女子高生剣士の私が異世界に転移したら大変なことになった 第一部

瑞樹ハナ

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検問所の密室で

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「入ります!」
私は背中を強めに突かれ、つんのめってたたらを踏みながら中に入る。
扉が閉まる音。
密室となった詰所内には、三人の兵士。一人が座り、その両脇に二人が控える。あ、私の後ろに四人目がいるか。
とりあえずこの座ってる奴が私を呼んだらしい。
この前のオークが人間に生まれ変わってしぼんで情けなくなった、そんな感じの中年男性がニヤニヤしている。
「なるほど。これは調べないといかんなぁ」
門兵って結構な仕事だと思うから、ここでふんぞり返ってるのはそこそこ偉いヤツなんでしょう。
両脇の二人は揃って若い。良い所のお坊ちゃんがそのまま幹部候補生になったとか、そーゆーイメージ。貴族のドラ息子AとBの名を授けましょう。
彼らの顔にも嫌な感じの笑みが浮かんでいる。
「お前はもう下がれ!」
ドラAが門兵を下がらせた後、私の方に歩み寄り、刀を引っ手繰った。
「細いな。護身用か」
彼らは、自分達が腰に下げている西洋剣のブロードソードを基準にして、私の日本刀を見た目よりも重い細身な剣と捉えたのでしょう。
そのまま刀身を確認することなく、脇の検問台に刀を置く。
って······これ、目当ては私だ!?
ドラBも動き、私の後ろに立った。そしてガシッと後ろ手に拘束する。
「あ、あの!」
色めき立った私を見て、オークの生まれ変わりが立ち上がる。
「東都ザクセンの治安を守るためには、多少の厳しい検査もまたやむを得んのだよ。これは全て市民の為。つまりはお前たちの為なのだぞ」
だからこの後は泣き寝入れと、そう言っているのか。
「あーそこでだな。ワシらは君の身体に不審な点があると考えておる。まあそこでだな、提案だ」
「提案······?」
「乱暴に取り調べても良いし、我らにはその責務があるが、そこでだな。平民の娘とは言え多少の気位もあろうな。そこでだ」
コイツ語りの中に「そこで」が多くない?変にもったいぶってしゃべってるからそうなるのよ。
「ここで自ら裸になれ」
「なっ······」
予想の範疇ではあったけど、いざ本当に言われると、その性根の腐り具合に声を上げざるを得ない。
拒否してよってたかって脱がされるのと、自分で屈して脱ぐのと、どっちもどっちだけど、私の基準だと、屈して脱ぐ方が気位低いような気がする。
「······わかりました」
だけど仕方がない。
オークの生まれ変わりと呼ぶに相応しい中年男性を上目使いに睨む。
密室で男三人に囲まれる中、衣服を脱いだ。
胸と下腹を手で庇い、その間もずっと、アンタ見た目の通り品性の欠片もないんですね~と念を込めて睨み続ける。
恥ずかしい。羞恥に顔が、そして身体が火照る。
ここで本当の意味で怒りと屈辱に悶えていない私は、結構プライド低めなのかもしれない。
庇いきれてないお腹をピシャンとぶたれた。
「ひゃん!」
「ほっほう」
中年男の表情筋が吊り上がる。
私が中年男にまさぐられてる脇で、ドラBは私の身に着けていた品を持ち上げ、広げ、裏返し、わざとらしく匂いを嗅ぐ仕草を見せてきた後、Aに渡し、Aも匂いを嗅いだ後で、検問台の上に無造作に放り投げる。
え?私なんか臭ってました!?そんな不安に駆られて、委縮させられちゃうのが超むかつく······!
「も、もうよろしいでしょうか?不審な点はございませんでしょうか。閣下。それなら服をお返しくださいますように、お願い申し上げます」
涙声になりそうなのを震え誤魔化しながら慇懃無礼な言葉をぶつけてみたけど、彼にはまるで通じてない。満足そうに笑ってる。
そしてバチーンと尻肉を叩かれた。私の口から「ぁうん!」って声が漏れる。
なんか、カルノヴァのアホに、彼のちんちんで叩かれた、あの凄い恥ずかしいのを思い出しちゃう。
「まったくお前ら平民は」
またバチーン!
「あっうん!」
「東都の平和を守っている我らがいるから安穏と生活しておるというのに」
またバチーン!
「ぃぅうん!」
「自らを愚かとも思わず、増長し、求めるがままに欲し」
この人しゃべりながら自分の言葉でどんどんテンション上げていくタイプだ。
なんか語気が荒くなって私を睨み出してる。
彼のグローブみたいな厚ぼったい、指に毛が生えてる気持ち悪い手が伸びて、乳房を鷲掴んだ。
そのままもぎ取ろうとしているのかと思う程に強く弄ぶ。
そんな風に乱暴に扱われてて痛いだけなのに、彼の目の前で、私の乳首がぷっくりと勃った。
「······」
ちら、と上目で皆を見る。
皆も、私の乳首を見てた。
そして、男三人が揃って噴き出すように笑う。
その真ん中で、私は体を隠す事よりも、火傷しそうなくらい熱もってる顔を両手で隠す事を選んだ。
「なんとまあ呆れたことよ。これぞ平民だな。今日までなんの責務も果たさず、享楽に耽って生きてきたのだろう?」
つま先から髪の毛まで、羞恥に埋め尽くされて、身体が痺れ出す。
「答えろ!そうなのだろう!?」
「どうした!言葉を忘れたか?!」
ドラ息子達に言葉での反省を強制される。
ひーんっっ!なんか······なんか······コレ、恥ずかしいんだけど、なんか、上手く言えないけど······。
裸になって、男性に囲まれてる。今のこの状況が「現実」じゃないのは分かってる。
だから「現実では絶対に出来ない経験」をしちゃってもイイじゃない?なんてピンクな思考が大きくなっていく。
「は、はい······」
「そらみた事か!検査はまだ何も済んでおらんぞ。次はその検査台に座れ!」
指定された検査台は座るのにはちょっと苦労する高さで、三人にお尻を向けて這い上る。そこに座れば、私の腰が彼らの目線の高さにあう。
うう~~!
そこにある日本刀が衣類に埋まっているおかげで、おじいちゃんには見られてない。そんなことを考えるくらいには頭が馬鹿になってて、足を開けと命令される前にぐっちょりになってるお股を開いて、男性達に見せてしまった。
「あ」
太腿をガッツり広げてから、フライングしちゃった事に気付いてそのまま固まる。
背筋を羞恥が駆け上り、そのまま天井を突き破る。
クリトリスからその下一帯がヒクヒクと動いた。
また男三人に大爆笑される。
いやーーーっ!え?なにこれ?夢?現実感なくない?
「こ、これは、まいりましたな西門管理長殿!」
「いやまったく、ワシが平民なぞ動物と同じだと言ってる通りであろう?」
「いやこれは。本当に何を考えているのやら!」
そこまで言われたら私だって黙ってはいられないじゃない!?
「だ、だって!そ、そのつもりでこんな所に座らせたんでしょう!?」
これもうここで暴れてこの三人を手打ちにして、投獄されたまま48日目を迎えた方が良くない??ねえ?!
「まあよい。ここからは自らの潔白を証明する方法を、自分で考えてだな······」
「は、はぁい······」
ぐすんと泣いて、彼らの命に従おうと、自ら指を下腹に這わせる。
その時、救いの御手は突然現れた。
っていうか、ギャラリーが増えた······。
「それはちょっとアレじゃないですかね。閣下」

壮麗な鎧を身に着けた男性が、検問所内に踏み込んできたのだ。
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