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【十六】 ヒンドゥー教の人気を取り込め!「密教」大作戦8、鬼子母神様と大黒様の場合♥
しおりを挟む「密教」で、仏教に帰依したヒンドゥー教の神々の中には、「元食人鬼」「破壊まにあ」「即キレ野郎」とかムチャクチャ凶悪な神々も大勢います(笑)
「恐れ入りやの鬼子母神」のダジャレで有名な、鬼子母神様(訶梨帝母とも)もそんな「鬼神」の一番有名な例でしょう♥
左胸に幼児を抱き、右手に吉祥果(またはザクロ)を持った優しい姿の「鬼子母神(訶利帝母)」様は、ヒンドゥー教時代は「ハーリーティー」(これが訶利帝母と訳される)といいまして、500人の子供を持つ子煩悩で優しい母親でした。
しかし本来「鬼女」ですから、当然食べるものは「人間」・・・しかも子供!
・・・ハーリーティーさんは、自分の子育ての一方で、毎日人間の子供をさらっては食べていたのです!
でも、まあ我々人間も「仔羊のソテー」とか香草焼きとか食べますしねぇ・・・「鬼神」が人間を食うのは決して「悪」とは言えない気はしますけどね。
しかし、食われる側の人間の母親からすれば、たまったもんじゃありません!それも判ります。
ハーリーティーに自分の子供を食べられた人間の母達は嘆き悲しみ、お釈迦様に相談します。
するとお釈迦様は、ハーリーティーが一番可愛がっている末っ子のピンガラくんを法力で隠してしまいました!
可愛がっていたピンガラがいなくなり、半狂乱になって世界中を探すハーリーティー・・・しかし彼女がいくら探してもピンガラの姿はどこにも見つかりません。
万策尽きた鬼子母神様はついにお釈迦様に相談に行きます。
するとお釈迦様は法力で隠していた末っ子のピンガラくんをハーリーティーに返し、こう諭します。
「500人いる子供のうち、たった一人を失ってもお前はこれほど嘆き悲しむだろう、数人しかいない子供を失う人間の母親の悲しみはいかばかりであろうか?もう人間の子供をさらうって食う罪深い事は止めるのだ」
・・・ハーリーティーは深く感動し、仏教に帰依し、それからは人間の子を食う事を止め、逆に人間の母と子を守る守護神となったのでした、メデタシ、メデタシ。
・・・というお話です。
北斗の拳の「レイ」ではないですが、最初悪役で出てきたキャラが「正義」キャラになるのはカッコいいですねぇ♥(なんでそんな例え・・・)
恐ろしい鬼女がお釈迦様に諭されて仏教に帰依したというストーリーですね。
ちなみに「どうしても人間の肉が食べたくなったら、その時は代わりにこれを食べなさい」とお釈迦様が渡してくれたのが「柘榴」という話もありますが、元々彼女が手にしているのは「吉祥果」という架空の果実で柘榴とは経典には書かれていません。
この柘榴の話は、柘榴には種がたくさんあることから「子沢山」の象徴として中国か日本で造られた「二次創作」(笑)だと言われています。
そういや柘榴って、中身は肉みたいに真っ赤ですしね、そういう連想も働いたのでしょう♥
・・・さて、お次はこれまた有名な「大黒様」
今は「マネーのことならこの神様♥」・・・っいて言うくらい「七福神」の「財務担当」として、福々しい容姿で大人気の「大黒様」ですが、彼もまたヒンドゥー教時代は「マハーカーラ」(大いなる暗黒の意味、つまりそのまんま「大黒」)という神で、それはシヴァ神の異名でもあるといいます。
だから元は凶暴な「破壊神」なのです、マネーどころの話ではありません(笑)
そんなわけで大黒様も元は非常に恐ろしい神様だったのですが、やはり仏教に帰依して仏教の善神となりました。
特に日本に来てからは(って観光かっ?)、同じ名前の日本古来の「神道」の神「大国主神」と習合(合体)して福の神となります。
仏教に帰依して善神となった大黒様は、人肉を食らう「夜叉」の一族達を全員、仏教に帰依させようとします。
・・・えっ?そ、そんな北斗の拳の「モヒカンザコ」みたいな凶暴な連中を、仏教徒にするとか・・・そんなこと出来るんでしょうかね?無理がありませんかぁ、大黒様?
しかしそこは自分も「元ワル」の大黒様(笑)
大黒様は凶暴な夜叉達を集めて怖い声で叫びます!
