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【十三】 ヒンドゥー教の人気を取り込め!「密教」大作戦5、大型新人!集団ユニット、デビュー物語♥
しおりを挟むインドで衰退しはじめた仏教のなりふり構わない「リベンジ」策!
それはヒンドゥー教の人気の部分をことごとくパク・・・い、いや「仏教的に再解釈」して仏教自体に取り入れる事でした。
お釈迦様自身も否定し、お釈迦様入滅(死亡)から百年後くらいに起った「根本分裂」で「上部座仏教」「大乗仏教」に分かれてからも頑なに否定していた儀式や呪術、おまじない(呪文・真言)を大々的に宣伝して民衆にアピールし始めたのです(笑)
・・・まあ、それは良いとして(?)
前話あたりからシレッと「弁才天」様とか「不動明王」様とか「観音様(観世音菩薩・観自在菩薩)」様とか、色んな名前が出てくるようになりましたがこれは一体・・・?
日本のお寺に行くと、お釈迦様以外の仏像が「ご本尊」になっている方がむしろ多いかもしれません、これはなぜでしょう?
なんか剣とか斧とか、罪人を捕縛する為の捕り縄と(羂索といいます)・・・物騒なモノを持ってメッチャ怖い顔をした「神様」がいたり、古代中国のセレブの衣装を身に着けた優美な女神様もいたり、江の島の弁財天様みたいに大胆「おヌード」の女神様がいたり(!)何が何だかわからなくなってきます・・・。
仏教はお釈迦様自身も「神様」ではないし、そもそも「神様」を拝む宗教ではなかったはず!
実は、この様々なご本尊達、特に「明王」と「天部の神々」は主に「密教」が次々と創り出し流行させたものなのです!
ご存じのようにヒンドゥー教は「多神教」、シヴァ神、ヴィシュヌ神など多数の神が名前や神格を変えて多数存在します、その数はもうメチャクチャ多いです!
そのバラエティに富んだ神様達のパワーや神話もヒンドゥー教の人気の一つと言えます。
一神教のように「唯一絶対の神」という存在はいませんから、自分の好きな神様を選んで拝めばいいし、そこには多様性とマ~ッタリした「おおらかさ」があります。
・・・実は仏教(密教)は大胆にも、このヒンドゥー教の「多神教」のシステムを取り入れたのです!
ついに「パンドラの箱」を開けちゃいましたねぇ、仏教♥
と言っても、仏教においては再三言うように「神」はいません(でした)。
唯一、人類でただ一人「悟り」を得た人として尊敬されるお釈迦様が「ブッダ」(悟りを得た人)として次第に神格化されて、既にかなり前からぶっちゃけ「神」と同一視されてはいましたが、それでも決して「お釈迦様=神様」ではないのです!
客自身が言う「お客様は神様だろ?」ってのも大きな勘違いですが「お釈迦様は神様です」も、それと同じくらい間違いです(笑)
そう宣言しちゃうと「仏教」自体が論理矛盾するほどの危険な行為なのです!
「密教」ではあっさりやっちゃいましたけどねぇ・・・。
いきなりヒンドゥー教のように「多神教」に変身するのはさすがに仏教自身の「自己矛盾」「全否定」になってしまうので、密教を推進した仏教指導者たちは巧妙な・・・言い方を変えるとちょっとズルい解決策を考えました(笑)
・・・実はさぁ「悟り」を得た人はお釈迦様(ゴータマ・ブッダ)だけじゃなかったんだよねぇ!お釈迦様以外にも過去に「悟った」人はたくさんいたわけよ♥、神様みたいにスゴい人達がねぇ!
知らなかった?いや、俺達も今知ったんだけどね、アハハハッ!
そう、仏教において「悟った人」を「ブッダ」といい「如来」も悟った人のことです!
正確には密教以前から提唱されていたらしいのですが、ゴータマ・ブッダ以外の「如来」が、この時代にたくさん「創造」されます。
お釈迦さまも当然「如来」なので「釈迦如来」様となりますが、それ以外にも大日如来様、阿弥陀如来様、薬師如来様等々・・・仏教の「トップスター」の数が激増します!
