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第四十話 「民衆へのお触書は判りやすさが第一」 ~最近思い当たるフシが~
しおりを挟む松浦静山著「甲子夜話」
巻十九、一 一「曽我丹波守、きりしたんの文字書法の事」
大阪町奉行の曽我丹波守古祐殿の所に、ある日江戸から奉書が届いた。
その内容は「町方等での耶蘇宗門の取り締まりを厳しくせよ」というお触書だった。
古祐殿は顔をしかめて言った。
江戸の御祐筆(書類作成係)次第では、このような事になるのか・・・。
我々への命令書は上様の上意を伝えるものであり、江戸では「耶蘇宗門」などという言葉も知っている者も多いから、これで良いと思っているのだろうが、片田舎へ出す高札(お触書の札)などに「耶蘇宗門」などと書くと、民や百姓は「これは何という宗派だろう、きりしたんの他に御法度の宗門があるのだろうか・・・」と疑問に思うだろう。
およそ民にお上の触れを伝える高札等は、田舎の百姓など下々の者にもよく理解できるように、日本の語であるひらがなで書くべきであろう。
格好をつけた文書を作って、それが書簡の作法だと思うことは道理に合わないことだ・・・・。
この「耶蘇宗門」という所は、「きりしたん」に直しておけ。
・・・ここ半年ほどでよく耳にするようになった、オーバーシュート、クラスター、ロックダウン等の言葉
大阪町奉行・曽我丹波守が現代に蘇ったら絶対にダメ出ししそうです・・・。
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