マガイモノサヴァイヴ

狩間けい

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第73話

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翌朝。

俺は"金獅子"の拠点にいると言ってあったので、万が一イリス達があちらへ呼びに行ったりすると少々不味い。

そう考えて早めに起きられるよう目覚まし時計を設定し、その時間に起きてから朝食や身支度を済ませると透明になって地上に降りる。

その後"モーズ"として姿を表した俺は、適当に荷物を作成したリヤカーを引いて"銀蘭"の拠点へ向かった。




「おはよう、モーズ」
「おはようございます、モーズさん」

『ああ、おはよう』


俺が拠点の入口から数百m離れた地点で待機していると、こちらに気づいた拠点の警備員がイリス達を連れてきてくれた。

そうして俺達は朝の挨拶を交わすと、イリスが今日の予定を確認する。


「今日は4区で狩るのよね?」

『ああ、そうだ』


昨日、フェリスには1人で街へ帰ると言っていたのだが、"銀蘭"の拠点を出る前に会ったイリス達から頼まれてこの第4区で狩りをすることになったのだ。

イリスはここのウサギが昼間であればさほど危険ではないと聞いたようで、セリアを成長させるのに丁度いいのではと提案してきた。

彼女はそのついでに自分もと言い出し、結局全員で狩りをしてみることになったわけだ。

今回の目的は"銀蘭"の拠点をイリス達が使えるようにすることだったし、彼女が貴族であると判明したので不要なリスクは避けるべきだろう。

1人でなら試しに5区へ入ってみてもいいが……第5区の地図もないし、未体験の場所にイリス達を連れていくのも気が進まないからな。

だったらイリスを狩りに連れ回さず"銀蘭"の拠点で待機してもらったほうがいいのだろうが、彼女としては解呪のマジックアイテムが手に入る瞬間を自分の目で確認し、それが本物であると確信して安心したいという考えのようだ。

それもあってイリスが狩りに同行するのは決定事項なので、今日も魔石の回収に精を出してもらうことにする。

そう考えてウサギ狩りを始めようとしたところ、セリアがある提案をしてきた。


「あの、今日も魔石のみが回収対象でしょうか?でしたら"銀蘭"にウサギ自体をお譲りするのはどうでしょう?」

「ああ……」


セリアの提案に納得したような顔をするイリス。

そんな彼女達に事情を尋ねてみる。


『どういうことだ?』

「えーっと……実は"銀蘭"の運営ってそこまでの余裕があるわけではないみたいで、放置するぐらいならあげてしまってもいいんじゃないかなって」

「少し前から保護する女性達が増えてきていて、フェリスさん達はあまり遠出ができなくなっているようでして……近場で数を稼ぐらしいので今のところカンパニーの維持に支障はないようですが、これからお世話になる以上は代価を支払っておいたほうがいいのではないかと」

『うーん……』


イリスが貴族だと断言できるシャーリーさんも貴族かそれに近い家の出だと考えられるし、"銀蘭"の運営資金には余裕があるのではないかと思っていたのだが……ここでも金の問題か。

ここの拠点で男に狙われた女性達を保護しているのはいいが、その女性達が戦力にならなければその数が増えるほど稼ぐ必要がある。

ただ、フェリスの存在自体が抑止力になっているのだろうし、彼女が拠点にいなくてもある程度は大丈夫なのではないかと思うのだが。

その点を聞いてみると……イリスとセリアは周囲を見回し、声を若干抑えてその疑問に答えた。


「昨夜、最近この拠点に来たって人達に聞いた話なんだけど……最近"宝石蛇"の動きが活発というか、怪しいみたいなのよ」

「”銀蘭”に直接何かをするわけではないようですが、何と言いますか……"銀蘭"の目に対してあまり遠慮しなくなってきているようです」

『それは……フェリスを恐れなくなってるってことか?』


聞き返す俺にイリスが答える。


「どうかしら?"銀蘭"に手を出していない以上、彼女を恐れていないわけではないと思うのだけど……」

『それ以外の女性には積極的に手を出している、と。そうなると……"銀蘭"に保護させる女性を増やして組織の維持をできなくするつもりか?』

「「さぁ……?」」


イリスとセリアが揃って首を傾けそう返す。

まぁ、直接関わろうとはしていないので、情報不足で予想のしようがないか。

うーん、困ったな。

俺の予想が当たっているかは別として、イリス達を安心して預けられると思って"銀蘭"の拠点を使えるように交渉したってのに。

まぁ、"銀蘭"に手を出していないのなら街にいるよりは安全なのかもしれないし……というか、イリスが街の入口で絡まれていたことやダンジョンの中で襲われたことも、"宝石蛇"の動きが活発になっていたうちの一部だったのかもしれないな。



