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第1章 魔力要員として召喚されましたが暇なので王子様を癒します

31 告白(R)

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~Rシーン長めです。苦手な方は、後半「セリフ」拾い読みでも問題ないです~

*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*

 月あかりの中、護衛騎士の後ろを付いて行く。
 寒さで歯の根が合わなくなり、ゲンドルに借りた正装のまま来てしまったことに気付いた。
 髪は、ここに来て少し伸びたから、短髪だった時のように寝癖を気にすることは無くなったが、寝転んでいたせいで衣服は皺になっているかもしれない。
 そんなことも考えられないくらい、レヴィの事で頭が一杯だった。
(俺はどうかしていた)
 誰にでもすぐに情が移って親切にしてしまう玲史だから、恋愛もいつもその流れで何となく恋人になるけれど、泣くほど好きになったことは一度もない。そんな情熱が自分の中にあることも知らなかった。
 肉体的な関係や立場が受け身だからと言って、考え方も受け身になり過ぎて、卑屈になっていたのではないかと思い返す。
 空気を読んで遠慮するのはやめたはずだった。
 もう、レヴィの顔色を見て勝手に傷付いたりしない。
(やりたいようにやる。文句があるなら言ってこい)
 負の感情を追い払い、レヴィの私室に押しかける。
「レヴィ、お帰りなさい。遅くなってごめんね。癒しに来たよ!」
 何事もなかったかのように明るく、いつもの三割増しくらい元気に声を掛ける。
 ソファに座ったまま顔を上げたレヴィは、試作品でヴァナディスに癒してもらった割に、顔色が悪い。
 部屋着に着替えて洗浄魔術は行ったようだが、テーブルの上には空のグラスと丸薬が散らばっており、丸めてテーブルの下に捨てられた丸薬の紙袋から、薬の効果が出ずに癇癪を起した様子が見て取れた。
「呼んでいない」
 苛立ちを隠さず、突き放した言葉を投げつけるレヴィだが、追い返さずに部屋には入れてくれる。丸薬をよけて、癒しグッズのバスケットをテーブルに置く。
「っていうか、ここ、俺の部屋でもあるし」
「そういうことを言っているのではない。こんな寒い夜中に一人でふらつく奴があるか」 
 嫌みの言葉にも思いやりが見えてしまう。
(そんなところが人が良くて優しいんだよな)
 拒絶しきれない詰めの甘さに、この人は何も変わっていないと安心した。
「護衛騎士に付き添ってもらったから一人ではないよ。でも、この格好で来たのは失敗だったね。追い返されたら凍えるところだった」
 笑顔を見せたら、レヴィは舌打ちをして眉間の皺を濃くした。
「ゲンドルの服を着て、ゲンドルの匂いをさせてくるとは、俺も馬鹿にされたものだ」
「着る服が無かったんだから仕方ないだろ! いいから早く来いよ、俺の癒しがないと調子が戻らないんだから」
 いつもより強気な言葉で、ソファで気怠そうに反り返るレヴィの腕を掴んで引っ張った。
 渋々立ち上がったレヴィの背中に手を回して抱きしめる。
 抱き返してくれないレヴィを責めるように、いつもより強めに魔力を送った。
「ぐっ……」