既に「悟り」を得て欲望や煩悩を捨て去った方々なので、華美なアクセサリーなども身に着けておらず、粗末な単衣をまとった質素なお姿で、わずかにほほ笑んだような静かに瞑想しているお顔をしてらっしゃいます。
ただし「大日如来」様だけは全く違います、その理由はいつかお話します。
・・・という事はですねぇ、万人の病をいやす「薬壺」を持っているので判りやすい「薬師如来」様以外は、似たようなお姿という事にもなります(笑)
ちなみに、あの「奈良の大仏」様は「毘盧遮那仏」と言って大日如来の進化前(?)のお姿。
鎌倉の大仏は「阿弥陀如来」様です。
・・・あんま見分けつかない?まあ、そうですね、みんなパンチパーマだしっ(ちがう!「螺髪」だってばぁ)♥
さてさて、密教ではトップスター「如来」だけではまだお姿が「地味」で数も少ないので、新チーム「菩薩」という集団ユニット(笑)を結成してしまいます!
もうピンアイドルの時代じゃねぇ、集団アイドルの時代なんだよ♥と言ったかどうかは不明ですが・・・まあ、そんな感じ。
密教の時代にも〇〇氏みたいな名プロデューサーがいたのでしょうか?
「菩薩」達は、ただいま「如来」を目指して修行中・・・あるいは既に如来になるだけの徳を得ながら、あえて人間界にとどまって人類救済に頑張ってくれている有難い方々です!
お姿も物凄く個性的で優美で、これで人気が出ない方がおかしいくらいの大プロジェクトです!
「釈迦」如来様に代わって私達が住むこの世で次の「如来」になることが約束されている(と言っても56億7千万年後のお話ですが(笑))「弥勒菩薩」様に始まって、観世音菩薩(観音様)、文殊菩薩様、普賢菩薩様、「お地蔵様」として有名な、親しみやすい地蔵菩薩様などなど、新ユニット「菩薩チーム」は数が多くて個性派揃い!
お地蔵様なんて「僧形」といってお坊さんの姿をしておられますしねぇ!
また日本では「菩薩チーム」のセンターを張れるほどの一番人気の「観世音菩薩」様は、三十三の姿に変身できるので千手観音とか馬頭観音、如意輪観音など様々なバリエーション展開(?)が存在します(変身していない本当のお姿を「聖観音」といいます)
ちなみに「仙台のデカいやつ」として有名な巨大な観音像は「白衣観音」様♥
なお、観音様は凄く女性的ですが「男性」です、ここまではまだ「悟り」を得られるのはまだ男性に限られているのです・・・。
煩悩を捨て去り「悟りを得た姿」の質素な如来と異なり、まだ修行中で冠やアクセサリーなどをたくさんつけた菩薩チームはすっごいオシャレ!冠からブレスレットなど盛りだくさん、それが仏像の一つの見どころとなっています。
お釈迦様以外のエラい人「如来」チーム、肝入りでデビューした新集団ユニット「菩薩」チーム・・・それだけでもスゴいのに、まだ足りないと思ったのか、特に「密教」が力を入れたのが「明王」と「天部の神々」です!
・・・またこれがスゴい面々でしてねぇ(笑)
不動明王様、愛染明王様、降三世明王様、軍荼利明王様から、前述の美しい孔雀明王様等々・・・。
まず「明王」は、「密教」らしさ爆発の神仏で、大日如来が変身した姿とも言われます。
たいていは不動明王様のように剣や武器を持ち、憤怒(怒り)の形相を表しているのは、如来や菩薩などが優しく「理」で諭しても仏教の教えを理解出来ないような私のようなバカチンや、ダメ人間達を怖い顔や武器で脅して(?)仏法の「正しい道」に引き戻す役割をもっているからなのです。
言葉でダメなら「力」で悪人・ダメ人間を矯正させるわけですねぇ。
覇王の道はただ一つ、肉体言語って・・・わけですかぁ?
・・・また「密教生まれ」という事は、明王には呪術的パワーに優れた存在が多く、祈祷などの際にもよく祈願される存在です。
それも密教ですから、一般には公開されない「秘密の行法」が多いです。
いつも優しい「母と子の味方♥」鬼子母神様にも、他人を呪うヤバ過ぎる秘法「鬼子母神髑髏法」というおどろおどろしい秘儀が存在します(汗)
特に戦勝祈願では「不動明王」様が最も人気があり、平将門さんのお話でご紹介した成田山新勝寺のお不動さんや、武田信玄も帰依した「武田不動尊」など、各地に有名な不動明王像があります。
さらには、少し前にご紹介した「大元帥明王」など、もう普通の手段では対処できないような「国家の危機」の際に発動されるスーパーパワーを持った秘密の存在もありまして「密教」は既にカオスな状態に突入したのであります。
・・・いえ、密教の「カオス」はこんなもんじゃありません♥さらにまだ上があるのですが、それは次回に!
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