とにかく、拠点の維持には問題ないと言っても世話にはなるわけだし放置する予定のものだからということで、俺達は魔石を抜いた後のウサギを"銀蘭"へ譲ることにした。

それを先方に伝えると……この提案は受け入れられたようで、荷車を引いた一団とニナがやってきた。


「私は目印役で」


ニナが来た理由を聞くと彼女はそう答え、昨日持っていた旗をフリフリと振ってみせる。

あちらの荷車が拠点へ荷物を運んでる間、俺達が普通に移動して狩りを続けられるようにと来たらしい。

これで丈のある草原の中、輸送隊が俺達を見失ってもすぐに見つけられるというわけだ。

輸送隊は5人で2人が荷車を担当し、残りの3人が護衛を担当するそうだ。

護衛の3人は警備担当なのである程度は戦えるらしく、昼間ならウサギが群れる規模も小さいので何とかなるとのこと。

ニナを含めて6人か。

人目は増えてしまうが、丈の高い草が生い茂る場所なら密かに魔力の糸を使っても気づかれにくいだろう。

それが見えそうなフェリスは拠点から出てきていないし、これなら先んじてウサギに糸を仕掛け、必要に応じて動きを抑制することで狩りやすくなるはずだ。

そう考えた俺はニナ達を引き連れ、第4区での狩りを始めることにした。




暫くして、輸送隊の1人が声を上げる。


「あの、そろそろ拠点に運んだほうがいいかと」


そう言った彼女の後ろには、魔石が抜かれたウサギを満載した荷車があった。

時間的には……おそらく1時間も経っていない。

俺達が倒して魔石を回収し、それを彼女達がある程度血を抜いて荷車に乗せるという形だったのだが……俺が魔石でウサギの位置を感知していることから狩るペースが早く、荷車が一杯になるまでさほど時間はかからなかったのだ。

ここが草原であり、見つけた獲物まで一直線に向かうことができたというのもこうなった理由の1つだろう。

ニナは元より、輸送隊もフェリスとの力試しで俺の力は知っていたので驚きはしていない。

そんな彼女達を拠点へ戻らせると……程なくして、別の女性達が空の荷車とともにやって来た。


「この時間であの量なら、と」


新たな輸送隊の1人によると、2部隊での交代制になったらしい。

ならばと自分のリヤカーに積んでいたウサギを彼女達の荷車に移し、その後はほぼノンストップで狩りを続けることとなった。

その結果……狩りを終えた俺達が"銀蘭"の拠点へ向かうと、トンファーを持ったフェリスが出迎えた。


「ヤリ過ぎ」


どうやら、肉や皮を処理するのに忙しくなりすぎたらしく、それで食事の準備などが遅れてしまっているらしい。

夜に拠点への襲撃があったときはもっと多いはずなのだが、その場合は夕食も済んでいたので問題はなかったのだろう。

土地や財政状況によるらしいが、この拠点ではお昼にも食事を取るらしい。

もちろんフェリスも昼食を取り、優先的に用意されてはいるそうだが……今日はそれが遅れており、夕食も遅れそうなことから若干ご機嫌が悪いようだ。

イリスによるとフェリスはかなり量を食べるらしいので、食事の時間や量と質にはかなり気を使っているらしい。

そう言えば……ルナミリアも人型では味にこだわっていたし、量もドラゴンのときに比べれば少ないが結構な量を食べられるようだった。

ふむ。

イリス達の滞在が認められたとは言え、無駄に機嫌を損ねるのは不味いだろう。

そう考えた俺は、自分の木箱の中である物を作ってフェリスに差し出した。


スッ

『よければどうぞ』

「ん?……ナニコレ、乾燥肉?」


そう言って俺が出した皮の小袋を受け取ったフェリスは、中に入っていた乾いた肉を取り出してチェックし出した。


「スンスン……香りからするとかなり上等な物ね。食べてもいいの?」

『ええ、どうぞ』

「じゃあ……あむ」


俺が何かを仕込んでいるとは疑っていないようで、フェリスは躊躇なくその肉を口に入れると咀嚼を始める。


「ングング……ゴクッ。ナニコレ、かなり美味しいんだけど。あむっ」


簡単な感想を述べるとすぐにまた肉を口にするフェリス。

好評なようで何よりだ。

この肉は前世で売っていた評判の良いビーフジャーキーであり、その中身だけを作成したものである。

街ではウサギ肉が一般的でオーク肉が少し珍しく、牛肉はかなりお高くなっているほど珍しい。

まぁ、珍しい程度であり得ない食材というわけではないので、俺が持っていて疑問に思われるのは味ぐらいになるだろう。

だが、すぐに食べてなくなるのであれば詳しく調べられる機会は来ず、"紛い物"だと知られることもないだろうと考えて出してみたのだ。


「アグアグ……ごくんっ」


それなりに空腹だったのかフェリスはビーフジャーキーを次々と口に入れ、あっという間に袋の中を空にした。

その匂いも気に入ったようで、袋を顔に当てて中の空気を吸い込んだ。


「スウウゥゥゥ…………ハアアァァァ……♡」


その表情は艶っぽく、見る人によればイケナイ物を吸っているのではないかと誤解されそうである。

そんなフェリスは暫くして正気に戻ると、


ガシッ!