 強すぎる魔力は痺れや圧力を感じると習ったから、今のレヴィもその状態だろう。
 だが、気にせず続ける。サッサと癒されて正気に戻ってほしい。
 不意にレヴィが玲史の頭を両手でつかみ、乱暴に上を向かせて唇を押し付けた。
 意趣返しのつもりか、口腔内を深く弄り、強引に舌を絡めてくる。
「んん……」
 上顎や舌の根を舐られ、尾骶骨から震えがせり上がってくれば、癒しハグの集中力が続かない。
 顔を逸らして逃げようとしたら、髪を掴んで更に上向かされ、いつのまにかリボンの解かれた襟元から、鎖骨を齧られた。
「痛いっ」
 思わず突き飛ばすと、顔色は戻ったが、責めるような瞳はやけに昏く沈んでいる。
「帰れよ」
「まだ癒しは終わっていないよ」
「頼むから、もう出て行ってくれ。今は貴方に優しくする自信がない」
「辛いなら、我儘を言っていいんだよ。さっきみたいのは驚くけど……乱暴にしたいなら、好きにしていいんだ。俺はレヴィのものなんだから」
 レヴィの両手を取って握ると、一瞬だけ縋るような目で見て、すぐに目を逸らした。
「貴方は酷い人だ。もう、ゲンドルのベッドへ帰れよ」
 ゲンドルとの仲を誤解して嫉妬しているのだろうか。そうだとしても、被害者ぶった口調が癇に障る。
 突然婚約者を同行させ、玲史を無視する自分の行動を振り返れと言いたい。
「ああ、そう。俺を追い出して、今夜は婚約者を部屋に呼ぶんだね。邪険にしてたみたいだけど、やることはやってたってわけだ。男のごつごつとした体より、やっぱり若くて柔らかい女の子の方がいいよね。長い事、ベッドを独占して悪かったね。じゃあ、元気に子作りに励めるよう、さっさと癒すよ。俺にはそれしかないからね」
 本気でそう思ったわけではないが、頭に浮かぶ嫌みをありったけ集めてぶつけ、再びレヴィの背中に腕を回して癒しハグを発動する。
「ちょっと待て」
「待たない。邪魔をして、また嫌がらせが増えたら困るからね」
「嫌がらせ……だと? どういうことだ」
 今度はレヴィが、玲史の体を引き離す。
「着替えや食事が届かない、呪詛まみれの花束を寄越す、ストーカーばりにあちこちで遭遇して侮辱する、帰還が告げられず、衣装と装飾具がすべて持ち去られる、その他諸々。どこまでがフロスティ公爵令嬢の仕業か知らないけれど、すべてセティ殿下に報告済みなので後でご確認ください」
 冷たく言い放ち玲史が両手を伸ばしたら、ハグは拒まれ、腕を掴まれた。
「報告ではなくて、なぜ早く兄上に言って止めさせない! ゲンドルは何をしていたんだ」
 玲史は溜息を吐いた。
「セティ殿下は寝ずにドリンクと気力で追加業務に追われているし、ゲンドルは王族居住区でのことについては口出しできない。だから安全なゲンドルの部屋でお世話になってる。俺は、婚約者とイイ事する予定のこの部屋に戻っていいの? それとも出て行って欲しいの?」
「あの女は婚約者などではない!」
 玲史の腕を強く掴んで叫ぶ。
「ヴァナディスは確かに婚約者候補だった。二人が15歳の時に茶会で顔合わせをして、婚約に向けて話は進んでいた。だが、フロスティ公爵から王太子にしてやるなどと寝ぼけたことを打診され、白紙に戻したはずだ。婚約者候補ではあるのかもしれないが、もう公式なものではない」
「でも、周りは、婚約者だと思ってるよね」
「言っているのは公爵の派閥だけだ」
 婚約者じゃない?
