12 / 31
【十二】 ヒンドゥー教の人気を取り込め!「密教」大作戦4、驚異の神様増殖システムで仁義なき戦い!
しおりを挟む・・・さて、地方(農村)で人気を博し、ジワジワと仏教のシェアを奪っているヒンドゥー教!
仏教側の危機感はハンパじゃなく、次々と大胆な改革を敢行します。
それが「密教」の誕生に繋がります!
密教はヒンドゥー教で非常に民衆に人気のある「儀式」「おなじない」を大胆にパク・・・い、いや「仏教的に再解釈して」取り入れ、護摩行や真言(おまじない)などを次々と造り出します。
弁才天様のご真言、不動明王様に祈るご真言、聖天様に鬼子母神様、摩利支天様、観音様に薬師如来様にお地蔵様等々・・・・。
密教の「真言」の数は膨大です!
そして、「唱え文句」(言葉)だけではなくて、それに対応する「印」というものもあります。
主に指で作る「サイン」のようなものですねぇ。
例えば憤怒(怒り)の形相が多い「明王」様の中でも例外的に優しく優美なお姿でほほ笑んでいらっしゃる女神様「孔雀明王」様の印はというと、両手を「外縛印」という形に組んで(要は普通にガッシリと両手を組む形)両手の親指と小指を伸ばして先端を合わせます!
・・・親指が孔雀の頭、小指が孔雀の尾を表現しているワケです♥
この状態で人差し指から薬指を羽が羽ばたくようにバタバタと動かして「孔雀の飛翔」を再現しちゃうのです(これを密教では「見立て」と言います)
・・・なんか可愛いっ!
そうして心で孔雀明王様を思い浮かべ真摯な気持ちで祈りながら、孔雀明王様のご真言「オン マユラ キランテイ ソワカ」と唱えるわけですね。
インドの「国鳥」でもある孔雀という鳥は、インドには多い毒蛇を常食することから、その神格化である孔雀明王様も「災難や苦痛を取り除き、人の煩悩を食いつくす」といわれる、美しくも素晴らしい明王様ですっ♥
このように、基本的に「おまじない」である真言と「印」はセットになっています。
・・・ついでですので、密教界でも最も「ダークサイド」で「最凶」の天部の神、人の心臓を取って食らうという「元」夜叉族で、呪いなどの儀式の定番「荼吉尼天」の印をご紹介しましょう!
まず左手の掌を伸ばし、右手の四本の指でそれを舐め取るような仕草をします!
要は血を舐めているおどろおどろしい仕草が荼吉尼天の「印」なのですね♥
本職のお坊さんは、この各尊の「真言」と「印」のセットを全て憶えていないとダメなわけですから結構大変ですねぇ・・・。
さて、そろそろお話を本筋に戻しましょう。
そもそも原始仏教では、お釈迦様は「修行をして煩悩を捨て去り悟りを目指しなさい」と人々に説かれました。
・・・が、お釈迦様ご自身は「〇〇の神を拝みなさい」とか、ましてや「自分をあがめなさい」などとは一言もおっしゃってはおりません。
お釈迦様ご自も「神」ではなく、あくまで「悟った人」なのです!
だから原始・初期仏教では、今のような「仏像」「仏画」は造られませんでした。
それはお釈迦様ご自身が禁止したのではなく、後の弟子たちが「貴いお釈迦様のお姿を像に刻んだり絵に描いたりするのは畏れ多いこと」と思ったからです。
初期の仏教ではお釈迦様・仏教のシンボルとして法輪(円形の武器・戦車の車輪とも)やお釈迦様の足形、お釈迦様がその下で悟りを得たという菩提樹が使われました。
しかし、古代ギリシア文化のリアルな像の影響から、次第に仏教も軟化してゆき、ついにはお釈迦様のお姿を刻んだ「仏像」が誕生します!
繰り返しますがお釈迦様は決して神様ではありませんが、いつのまにか「神格化」されて崇拝の対象となってゆきます。
仏教の「宗教」としての側面を見ると、それは仕方ないことだとは思うんですけどねぇ。
ちなみにご存じのとおりイスラム教は偶像崇拝を固く禁じています、キリスト教も現在でこそイエス様やマリア様の絵や像がありますが、やはり偶像崇拝はいかん!ということで聖像破壊運動という暴挙が吹き荒れた時代がありました!
