていうのかな。大怪我した気がする······。
「イズミ!」
詰所前で待っていてくれたフェリクスが駆け寄ってくる。
心配して、待っててくれたんだ!?
早くお兄ちゃんに会いに行きたいだろうに!
でも、今はそれどころじゃない。私の隣に凄いの居るでしょ!そこで待ってて!
「あの、ありがとうございました」
そういえば私この人に裸みられちゃってるぅう!なんて乙女な思考をしつつ、騎士長と呼ばれていた恩人のイケメンさんに頭を下げる。
彼はニコリと小さく笑った。
うっ。完璧すぎる······。
「うん。キミもまあ、悪く思わないでくれたまえ。それと、お礼はその子に言うといいよ。俺は偶然通りがかっただけだ。彼が大騒ぎしていたからこその流れだったからね」
そうなんだ······ありがとうフェリクス!とりま後でちゃんとお礼するからね!そんな訳だからもうちょっと待っててね!
「あの、本当に······」
「ここにおられましたかライディール様!」
人混みを割って、数名の騎士がやってくる。将軍がお呼びですとかなんとか、そんな事務連絡のようだ。
「おっと、じゃあこれで失礼するよお嬢さん。ザクセンを楽しんでいってくれ」
彼は私の傍らを離れ、騎士達と合流し、その場を去っていった。
「ライディ―ル······様······」
素敵な人だった······なんか一気に私の心の中にはない物語感がでてきた感じがする。
ここに「ガチ異世界に来ちゃった説」に清き一票を追加します!
「おい、行くぞイズミ。おい」
頬を膨らませた少年が、私の足を軽めに何度も蹴とばしてくる。
「ん······なんか私熱っぽい、頭へんかも······。フェリクス、宿みたいなとこ、探して······」
「お前ほんっとに世話が焼けるな。それなら多分あっちだ」
足元をふわふわさせたまま、少年に手を引かれて大門前を離れ、市街に向かう。
ともあれこうして私は、無事に東都ザクセンに到達した。
この街で、運命が大きく動く。そんな予感がしていた。
6
お気に入りに追加
82
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる