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第三十七話 「紫色の猫と大きな猫の話」
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松浦静山著「甲子夜話」
巻二十、二三「紫毛の猫 又神崎の大猫」より
南画家、谷文晁から聞いた話である。
獣の毛には紫色のものは無いという話であるが、奥州(現在の岩手県等)の猫には、時々紫色の毛をもったものがいるという。
その色は、藤の花のような紫色だということだ。
奥州は養蚕が盛んな国であるので、蚕が鼠に食われないように、鼠を捕る猫をよく選ぶという。
馬一頭の価格が一両くらいなのに、よく鼠を捕る猫は五両もの値がつくという。
その土地によって物の価値が全く違うのは面白いことである。
山猫で紫色をしているものは、もしかしたら家に飼われていた猫が、年老いて山に入った者なのかもしれないと言われている。
また、私(静山)が、数年前に旅行した際、肥前(現在の佐賀県)の神崎かどこかで、猫が畑の中を歩いているのを見たが、その猫は犬ほどの大きさで、尻尾は長く三毛猫だった。
同行していた者が「あれ、あんな大きな猫は珍しい」と叫ぶと、藪の中に入っていた。
猫もこれほど大きくなるものがたまにいるのだ。
グレー系の猫は、光の加減によっては紫色に見えないこともないですが、藤の花のような鮮やかな紫色の猫とは・・・。
江戸時代、猫は鼠を捕るという実利がある反面、「化ける」「年を取ると妖怪(猫又)になる」「神仏は猫を禁じている」などと、ネガティブな見方も根強いものでした。
たまに人の言葉っぽいものを話したり、二本足で立ったり、慣れると襖の開け閉めもするなど、けっこうミステリアスなのが理由でしょうか。
ただ、女性の間ではその可愛らしさは人気で、特に大奥や吉原など、ストレスの多い環境の女性には好んで飼われていたといいます。
男性で超「猫派」の筆頭と言えば、浮世絵師の歌川国芳(1798~1861)でしょう。
国芳の絵は私も大好きですが、特にこの絵が好きです。
巻二十、二三「紫毛の猫 又神崎の大猫」より
南画家、谷文晁から聞いた話である。
獣の毛には紫色のものは無いという話であるが、奥州(現在の岩手県等)の猫には、時々紫色の毛をもったものがいるという。
その色は、藤の花のような紫色だということだ。
奥州は養蚕が盛んな国であるので、蚕が鼠に食われないように、鼠を捕る猫をよく選ぶという。
馬一頭の価格が一両くらいなのに、よく鼠を捕る猫は五両もの値がつくという。
その土地によって物の価値が全く違うのは面白いことである。
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同行していた者が「あれ、あんな大きな猫は珍しい」と叫ぶと、藪の中に入っていた。
猫もこれほど大きくなるものがたまにいるのだ。
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ただ、女性の間ではその可愛らしさは人気で、特に大奥や吉原など、ストレスの多い環境の女性には好んで飼われていたといいます。
男性で超「猫派」の筆頭と言えば、浮世絵師の歌川国芳(1798~1861)でしょう。
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