仏教はそういうのに比べるとつくづく柔軟です。
こうして仏教にも目に見て分かりやすい「崇拝の対象」仏像が誕生したのですが・・・ぶっちゃけ、地味なんですよねぇ(笑)
全ての欲望や煩悩から解放されたお釈迦様は粗末な薄い衣一枚をまとったお姿で座禅を組み、アクセサリーなどは何もつけずに静かにほほ笑んでおられます。
心を打たれる荘厳なお姿ではありますが、やっぱり「地味」だと感じてしまうのは仕方ありません・・・。
目で見る「崇拝」の対象としては、判りやすい形で「人間とは違う神性」を表現した方がいいに決まっています。
キリスト教の天使に羽がついていたりとか、そういうやつ・・・。
「・・・我々仏教の仏像って、ほとんどお釈迦様の像だけだし、地味過ぎませんかぁ?ヒンドゥー教とか原色バリバリで、人間の頭蓋骨のネックレスしてたり、ヌードっぽかったり、エッチの最中だったり(ホント!)、すげぇ過激で派手ですよねぇ?」
「な、何を言う!修行の足らん愚か者めがっ!我らがお釈迦様にも、凡人にはない物凄い特徴があるのを知らんのかっ?仏の「三十二相」と言って、お釈迦様の超人的な外見の特徴だ!」
「・・・も、もちろんそれは知っていますけどぉ」
仏の三十二相(抜粋)
・偏平足
・手の指が長い
・指の間に水かきがついている
・オチ〇チンが体内に格納されている
・体毛が全て上向きに生えている、しかも右巻きである(私の彼は左利きっ♥)
・歯が40本あり白く美しい
・牙がある
・なにを食べても美味しく感じる(いわゆるバカ舌?)
・眉間に白い毛の塊があり、アレを伸ばすと4.5メートルになる!
・頭頂部が盛り上がっている(仏像でも表現されているアレです、お団子ヘアではないのです♥)
「どうじゃ?わがブッダ様はすごいじゃろ????」
「・・・う~ん、そ、それって、バケ〇ノじゃ?い、いやそういうことじゃなくて・・・」
仏教の指導者たちは色々知恵を絞った・・・のでしょう♥
「じゃあ、どうすればいいと言うのじゃ?」
「あのぉ、悟ったのはお釈迦様だけじゃないってことにして「ブッダ」(悟った人)を増やしません?「如来」の他にも「菩薩」とか「明王」とかいっぱい造っちうんですっ♥そうそうっ、ヒンドゥー教の神様達、あれぜ~んぶ「仏教徒」にしちゃいましょうよっ!!!!」
「デ、デカルチャ~~~~~!そんなアホな事がっ・・・で、でも・・・いいかも♥」
こうして「密教」では、お釈迦様「ゴータマ・ブッダ」以外にも悟ったスゴい人(如来)がたくさんいて、現在修行しながら人々を救っている「菩薩」や、如来が変身した姿である「明王」
・・・さらには、「天部の神々」として、ヒンドゥー教の神々を全て仏教に帰依させて、仏教の「ガードマン」にしたのでした♥
そ、それでいいのかっ?本当にそれでいいのかあああ~っ?
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説


毎月一本投稿で、9ヶ月累計30000pt収益について
ちゃぼ茶
エッセイ・ノンフィクション
9ヶ月で毎月一本の投稿にて累計ポイントが30000pt突破した作品が出来ました!
ぜひより多くの方に読んでいただけた事についてお話しできたらと思います!

生きる 〜アルコール依存症と戦って〜
いしかわ もずく(ペンネーム)
エッセイ・ノンフィクション
皆より酒が強いと思っていた。最初はごく普通の酒豪だとしか思わなかった。
それがいつに間にか自分で自分をコントロールできないほどの酒浸りに陥ってしまい家族、仕事そして最後は自己破産。
残されたものはたったのひとつ。 命だけ。
アルコール依存専門病院に7回の入退院を繰り返しながら、底なし沼から社会復帰していった著者の12年にわたるセミ・ドキュメンタリー
現在、医療従事者として現役。2024年3月で還暦を迎える男の物語。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる