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45.二回目の襲撃!嗅がれるナナミの㊙臭!?3~あっ、この人には何を言っても無駄だ・・・~
しおりを挟む「ほんっとに、何してくれちゃってんですか・・・・・・マジで。」
俺は今、気持ち悪い下着を指にぶら下げ、俺は下半身裸のままベッドに座り説教をしている。まったく意味のない説教を!
説教されている立場であるセイレクさんは全く悪いとは思っていないようで、知らんぷりし同じく下半身裸体でソファにエレガントに座り、小指で耳の穴をほじっていた。態度がくっそムカつくぅ。
「うっせ・・・・・・なぁ、俺のズボンまだ?」
「(こいっつ・・・・・・!!)」
先ほど見習いの子の一人に濡れた下着とズボンを渡したため、セイレクさんは下半身裸状態だ。彼を見るとうっかり下の部分も目に入ってきてしまうので、どこに目を向けたらいいかわからない。下が真っ裸なのにも関わらず堂々とソファに腰掛けた彼に対して俺は、自分の放ったもので汚れたパンツを人に洗わせるなんてことしたくなくて、見習いの子が来たときに咄嗟に背中に隠し下半身はタオルケットでサッと隠したのだった。
俺の魂の叫びを軽やかにスルーして至極偉そうな彼に、客に対して言ってはいけないことを言ってしまいそうになる。
怒っても仕方ないか・・・。俺は手に持っている、ぐっしょりと濡れそぼった、独特の匂いを放つおパンツを眺め、長い溜息を吐いた。
「後でこっそり洗っとこ・・・・・・」
何気なく呟いた俺の言葉を聞いていたセイレクが、『あ゛?』とガラ悪く反応する。すると次にとんでもない一言が彼の口からこぼれ落ちた。
「あ、その下着、今日から一週間履き続けろよ」
「は?」
今耳から入ってきた言葉は幻聴かもしれないと思い、俺は確認のためもう一度聞き返す。
「あとお前毎日風呂入るらしいじゃねぇか。一週間、風呂も禁止だから」
Pardon?
もう一度聞き返そうかとも思ったが、たぶん無駄だろう。俺は静かに、ただ静かに自分の下着を床に投げつけた。床に当たった俺のパンツは、べちょ、と変な音を立てて静かになった(結果、床も掃除しなくてはいけなくなった)。
「っなにすんだよ!?今日から一週間世話になるパンツじゃねーか!」
「履きません」
「は?何お前ノーパンで過ごすって?まっ、それならそれでもいいけど」
「だ・か・ら、毎日同じ下着を故意に履き続けたりなんか、しません」
いやいや、毎日同じパンツを履き続けるだなんて、今の俺にはできることではないし、しかもだよ?セイレクさんが指差してるパンツって、このびちょってるやつだよね!?履けるわけないでしょうが!!
絶対すぐにカッピカピになるし、匂いなんか、放置したらどんな感じになるのか想像もできないし、つかしたくないし!
「はぁ?俺、お願いじゃなくて命令してんだけど。てかお前、なんで毎日風呂なんか入るの?顔が綺麗な奴は綺麗好きですってか」
「ただの習慣です!」
今すぐでにも洗い倒して何事もなかったかのように干しておきたいのに、毎日コレを履くなんて、信じられない。床にべちょりとなっている今も、触るのに戸惑うほどなのに!
