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傘Ⅱ
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私は心配性だった。
例えば、今さしてる折り畳み傘。私は常に持ち歩いている。そうすれば今日みたいな予期せぬ雨も疎ましく思うことは無い。それとこの傘は最近新しく買ったものでむしろ少し気分は良かった。薄いピンク色で、所々白色の花が描いてありとても気に入っている。今、不満があるとするならもう一つの折り畳み傘だ。前におばあちゃんちに行った時、貰ったものだ。部屋に置いていったつもりだったので少し疑問に思ったがまあいいや、とそれ以上は深く考えなかった。私の好みと真逆にその傘は真っ黒だった。持ってるからいらないよと私は言ったが、おばあちゃんは言った。
「持っていきんさい。きっと必要になる。もしかしたらそれはあんたじゃないかもしれんけどねえ。」
その言葉に納得はしてなかったけれど、おばあちゃんが今まで私に強く言うことはなかったので何も言わず受け取ったのだった。
家に帰る道をとぼとぼ歩いていると少し先で水溜まりを前にあたふたしている男の人を見つけた。笑ってしまいそうなのをこらえて、その人が傘をさしていないことに気がついた。そして私はふと、もう一つの折り畳み傘の存在とおばあちゃんの言葉を思い出した。私は立ち止まりその人を見つめた。
「おばあちゃんの言ってたことってこれかな、、」
そうつぶやき近づいてくるその人を見つめていた。段々と近くなるにつれその人が同い年くらいの子だと分かった。濡れているシャツが目立つ。ふと、その人を見すぎていたことに気がついだ。彼も怖かったのか私のことを早く抜かそうとしていた。やらかしたなと思いつつ、何か言わないとと声を出した。
「待って!」
自分でも思ったより声を出してしまい、彼も少しびっくりしている様子でまたやっちゃった、、と心の中で反省し私は続けた。
「これ、あげる。」
そう言いおばあちゃんに貰った折り畳み傘を差し出した。すると彼は言った。
「いいよ家この近くだから。」
遠慮しているのだろうか、はたまた事実なのかは分からなかったが私はとにかく受け取って欲しくてまた口を開いた。
「これ、いらないの。だから返さなくていいよ。必要な人にあげようと思って。あなた濡れてるし、、」
自分で言いながら強引だなと感じ受け取ってくれないかもなと思った。
「ありがとう。」
そう言い傘を受け取る彼をみて安堵した。
彼はすぐその傘を開いたが、やっぱり私の好みじゃないなと思い彼を見ると何故か彼はもの凄く傘に注目していた。その表情は少しだけ喜んでいるようにも見えたが真っ黒なその傘に見とれるなんて変わってる人だと思った。とは言え自分の行いで人が喜ぶのはなんだか気分が良かった。スッキリした気持ちで私はまた歩き出した。
その時だった。
「起きなさいよ~。」
お母さんの声がした。ああ、夢かあと身体を起こして部屋にある真っ黒な折り畳み傘をボーッと見つめた。リビングへ行くと皆が朝食を食べていた。
「降水確率二〇パーセントなら雨は振らなそうね~。」
とテレビに映る天気予報を見ながらお母さんが言った。私は朝食を食べ終わり出かける準備をした。玄関の前で、私は鞄の持ち手をぎゅっと握り、何してるんだろうなと自分の事ながら苦笑いして扉を開けた。
鞄の中には二つの折り畳み傘が入っていた。
例えば、今さしてる折り畳み傘。私は常に持ち歩いている。そうすれば今日みたいな予期せぬ雨も疎ましく思うことは無い。それとこの傘は最近新しく買ったものでむしろ少し気分は良かった。薄いピンク色で、所々白色の花が描いてありとても気に入っている。今、不満があるとするならもう一つの折り畳み傘だ。前におばあちゃんちに行った時、貰ったものだ。部屋に置いていったつもりだったので少し疑問に思ったがまあいいや、とそれ以上は深く考えなかった。私の好みと真逆にその傘は真っ黒だった。持ってるからいらないよと私は言ったが、おばあちゃんは言った。
「持っていきんさい。きっと必要になる。もしかしたらそれはあんたじゃないかもしれんけどねえ。」
その言葉に納得はしてなかったけれど、おばあちゃんが今まで私に強く言うことはなかったので何も言わず受け取ったのだった。
家に帰る道をとぼとぼ歩いていると少し先で水溜まりを前にあたふたしている男の人を見つけた。笑ってしまいそうなのをこらえて、その人が傘をさしていないことに気がついた。そして私はふと、もう一つの折り畳み傘の存在とおばあちゃんの言葉を思い出した。私は立ち止まりその人を見つめた。
「おばあちゃんの言ってたことってこれかな、、」
そうつぶやき近づいてくるその人を見つめていた。段々と近くなるにつれその人が同い年くらいの子だと分かった。濡れているシャツが目立つ。ふと、その人を見すぎていたことに気がついだ。彼も怖かったのか私のことを早く抜かそうとしていた。やらかしたなと思いつつ、何か言わないとと声を出した。
「待って!」
自分でも思ったより声を出してしまい、彼も少しびっくりしている様子でまたやっちゃった、、と心の中で反省し私は続けた。
「これ、あげる。」
そう言いおばあちゃんに貰った折り畳み傘を差し出した。すると彼は言った。
「いいよ家この近くだから。」
遠慮しているのだろうか、はたまた事実なのかは分からなかったが私はとにかく受け取って欲しくてまた口を開いた。
「これ、いらないの。だから返さなくていいよ。必要な人にあげようと思って。あなた濡れてるし、、」
自分で言いながら強引だなと感じ受け取ってくれないかもなと思った。
「ありがとう。」
そう言い傘を受け取る彼をみて安堵した。
彼はすぐその傘を開いたが、やっぱり私の好みじゃないなと思い彼を見ると何故か彼はもの凄く傘に注目していた。その表情は少しだけ喜んでいるようにも見えたが真っ黒なその傘に見とれるなんて変わってる人だと思った。とは言え自分の行いで人が喜ぶのはなんだか気分が良かった。スッキリした気持ちで私はまた歩き出した。
その時だった。
「起きなさいよ~。」
お母さんの声がした。ああ、夢かあと身体を起こして部屋にある真っ黒な折り畳み傘をボーッと見つめた。リビングへ行くと皆が朝食を食べていた。
「降水確率二〇パーセントなら雨は振らなそうね~。」
とテレビに映る天気予報を見ながらお母さんが言った。私は朝食を食べ終わり出かける準備をした。玄関の前で、私は鞄の持ち手をぎゅっと握り、何してるんだろうなと自分の事ながら苦笑いして扉を開けた。
鞄の中には二つの折り畳み傘が入っていた。
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