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第七十八話 「天からお札が降った!そのカラクリ」

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 松浦静山著「甲子夜話続篇」

 巻五十五、六「御麻おはらいを降らせし姦者を捕ふ」より


 甲子夜話続編、五十一巻に、伊勢の神職・足代権太夫が「お陰参り」の大流行のきっかけとなった「天からお札が降った」という奇談について、ちまたの山師の仕業と嘆息したことを書いたが、はたしてこの十月中頃、交替寄合(旗本の家格の名)松平主水の知行所(三河国、西群)で、山師が一人捕まったという。

 この山師は所々で豆御祓、あるいは剣御祓(いずれも神社等のお札)を降らせた張本人であるという。
 その山師が白状したところによると、丹後の国(京都府北部)辺りでも、お札を降らせたということだ。

 さて、そのカラクリであるが、高い山、又は高い木に登って、四、五寸(13cm程度)の細いあしの下に団子を差して、その上に御祓幣を挟んで、山上や木の所々に置いておくのだという。
 そうして放っておくと、とびやカラスなどの鳥類がその団子を食べ、後には樹木のこずえに御祓幣だけが残るのだ。
 それを風が吹き飛ばして、天からお札が降るように見えるのだという・・・。

 とびには、油揚げに御祓幣をつけてさらわせたこともあったという。

 この山師の仕掛けが露見したのは、山師が柿の木に登って仕掛けを設置しているのを人が見つけて不審に思ったからだという。


 ・・・江戸時代、何度か爆発的に大流行した「お陰参り」

 女性や店の小僧までが家を勝手に抜け出して伊勢神宮参拝の旅に出たと言います。
 現在では社会不安がもたらした現象、と説明されていますが、そのきっかけとなったのは各地で天からお札が降った・・・という怪現象。

 当然、そのような社会不安に付け込んで、祈祷をしたり、お札を売ったりして儲ける山師の仕業が疑われますが、実際にその山師の一人が捕まったという記述です。

 その仕掛けを聞いてみれば、意外とシンプル・・・しか、よく考えたものだとちょっと感心しました。

 ちなみに、鳶・・・油揚げばかりでなくハンバーガーやお弁当も狙ってきます(笑)
 海岸沿いで何かものを食べる時は、充分注意しないとやられます・・・・(経験者)


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