「べっつに一週間くらい風呂に入らなくたって死にはしないだろ?」
マジでどうやって処理しようこのパンツ・・・。いつも汚れに汚れているシーツを見習いの子たちに任せているのも申し訳ないし恥ずかしいのに、下着だなんて。みんなに知られないように洗濯するのはもちろんのことだけど、一体どうやって・・・・・・
「ダメなんです!」
シーツやタオルなどの洗濯は見習いの子たちが午前中にやってくれる。各自服は自分で洗濯するか見習いの子に頼むかしているが、俺は半々だ。忙しいときは申し訳ないけど任せるし、時間に余裕があるときは自分で洗濯して干しに行く。
俺はこの店の中で一番に背が高く、身体もその分大きい。だからこそ、俺の物は俺のであると一目見ればまぁわかってしまう。今のうちにササッと洗って干しておこうか?だったら夕方の洗濯物に紛れて誤魔化せるかもしれない。
「何でだよ?」
そうですよ。俺はパンツ一枚でこんなに考えるくらい小さい奴なんですよ!でも汚れた下着を洗う姿を仲間に見られたら・・・どんな顔すればいいの?もうこうなったら洗濯場から洗剤をひったくって・・・・・・
「それは俺が人一倍汗っかきだからです!!」
考え過ぎて頭の中がぐちゃぐちゃになり、よく考えずにセイレクさんに言葉を返してしまった。そして言い返してしまってから気がつく。自ら己の弱み(対セイレクさんにおける最大の弱点)を開示してしまったことに。
しまった!と思ったがもう遅かった。ヤベェと思ってセイレクさんの顔を見ると、彼は『良いことを聞いた』という風にニタァと笑ったのだ。
「そうかそうか・・・・・・じゃあ尚更風呂は我慢しろ。ああ一週間後が楽しみだな・・・」
都合の良いことしか耳に入ってこないらしい美青年に、もはや殺意に似た感情が滲み出てくる。一人納得し頷いている彼に、俺は唾を飛ばしながら叫んだ。
「ぜっったい、イヤです!!!」
***
「財力の暴力・・・・・・」
俺は、勝ち誇ったように唇を引き上げソファにふんぞり返るセイレクさんを尻目に、床に崩れ落ちた状態で頭を抱えていた。
結局俺は、超絶美青年の涙目(嘘泣き)懇願と圧倒的な財力の前に敗北したのである。なんと情けない。
断固として拒否する意向を表明していたら、セイレクさんがなんか突然猫被ってしおらしい態度になって“お願い”をしてきたもんだから、一気に俺の防御力が低下したのだ。そこからはもう彼の独断場。小さな綻びから見事俺を籠絡させたのだった。
一週間・・・・・・。彼は一切妥協することなく、その地獄の期間を俺に要求した。一週間の間、俺は風呂はおろかシャワーを浴びることまで禁じられたのである。もう最悪だ。今まで一日くらいはシャワーを浴びない日もあった。しかし一週間はさすがにない。
その期間、客の相手ができないと反論すると、なんと彼は“俺の一週間”を買い上げたのだ。これには唖然とさせられた。綺麗になったズボンを履きながら、なんと言うことはないという風に彼は言ったのだ。
『は?だからお前の一週間、俺が買うから』
と。まぁ、俺は精神的苦痛を味わうわけだから、そこに料金が発生するのは納得できるが。それにしてもそんなに簡単に言われてしまうと、彼の言うことを聞かなければならない流れになってしまう。そして俺は、泣く泣く彼の要求に応えることになったのだ。三日までなら妥協できると思っていたけど、彼の辞書には妥協という文字はないらしい。
だがパンツ一週間の刑だけは免れた。そこは絶対に引かないというのを感じ取ったのだろう。渋々折れた。
パンツに関しては三日とか言っていられない。すでに自分の精液で汚れているものを、何を好き好んで使い続けなければならないのか。残酷すぎる。次に出してきた提案は、『じゃあせめて自慰するときはその下着に射精して』というもので、コレを聞いたときは世の中には思いもよらない変態すぎることを考える人がいるんだなぁ・・・と一瞬現実逃避しかけた。ドン引きを有に越し、心の距離が広がった気がする。あ、わかり合えないな・・・みたいな感じ。
その提案も、笑顔で却下した。精液に精液を上塗りして何になる?怪物が生まれるぞ。
それに、自慰するときにわざわざパンツに出すとか、しかも同じやつにって。しかもそれを保管しとくのもくっそ嫌なんですが。ということで、一応譲歩?してもらって『一週間風呂に入らない』ということは決定した。このクソ交渉、なんなの・・・・・・。
「じゃ、満足したから俺もう帰るわ。あ、絶対にシャワーも浴びるなよ?隠したってわかるからな?」
凄みのある顔で脅してくる彼に、もはや心が疲れている俺は力なく返事をする。もっさりとした変装をしても艶々とした雰囲気を漂わせた彼は、去り際に床に放置されていたパンツを指差しさらに一言、とんでもないことを言った。
「ね、このパンツ売ってくれん?」
もう、知らん・・・・・・!!思考について行けず、思わず再び崩れ落ちそうになる。だがその顔は至極真面目で、しかも目の輝きがすごくて。
俺の精液付きカピカピになりかけのパンツ、金貨五枚でお買い上げ頂きましたでございます。
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