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第七十幕「雌犬女王陛下」~ヴァネッサの新たな提案~
しおりを挟む「・・・・そっ、それがっ・・・・」
ヴァネッサが次の言葉を言い渋る、彼女が言葉に詰まる時はアレクシアにとってはロクなことにならないことは彼女も経験則で理解している。
「・・・・・それが・・・どうしたの?また劇場でやるなら、あの変態貴族共の秘密倶楽部よりはずっとマシよ!」
「・・・・それが・・・アレクシア様っ・・・私は、首都近辺でしたら貴族達にも平民達にも知人が多く、この国一番の歓楽街ローシェルにあった「パライソス・ドゥ・エール」のようなお店の経営者とも顔馴染みが多いのですが、地方では・・・」
「・・・そ、そりゃそうでしょうね・・・・」
ヴァネッサは申し訳無さそうにアレクシアに「核心」部分を告げる。
「・・・・もちろん、各地の田舎町にもストリップ劇場や、いかがわしいショーを催す劇場はあるとは思うのですが、どうにも私にはコネがなくて・・・」
「・・・・顔と身分を隠してもダメかしら・・・・」
「・・・はい・・・むしろ田舎町の方が、そういう詮索は厳しいのです、よそ者が入り込むのを嫌がる閉鎖的な気風がありますから、顔と身分を偽ってショーに出ると、余計に詮索されるのは間違いありません・・・それに、彼等には彼等なりの情報網が存在しますから」
「・・・そう、その点は、色々な地方や他国から人が集まる首都ラノールの方が都合が良かったわけね?」
「・・・・はい、ローシェルのような大都市の歓楽街なら、他国からの流れ者や、地方の食いつめ者の坩堝ですから、いちいち場末のストリップ嬢の身元の詮索などしないのです・・・・」
「・・・・それじゃ、どうすればいいの?ヴァネッサ!」
アレクシアが焦れて、結論を急がせる・・・・。
「はい、アレクシア様にはちょっと申し訳ないのですが、かえって危険な現地の劇場や酒場等を使わずに、遊撃的に、繁華街の路上でショーを行うのです・・・・」
「・・・・・は、はぁ?」
田舎町の繁華街の路上で行うサプライズセッ〇スショー!・・・・アレクシアは呆れ返って一瞬キョトンとした表情になり、すぐに怒りをあらわにする。
「・・・・な、なによそれ?・・・・路上で乞○みたいに「見世物」になってお金でも恵んでもらうのっ?貴方ねぇ・・・馬鹿も休み休み言いなさいよっ!ヴァネッサっ!」
女王アレクシアの叱責にも、侍女長ヴァネッサは大真面目に応える。
「・・・はい・・・でも、ただ路上で性行為をするというのは、単なる痴女か露出狂と思われて、かえって騒動になるかと・・・ここは、一応よくある境遇をこしらえて、自然に行うのです・・・・」
「・・・・・ど、どんな?」
「はい、アレクシア様とアラミスは、さるお屋敷の使用人で、主人に内緒で密通していたのです、それが女主人にバレて屋敷を逃げ出したのです、そして一文無しになり、お金を稼ぐために路上でショーを始めた・・・という筋書きはいかがでしょうか?」
・・・・一瞬ポカン・・・と口を開けてあっけにとられるアレクシア。
「・・・・ヴ、ヴァネッサ!貴方、絶対面白がっているでしょ?・・・よくそんなくっだらないストーリーが思いつくわねっ?最近流行りの下品な小説の読み過ぎなんじゃないのっ?」
・・・近頃、首都近辺の知的階級の間では、男女の愛のもつれをテーマにした、濡れ場の描写が豊富な、いささか低俗な小説がブームとなり、次々と出版されているのだ。
「いっ、いえっ、アレクシア様っ、私はあんないかがわしい小説などっ・・・」
「ふ~ん・・・・まあ、いいわ、今回は貴方が考えた、ってことにしてあげる・・・思い切り「悪趣味」だけどねっ!」
胡散臭そうな目でヴァネッサを見るアレクシア。
「・・・・ププッ」
先ほどから側でじっと聞いていたアラミスがつい吹き出す。
それを見たアレクシアがいつもの調子で癇癪を起こす。
「アラミスっ!何がおかしいのっ?あなたもサカリのついた野良犬みたいに、路上で「する」ことになるのよっ!」
「・・・・は、はいっ・・・申し訳ございません、アレクシア様・・・・」
アラミスは、再び小さくなって聞き役に徹する。
「まあ、落ち着いてください、アレクシア様・・・・あくまでこれは「お芝居」ですから・・・要は、人が集まる路上で遊撃的に、そ、その・・・性行為をして、サッサと退散するのです!一回で数十人から上手くいけば百人くらいは観客を集められると思いますし、短時間ですからアレクシア様の正体がバレる危険性もずっと少ないと思うのです・・・・」
超大国ロシュニア王国の女王アレクシアともあろうお方が、田舎町の盛り場で、発情したメス犬のように路上で性行為を行って、見物人にお金を恵んでもらう・・・・。
普通に考えればこれ以上はないという屈辱に思えるが、魔女にかけられた淫欲の呪いに日々苛まれているアレクシアにとっては、正体がバレる可能性が低い今回のヴァネッサの提案は、心が動くものだった。
彼女も、呪いによる苦痛から逃れたい一心で、感覚が麻痺しているのかもしれない・・・・。
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