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『“研治さん”・・・・・・。僕の、運命の人。』
鈴音は風呂上がりの頬を上気させ、携帯電話の画面を見つめていた。画面に映し出されている連絡先の宛名は、『研治さん』と書かれている。
鈴音は以前研治に助けてもらったことを思い出した日から、毎晩こうして携帯電話の画面を見つめては熱い溜息を零していた。
彼に連絡したい。会う約束をしたい。会いたい。そして、僕に一度あったことがあることを、僕を思い出して欲しい。
欲望は降り積もり続けたが、その一方で彼に嫌われたくないという想いも大きくなっていった。つい先日会ったばかりなのに、すぐに会いたいと言ったらきっと迷惑な奴だと想われるに違いない。
だから、鈴音は連絡をするのを躊躇った。だから、こうして毎晩『今日こそは、連絡しよう』と思い携帯を手に取り、そして思い直すのだ。
『あ~~、会いたい~~!!』
鈴音は後ろに敷いてある布団に体を倒し、四肢を投げ出した。天井を見ると、白いライトが目に眩しく手を翳して光を遮る。天井の模様が男の形に見え、研治のことを連想してしまう。もう何を見ても、今の鈴音には研治のことしか連想できなかった。
彼から連絡が来ないことから、会いたいのは自分だけかという寂しさも胸を刺す。
だが、
「それがどうしたー!!」
鈴音は思いきり目を瞑って叫び、両腕を布団の上に叩きつけた。
「鈴~、どうしたのー?」
「裕兄ちゃんっ、何でもないよ!」
鈴音の声に何かあったのではないかと裕の心配げな声が聞こえてきて、慌てて起き上がり気にしないでと声を張った。
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