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【四】学者さんとお坊さんの著作、「研究視点」か「宗教視点」か?
しおりを挟むまずは膨大な数にのぼる「般若心経」の解説本を書いている人達が、一体どんな方々なのか?
一番手っ取り早いのは、まず本を手に取ってその著者の肩書を見る事です!
大きく分類して、般若心経の解説本を書いている方々は、
① 大学などで仏教、宗教学、考古学等を研究している学者・研究者の方々
② 僧侶
③ いわゆる「ライター」と呼ばれる文筆業の方々
・・・に分類されます。
最近は電子出版の敷居が下がったこともあり、AMAZONなどで検索すると意外なほど上記に3つに当てはまらない「アマチュア研究家」の方々の著書も多いのですが、それはとりあえず除外しておきます。
【学者・研究者の書いた本】
まずは①の学者さんグループですが、これらの方々は仏典の「研究のプロ」とも言える人達です。
大学などに属し、それを研究することを生活の糧としているのですから、内容もかなり充実しており、その信頼性も高いと言っていいでしょう。
基本的に、今の仏典研究は遺跡の発掘などで発見された古代インドのサンスクリット語の「原典」を解読し、それと中国で翻訳され日本に伝わった仏典や、比較的原典が残っているパーリ語の経典類と「比較」することで仏典の真の意味を解明しようという方向が主流のようです。
日本で使われている経典は原則として仏教がインドから中国に伝わった際に、中国で翻訳された漢語のものですが、古代インドのサンスクリット語から中国の翻訳僧によって漢語に翻訳される際に、かなりニュアンスが変わってしまった、あるいは中国の道教の影響を受けて意図的に変容された部分が数多くあるといいます。
もちろん般若心経も同じで、例えば「色即是空 空即是色」という有名なフレーズで知られる「空」という意味自体も、漢語に訳されそれをさらに現在の日本語として解釈すると意味が判らなくなります。
・・・その部分をサンスクリット語の原典の単語のより正確な意味で捉え直す作業ですね!
言ってみれば英語のハリウッド映画を「吹き替え」でもなく「字幕」でもなく「ネイティブな英語」で聞いて理解しよう!という行為に近いかもしれません。
当然、映画でもその真の意味を知るにはネイティブな英語を聞いて理解出来れば、一番正確な意味を知ることが出来るのは明らかですね。
こうしてオリジナルであるサンスクリット語レベルで解読された、学者さんや研究者の人達によって書かれた般若心経の解説は、基本的にかなり真面目に般若心経の内容を解説している「良書」といえます。
まあ、こういう方々はその筋の専門家としての自負もあるでしょうし、こうして著した著書自体が自分の評価に繋がりますから、あまりいい加減な本は出せません(笑)
・・・というわけで、大学などで仏教、宗教学、考古学等を研究している学者・研究者の方々が書かれた本は「オススメ」です!
【僧侶の書いた本】
お次は②の僧侶、つまりお坊さんの書かれた本です!
①の学者・研究者の人達が仏典の「研究のプロ」とすれば、お坊さんは「実践のプロ」とも言えますねぇ。
※お坊さんで仏典の研究者も兼ねている方も意外と多く存在します。
基本的に般若心経を唱える宗派というのは、密教系の真言宗と天台宗、そして禅宗系の曹洞宗・臨済宗なので、般若心経の本を出されているお坊さんも、ほぼこの宗派のお寺のお坊さんと言う事になります。
日々のお勤めや法事等で実際に般若心経を読誦し、それについて檀家さんなどに説法もされる機会も多い、こうしたお坊さんの書いた本もそれなりに詳細なものが多いです。
・・・なんたってお坊さんたちはお経の「プロ」です!
ま、お坊さんがみな勉強熱心で、お経の内容にも精通しているとは限らないのですが・・・。
一応は学者さんと同じで「それで食べている」方々ですしね(汗)
ただし、ここで忘れてはいけないのは、こうしたお坊さんたちが書いた般若心経の解説本は「それぞれの宗派の教義で色付けされている」ということです!
要するに学者や研究者の方々は仏典をとてもフラットに「研究対象」として扱っているので、そこにあまり宗教的な解釈や「独自の」解説が入っていないのですが、お坊さんたちはまさしく「宗教」として般若心経に接しているので、当然そこには「信仰としての般若心経」という視点が入っているのです!
当然ですが「真言宗」のお坊さんは「真言宗」の教義に沿った般若心経の解釈をしますし、天台宗、曹洞宗でも同じことです。
・・・般若心経が「仏教」という宗教の産物である以上、これは別に悪い事でも何でもありません!
①の学者や研究者の方たちが書いた般若心経の解説本か?②のお坊さんの書いた本を読むか?これは優劣の問題ではなく好みの問題で、もっと言うと貴女自身の般若心経との付き合い方によっても大きく変わってくると思います。
「研究視点」か「宗教視点」か?・・・よほど不勉強なお坊さん(汗)が書いた本でない限り、私はどちらを重視してもいいと思いますね。
むしろ、その時の気分でどちらを楽しんでもいいと、そんな風に思います!
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