「オマエラさ、人間を捕まえて食ったり、墓で死体を食ったりしているんだって?」
「・・・はぁ、それが私達の主食ですから」
「そうだな、まあ人間の肉が主食なら、そりゃしゃあねぇなぁ・・・」
「・・・は、はい(ホッ、助かったぜ)」
「それじゃあよぉ、俺様がお前達「夜叉族」を片っ端から食っちまっても文句ないよな?俺にとってはお前ら「夜叉」達も食い物だからなぁ?」
「・・・え、大国様が俺達をっ?・・・そ、それはっ・・・」
「どうだ俺に食われるのが嫌か?・・・オラッ返事しろよ!俺に食われるのが嫌ならば、全員仏教に帰依しろ!」
「ふ、仏教・・・ですかっ?」
「おお、そうよ!そうしたら命は助けてやるぜ?それにな、仏教に帰依したら人間の肉とか穢れたものを食わなくても神として生きていけるようにしてやるぜ、どうだ、それでも人間の生肉を食らう穢れた夜叉のままがいいかっ?「神」としていい生活を送りたいかっ?」
「はっ、はいっ!私達も仏教に帰依しますっ!是非そうさせてくださいっ!」
さすが元は怖い大黒様♥こうしてすっごい脅し文句で、凶悪な夜叉達を仏教に帰依させたといいます!
大黒様スゲぇ!
元々が青黒く恐ろしい容姿だった大黒様(ヒンドゥー教の神様って元々けっこう怖い)も、日本に入ってきてからは、次第に米俵の上に乗って頭巾を被り、打ち出の小槌を持つ福々しい姿へと変わってゆきました。
色んな福徳の詰まったハッピーユニット「七福神」のメンバーに抜擢されて、打ち出の小槌、財宝の入った袋を担いでいる福々しい大黒様ですが、実は「招財」(金銭運)だけではなくて、実はあまり知られていない「裏の顔」もあります。
大黒様は「男女の和合」・・・つまりは男女のラブラブ行為もその「担当」だったりするのです!
七福神のお色気担当は弁才天様ですが、大黒様も人間の繁栄を陰でアシストしているのですっ♥
・・・ええと、二つの米俵の上に乗って頭巾を被った大黒様の姿をよくご覧ください!
後ろから見た大黒様のシルエットって、何かに似ていません?
見えます、見えますっ♥・・・これは間違いなく「チ〇コ」ですねぇ・・・どう見ても「チ〇コ」ですねぇ(笑)
それも「元気」になったお姿っ!(照)
実は、大黒様のシルエットが「チ〇コ」の形をしているのはただの偶然ではなく、日本に来て陰陽道とも習合(合体)した、福徳に繋がる「性神」として、あえてそう造られているのです!
手に持つ打ち出の小槌はジグムント・フロイトの「精神分析学」を持ち出すまでもなく、もちろん男性器の象徴で、そこに描かれている宝珠型の文様は女性器の象徴!ここでも「男女の和合」が象徴的に表されています。
※フロイトはその著書「夢判断」で、武器や長いもの、尖ったものは「男性器」の暗喩と解しております。
これはテキトーなこじつけではなく、古い大黒様の絵を見ると、親指を人差し指と中指の間に入れる「女握り」・・・つまり暗黙の内に「女性器」を示したい時によくやる表現(最近はあまり見なくなりましたが、昭和の昔はそれで意味が通りました)の握り方をしていることからも分かります。
大黒様はいたるところに陰陽の「男女の和合」が散りばめられているのです♥
ラブラブな男女には幸福がやってくる・・・大黒様のおかげです!
そういやセッ〇スが充実している夫婦やカップルは全て上手くいく!なんて説もありますねぇ・・・あれは大黒様的に見ると最高に理にかなった説だと思います♥
ヒンドゥー教のシヴァ真が密教の守護神になって、さらに日本に来て神道の神や陰陽道とも合体して、福徳と男女和合の神となったなんて、面白いですね。
また、我らがスーパーアイドル、弁財天も当然元はヒンドゥー教の女神で、もとは「サラスヴァティー」という「川の女神様」です。
サラサラと川の流れる音が美しい音楽に通じるところから、音楽の神に、それから発展して弁舌、芸術、美、恋愛、学力から「弁財天」と漢字を変えて招財の神と、まさに万能の女神様となったのはヒンドゥー教神の一番の出世頭とも言えます!
こんな調子で、ヒンドゥー教の神々を次々と取り入れていった密教!
気付いた時にはもう既に「神様の総合商社」「ご利益バーゲンセール」状態。
・・・ヒンドゥー教の神々を取り入れ、そこに新しいストーリーを作り出すインドの人々は「物語」好きなのです。
それが「密教」の大きな特徴です。
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