「うそ……」
「だから、俺のベッドにあの女が来ることはないし、俺から触れたこともない。肌を合わせたことがあるのも、後にも前にも貴方だけだ」
「俺だけ……」
 討伐訓練がレヴィの初体験……保護している男に媚薬を盛られて誘われて、その場の勢いで押し倒したのが初めてということか。とんでもない黒歴史を残させてしまった。
「レイジー、貴方を愛している。貴方がゲンドルを慕っているのは知っている。俺では先生に敵わないことも知っている。それでも好きなんだ。諦められない」
 レヴィの薄水色の瞳が微かに潤んでいる。
 いつも自信に満ちた、誰よりも強い王子様は、迷子の子供のような表情で玲史に愛を乞う。
 嬉しいけれど、それ以上に重い決断を迫られている。
 葛藤はあった。これはセティに対する裏切りだ。
 だが、自分に嘘を吐くことはできなかった。
「ゲンドルは、俺にとって大切な人だけど、恋愛感情なんかじゃないよ」
 レヴィの瞳が、不安そうに揺れている。
 レヴィがこんなにも不安になるのは、大事にしている玩具を、いつ取り上げられるか恐れているからなのだろう。
 ならば方法は分かっている。玲史の全てを手に入れたと実感できれば、彼の世界は変わるだろう。
 玲史の目には、後生大事に鳥籠を抱えながら、物欲しそうに指を咥えている幼いレヴィの姿が見えた。
 南京錠が幾つもかけられた厳重な鳥籠に、玲史は自ら捕らわれる。きっともう、ここから出ることはできない。
「レヴィ、俺も愛してる」
 終わりが来ることが分かっているから、せめてその日まで、レヴィには恋の喜びで満たされていて欲しい。
「レヴィ、一つになろうか」
 玲史の掠れた囁き声に、レヴィの喉が鳴る。
「俺の中の、誰にも触れられない秘密の場所に入れてあげる」
「ああ……夢を見ているようだ」
 玲史を強く抱きしめ、髪を撫でながら額や頬に口付ける。
 顔を上げて目が合うと、本当に夢の中にいるように熱に浮かされた眼差しで玲史を見つめている。
「ベッドに行こう?」
 レヴィは玲史を抱き上げ、バスケットの中のガラス瓶を数本まとめて掴み、寝室へと向かう。
 ベッドに下ろされ、すぐに衣服をはぎ取られた。
 下着まで全て脱がされた玲史を、レヴィが見下ろす。その瞳は欲望に色濃く染まっていた。
「今から貴方は私のものだ」
「俺はもう、ずっと前からレヴィのものだっただろ」
「違う。貴方の肌に触れていいのは俺だけだと言ったが、これからは貴方の人生も俺のものだ」
 執着まみれの甘い愛の言葉に、玲史は頭がくらくらした。
「逃がさない」
 箍の外れた束縛は、どこまでも振り切っていて、いっそ心地良い。
 薄い唇が近づき、玲史の唇を吸う。唇を開くと舌が潜り込み、上顎を舐める。舌を絡めとられて甘噛みされれば、全身が痺れてゾクゾクする。
 水音をさせて離れて行った唇は、勝手に硬く膨れた蕾を啄む。
「やっ……」
 乳輪から摘まみ上げ、指に挟まれてひしゃげた蕾を交互に舌で転がす。
 つねられる痛みと柔らかな舌を繰り返し与えられて、赤く腫れた突起が甘く疼く。
 そこを甘噛みされて腰を浮かせた。
「あ、だめっ」
 噛まれれば電流が走り、弄られれば蕩けそうになる。シーツを握りしめて身を捩じる。
 執拗な愛撫に硬くなってきた下腹を突き上げると、レヴィのシャツに擦れてビクンと背を仰け反らせる。
「やっ……ん……出るっもう……達くっ……乳首ぃっ……」
 レヴィは身を起こし、部屋着を下着ごと一気に脱ぎ捨て、玲史の足の間に陣取ると、ぷくりと膨れた乳首を千切れそうなほどにつねった。
 痛みは快感にすり替わり、下腹の疼きが脳天に突き上げた。
「あっ……いっ……っくぅ」
 胸と腰を反らせ、教えこまれた快感に身を任せた。久しぶりの刺激に、大量の白濁を勢いよく吐き出す。
 びくびくと小さく痙攣する下腹の新芽を、大きな手で根元から数回扱き、残滓を絞り出す。
「あうっ」
「もう一度、出しておくか?」
「いい、もういいから……レヴィの、するから……」
「俺はまだいい」
