「真・大岡政談」 ~甲子夜話にみる真実の大岡越前守~

 名奉行として名高い「大岡越前守」(大岡 忠相 1677~1752)

 そのお裁きは「大岡政談」「大岡裁き」として有名で、落語や講談、テレビドラマ、吉川英治氏の小説なども有名ですが、実は実際に大岡忠相本人が関わったお裁きは殆ど無く、他の名奉行と呼ばれた人達のお裁きだったり、有名な「子争い」の逸話などは旧約聖書のソロモン王の裁きが原話だとか・・・。
 
 「名奉行」として多分に偶像化、理想化された存在の大岡越前守ですが、当然その実際の人物像も、庶民の気持ちをよく理解している大変聡明な人だったのでしょう。
 だからこそ庶民は、彼に正義を実現してくれる理想のキャラクターを求めたのだと思います。

 肥前国平戸藩の第九代藩主・松浦静山(1760~1841)が20年余に渡って書き記した随筆「甲子夜話」には、そんな大岡忠助の「真実」の人となりが分かる逸話が掲載されていますので、ご紹介したいと思います。

 非常に短い読み切りの三話構成となります。

24h.ポイント 0pt
1
小説 192,201 位 / 192,201件 歴史・時代 2,387 位 / 2,387件

あなたにおすすめの小説

二人の花嫁

糺ノ杜 胡瓜堂
歴史・時代
 江戸時代、下級武士の家柄から驚異の出世を遂げて、勘定奉行・南町奉行まで昇り詰めた秀才、根岸鎮衛(ねぎしやすもり)が30年余にわたって書き記した随筆「耳嚢」  その「巻之七」に二部構成で掲載されている短いお話を、軽く小説風にした二幕構成の超短編小説です。  第一幕が「女の一心群を出し事」  第二幕が「了簡をもつて悪名を除幸ひある事」 が元ネタとなっています。  江戸の大店の道楽息子、伊之助が長崎で妻をつくり、彼女を捨てて江戸へと戻ってくるところから始まるお話。  おめでたいハッピーエンドなお話です。

河内の張楊のこと

N2
歴史・時代
三国志の群雄のひとり、河内(かだい)郡の太守張楊についてのお話しです。 物語の三国志(演義)では極めて個性のすくないモブ諸侯というべき配役ですが、歴史書をよむと見方が変わってきます。 呂布シンパというか、并州人士のなかに遺る呂布への複雑な感情を仮に愛憎ふたつに切り分けるならば、そのうちの“愛”の部分を代表する人物であると言えましょう。呂布との関係が終始良好な、数少ないキャラクターでもあります。 活躍もすくなく血沸き肉躍る物語にはなりようがありませんが、乱世にひとりくらいこういうひとがいても良いでしょう。 これも大変短い作品です。出来ることならば、ひと息にお読みいただけると幸いです。

ジャンヌ・ダルクは考える

藤いろ
歴史・時代
1431年5月30日、フランスのルーアンにて、多くの群衆の前でジャンヌ・ダルクという女性が高い柱に縛り付けられ、火あぶりの刑にされる瞬間。 ジャンヌ・ダルクは自らの行動を振り返り、自己犠牲的な戦いと国への献身を思い巡らせながら、人々の浅はかさや自己中心的な性質についても考えます。 彼女は人々が自分を「魔女」と呼びながら、人間でない存在とみなすことに苦しみながら、なぜ自分がこのような道を選んだのか、人間の定義や価値観について熟考します。 この物語はジャンヌ・ダルクの最期までの内省的な思考が描かれたものです。

「地震奇談平安万歳楽」~文政十三(1830)年の京都地震の手記~

糺ノ杜 胡瓜堂
歴史・時代
 曲亭馬琴編著の「兎園小説 拾遺」より  京都在住の東鹿斎という人の書いた「地震奇談平安(みやこ)万歳楽」・・・文政十三(1830)年の京都地震の手記です。  余震が長く続き、京都の人々を怯えさせた地震の生々しい様子が書かれています。  家の中に避難している人々を見て古老が「(倒壊するから)通りに避難しろ」と叫んで回っているのが非常に印象的です。  非常に短い読み切りです。

虹ノ像

おくむらなをし
歴史・時代
明治中期、商家の娘トモと、大火で住処を失ったハルは出逢う。 おっちょこちょいなハルと、どこか冷めているトモは、次第に心を通わせていく。 ふたりの大切なひとときのお話。 ◇この物語はフィクションです。全21話、完結済み。

犬鍋

戸部家尊
歴史・時代
江戸時代後期、伊那川藩では飢饉や貧困により民は困窮の極みにあった。 藩士加賀十四郎は友人たちと光流寺へ墓参りに行く。 そこで歴代藩主の墓の前で切腹している男を発見する。 「まさか、この男は……殿なのか?」 ※戯曲形式ですので一部読みづらい点があるかと思います。

TAKAFUSA

伊藤真一
歴史・時代
TAKAFUSAとは陶隆房のことである。陶隆房の名は有名ではないが、主君大内義隆を殺害し、のち厳島の合戦で毛利元就に討たれた陶晴賢といえば知っている人も多いだろう。その陶晴賢の歩みを歴史の大筋には沿いながらフィクションで描いていきます。 全く初めての小説執筆なので、小説の体はなしていないと思います。また、時代考証なども大嘘がたくさん入ってしまうと思いますがお許しください。少数の方にでも読んでいただければありがたいです。 *小説家になろう  にも掲載しています。 *時間、長さなどは、わかりやすいと思うので現代のものを使用しています。

答えは聞こえない

春想亭 桜木春緒
歴史・時代
明治初期、旧幕臣小栗家の家臣の妻であった女性のお話。短編。完結済。