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第四十四話 「現場検証の結果犯人は・・・・・」

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 松浦静山著「甲子夜話」


 巻四十三、七「賊猫ヲ弁ズ」より


 ものを観察するには、その性質をよく知っておくべきである。

 私(静山)の家臣の者が、ある日、自分の家へ帰ると衣装箱が倒されていた。
 その上に置いてあった物も、中に入っていた物も畳の上にめちゃくちゃに散らかされていた。

 家臣は、雇っている使用人を大声で呼んだが近くには居なかった。
 一人で怒っていると使用人が戻ってきたので、家臣は下僕を叱りつけた。

 「これは一体どうしたのだ!」

 「これは・・・私も今御門の外から帰ってきたばかりですので存じ上げませんが・・・」

 家臣は、家に泥棒が入ったのだと思い、他の者に頼んで奉行所に届け出に行ってもらった。

 家臣と使用人は、二人で散らかされた衣装箱を調べることにした。
 散らかされた中に、二朱銀が一つ落ちていた。

 以外にも紛失した者は一つもなかったが、疑いが晴れずにさらに調べると、鰹節の小さくなったものを入れておいた器から中身が無くなっていた。

 家臣は気が付いた。

 「・・・・これは最近よく出没する泥棒猫の仕業だ・・・・」

 家臣は、慌てて奉行所に届け出た訴えを取り下げてもらったという。

 
 文字通り犯人(?)は「泥棒猫」だったというお話・・・・。

 「始て思ふ。近頃頻来するの所為なりと。」

 という原文がなんとなく面白かったのでご紹介しました。



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