 そうは言うが、規格外の凶器は、さっきから血管が浮き、よだれを溢れさせている。
「貴方と肌を合わせてからというもの、この状態にはもう慣れた」
「それは、なんか申し訳ない……」
「謝ることはない。これから貴方の秘密の場所に触れさせてくれるのだろう?」
 調子に乗って格好良いことを言ったが、あの巨根が入るのだろうか。玲史は我に返り、自分のモノとレヴィのモノを見比べた。気付いたレヴィが、バスケットから取って来た瓶を枕元から拾い上げる。
「心配ない。王族は大きめな者が多いそうだから、閨教育でその辺はしっかり学んでいる」
「でしょうね……」
 遠い目をする玲史に愛おし気な笑みを向けると、詠唱を始めた。
 皮膚がスッとして飛び散った白濁が消えると、尻の中も体温よりやや冷たい何かが一瞬通り抜けた。
「ああ、そういう……」
 対男性でも、衛生面に配慮して事に至れるよう学んだのだろうか。どんな顔をして勉強したのか想像できない。
「貴方の体に傷を付けたくないから、協力してくれるか?」
 レヴィに促されて四つん這いになる。ふわっとハーブが香ると、尻にひんやりとしたものが塗られた。
「力を抜いて、俺に任せてほしい」
「よろしく、お願いします……」
 尻の小さな窄まりに、レヴィの太い指がゆっくりと差し込まれる。
 浅い部分を、指を回すように出し入れされ、背筋に鳥肌が立った。
 徐々に深い部分に出し入れされ、悪寒が止まらない。
 シーツを掴んで頭を押し付ける。
「痛いか?」
 頭を横に振って答えた。痛いわけではない。だが、とにかく下腹と背筋がゾクゾクする。それは続けるほどにざわめきが増す。
 ある部分を強く抉られた途端、体中に電流が走った。
「あっ、あっ……や……ダメ……」
 体中が心臓になったようにビクビク跳ねて、押される度に腰が勝手に前後する。不快だと思っていた感覚が快感なのだと体に覚えこまされる頃、喉から漏れる声が嬌声に変わっていた。
「ここが悦い所か」
「はあっ……ん」
 抉られると電流が体を駆け巡る。
 ねじ込んだ指を今度は左右に押し広げる。
「やっ……も……」
 オイルまみれのそこは、グチュグチュと卑猥な水音を立て、粘膜の赤い襞が捲れあがる。
「体が……変……中が熱い」
「貴方が欲しい」
「俺も……レヴィが欲し……来て……」
 蕩けた粘膜に熱い塊が押し付けられ、徐々に深いところに入ってくる。
 太いものに内臓を押し広げられるのは苦しいが、身構えていたような痛みはなかった。
 それどころか、性感を高められた秘所が激しく疼いてじっとしていられない。
「……っく、狭いな……痛く、ないか」
「あぁ……う、動いてぇ……」
 我慢できずに腰を前後させると、太腿で疑似体験したあのスピードで動き始めた。
「いっ……ああっ……」
 灼熱を打ち込まれるごとに喘ぎ、嬌声が止まらない。
 繋がったまま玲史の体を返し、上を向かせる。
 レヴィは愛おしそうに微笑み、玲史の唇を啄ばむ。触れあった舌同士を絡め合いながら、深いところで繋がっている部分を揺らす。
「んん……」
 角度が変わったことで、下腹への刺激が強まり、押し寄せる快感に目の前がチカチカした。
 ぐずぐずに蕩けた中を容赦なく突かれ、耐え切れず唇を解いてしがみ付く。
「また……達きそう……」
「俺もだ」
 腰を抱えられて、下から強く突かれる。
「っ……達くぅ……っ」
 玲史が白濁を吐き出すと、大量の熱い飛沫を腹の奥に打ち付けられた。
 繋がったまま、レヴィは玲史を抱きすくめ、唾液で濡れた唇を奪った。
「……んっ」
 チュっと音を立てて離れたレヴィは、いつの間にか溢れていた玲史の涙を舐め取った。
「レイジー、愛している。俺の宝。俺の命」
 玲史はレヴィを引き寄せ、広い背中を抱きしめる。
「俺も、愛してるよ。俺だけの王子様」
 愛しい愛しい、玲史だけの王子様。
 この幸せが少しでも長く続くことを、玲史はこの世界の神様に祈った。
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