と俺の肩を掴んできた。

魔力の消費量が増えたことから、その手に結構な力が入っていると思われる。


『な、何か……?』


そう尋ねた俺に笑顔のフェリスが聞き返してきた。


「もうないの?というかどこで手に入るの?」

グググ……


言いながら魔力の消費量を増やしてくるフェリス。

この世界というか、この時代に存在しない物では色々と怪しまれてしまうと考えてのチョイスだったのだが……気に入られすぎたせいで製造元を聞かれることになった。

なんとか誤魔化さないと。


『手持ちにはもうありませんね。作っている人のことは明かせませんが、買えたらまたお持ちしますので』


そう答えた俺だったが、フェリスは製造者について追求してくる。


「なんで作ってる人を教えられないのよ」

『作れる数には限りがありますから、権力者が独占しないようにと信用できる人にだけ売ってるんですよ』

「じゃあ私もその人を信用させればいいってワケ?」

『いや、お目当ての物のためにって時点で信用はされませんよ』

「ぐ……」

『当然、無理に作らせようとするなら拒否するでしょうし、そういう人が来るんだったら作り方を破棄して二度と作らないと言ってますから』

「ぐぬぬ……」


俺の言葉に悔しそうな顔をするフェリスだったが、その内容自体は理解できるのかそれ以上の追求はしてこなかった。

製造者が別にいるということにしたのは、俺自身が製造者だと言えば際限なく要求されそうだからで、こう言ったことで制限がありながらも俺から手に入れることができるということにするためだ。

狙ったわけではないが……これでまぁ、交渉事があってもある程度のカードにはなる。

そう思っていたところ、


「ちょっと来なさい。アンタ達はそこで待機ね」


とフェリスが俺とイリス達にそれぞれ言い、ガッシリと肩を掴んだままの俺を拠点の中心部にある会議室のテントへ連れ込んだ。


『えっーと……?』


何の用事か訪ねようとした俺に、フェリスはくるりと振り向き……


グィッ、ばるんっ


と、着ていたチャイナ服の胸元を中央に寄せ、その中身を弾けたように露出させた。


「ウサギの方はともかく、さっきの肉に関しては私個人のことだからね。触るだけなら好きにしていいわよ」

むにゅり


言いながら胸を持ち上げ、そこを揺らしてアピールするフェリス。

おそらく、度々俺の視線を感じていたからこれを代価として選んだのだろう。


『そんなに気に入ったんですか?でもそこまでしなくても……』


交渉カードに使うつもりなので、こうして代価を支払われると微妙に困る。

じゃあ今度は別の商品を、と軽々しく出すわけにもいかないしな。

そんな考えを察したのかは不明だが、フェリスは胸を揺らしながら俺との距離を縮めてきた。


ザッ、ザッ、ザッ……

プルンッ、プルンッ、プルンッ……

「変に借りを作ってると、後から困った形で借りを返せって言われるかもしれないからね。ほら、籠手を外しなさいよ」


そう言うとフェリスは胸を差し出すように身を反らし、手でタプタプと揺らして見せる。

んー……これは変に渋ると交渉事を考えていると思われかねない。

フリーパスというわけではないが、こうして拠点に入れてもらえた上にこんな代価を受け取れるようになっている。

となれば、今のところ良い関係性なのは確かだし、それを壊すような悪い印象を持たれるべきではない。

というわけで……俺はフェリスに1つ注文をつける。


『あの、できれば後ろからがいいんですが……』


触らせてもらうからには魔鎧の籠手を外さないと不自然で、外した籠手と俺が魔力の糸で繋がっているのを見られるのは不味い。

あくまでも、この鎧はマジックアイテムという俺から独立した存在だということになっているからな。

そんな俺に背後を取られる事自体は気にしなかったフェリスだが、別のことを気にしながら背中を見せる。


「え?別にいいけど……挿れたりはするんじゃないわよ?モノを潰しちゃうかもしれないから」

『ええ、わかってます』


俺はそう返すと普通の籠手を外すように魔鎧の籠手を外してテーブルに置き、


「はい、どうぞ♪」


とフェリスが空けた左右の脇に両手を通して数日ぶりの双丘に手を伸ばした。
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