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しおりを挟む『まずは、安全な場所に行くぞ』
フラウのその言葉で、リリーとフラウは庭園の置くにある、いつもリリーが昼食を取っているベンチへと移動した。
「ほんとぉに・・・・・・ごぇんなしゃい・・・・・・」
リリーは謝罪が止まらず、『ごめんなさい、僕のせいでごめんなさい』とひたすら繰り返しながら涙をぼたぼたと流していた。
「お前って・・・・・・、本当に喋れたんだな」
しばらく沈黙していたフラウが、ぼそっと零す。その言葉にリリーは気まずそうに頷き、フラウを見つめた。『今まで話さなくてごめんなさい』と言うように。
「でも・・・・・・、ぼくのしゃべりかた、へんだかや・・・・・・、ぼくがしゃべったりゃおにぃちゃんたちにめーわくかけちゃぅの・・・・・・」
しょぼんという効果音が背後に見えそうなほどにしんみりとしながら、だが無理矢理笑って『へんでしょ?ぼくのしゃべりかた』と言ったリリーに、フラウは目線を外しながらぽりぽりと頭を掻く。
「実は、知ってた。お前がそんな風にしか話せないってこと・・・・・・。すまん!勝手に調べたりしてっ!!」
頭を下げるフラウに、リリーは目を丸くし驚きを隠せなかった。だって、自分の気持ちの悪い、異常な話し方を聞いて、きっとフラウに嫌われると思っていたのだ。なのに、もうすでに知っていたとわ。父もフラウはリリーの秘密を知っている可能性があると言っていたが、知っていたらこんなに普通に接してくれないよと心のどこかで思っていたのだ。だから、このことを知っても今まで普通に話してくれていたことがものすごく嬉しかった。
リリーは一気に元気になり、下げられたフラウの頭を上げさせると『へへ・・・、だいじょぅぶだよ』と、いつもよりも幼い笑顔を見せたのだった。
*****
「っはぁーー・・・てか、今日の奴らはヤバかったな-・・・・・・。そう言えばリリー、お前怪我してないのか?見たところ、頬が赤いが・・・・・・」
「へ・・・・・・、あ、いたぃ!」
フラウに言われ、右腕の痛みが蘇ってきた。今までまったく感じなかったのに、意識した瞬間になんと言ってよいかわからないほどの激しい痛みに目から涙が滲む。
「とりあえずっ、医務室へ行って医者に診てもらおう!!学園の医者は腕が良いらしいからな」
無事な方の腕を取られ、ほら早く行くぞと顔を向けられる。腕は痛いが、リリーは左腕に感じるフラウの手の温かみに心臓をドキドキとさせた。こんな、場違いなのに・・・と頭を切り替え、リリーはフラウに引かれるまま彼の後を着いていった。
「先生、リリーは腕を怪我しているんだ。早く診てやってくれ」
「あらあらいらっしゃい。まあ二人とも大変!早く手当を致しましょう。さぁ、お座りになって?」
フラウに連れられて入った医務室には、艶やかな黒髪を持ったそれはそれは美しい女性が座っており、リリーの姿を視線に入れるとにこりと優しげな笑みを浮かべた。
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