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【三】 諸行無常♥お釈迦様の教えから変化してゆく仏教
しおりを挟む男性中心のサンガ(仏教の出家修行者集団)に女性達が近づくと、どうしても「風紀」の乱れが出る危険性があり、またからっきし心の弱い(笑)ダメ男が女性の姿を見てムラムラしちゃって心乱され修行が妨げられる。
・・・そんな危険性を危惧したお釈迦様は、「悟り」には身分も性別も関係ないと理解しつつも、「現実的」な問題から女性達がサンガに加わるのをためらいましたが、結局、仏教に帰依したい女性達の熱意と弟子達の説得によって女性達がサンガに加わるのを認めました。
お釈迦様自身は決して女性を劣っていると見たり、見下したりはしていないのです。
悟りを得たほどの人物が、そんな矮小な価値観であるはずはありませんしね。
・・・それじゃあ、「女性は罪が深くて成仏出来ねぇから!」とか「いったん男に生まれ変わらないと極楽にも行けねぇから」とか、とんでもね~コトを言い出したヤツは一体?
それについては、紀元前6世紀頃に産声を上げた新しい「価値観」(厳密には宗教ではないので)「仏教」が、その後どういう道を歩んだのか、一度おさらいをしてゆく必要があります。
紀元前486年にお釈迦様が入滅(死亡)した後ほどなくして、教団の主だった500人の指導者達が、それまで口伝えで受けていたお釈迦様の教えを「確認」するために集まりました。
お釈迦様の教えは全て言葉で伝えられていたのです。
余談ながら、この時集まった500人のお釈迦様の弟子たちを「五百羅漢」と言います。
人の記憶はけっこういい加減なので、口伝えだけではいつのまにかお釈迦様の教えが間違って伝わってゆく可能性もあるからです。
あるいは、悪いヤツが意図的にお釈迦様の教えを捻じ曲げてゆく恐れもあります。
だから彼らは、記憶していたお釈迦様のお言葉を文字に残しました。
当時のインドでは紙がなかったので、貝葉と言われる葉っぱに書き記しました。
・・・これが「お経」の起源です!
経典の始まりの定型的な句「如是我聞」(私はお釈迦様からこのようにお聞きしました)となっているのはこのためです。
こうして、お釈迦様の弟子たちの最初の集まり(これを第一結集といいます)から後も、仏教指導者たちは4回ほど一か所に集まり、その度にお釈迦様の説いた教えの確認作業と記録作業を続けました。
二回目の集まりはお釈迦様の入滅から100年経っているので、もう本当に直接お釈迦さまから教えを受けた人などいなかったに違いありません。
・・・それでもお経は「「如是我聞」(私はお釈迦様からこのようにお聞きしました)なのです(笑)
200年後とか500年後に「造られた」お経も「お釈迦さまから聞きました」です!
こんな風に、お釈迦様の死後も次々と「お釈迦様の説いた教え」である「お経」が「創作」され続けました。
今ではお経はなんと七千余巻もあるといいます(笑)
そして、その過程で「仏教」の教えも次第に変容していったのです。
「えっ?それじゃ、今の仏教はお釈迦さまの教えと全然違うじゃん?」
・・・まったくその通りです。
でもお釈迦さまご自身も行っておられるのです「諸行無常」!
世の中の全てのものは何一つとして不変なものはないのです、「仏教」自身も同じでその時々の最新の価値観を取り入れて変わってゆくのが仏教なのです
ちなみに、弟子たちが集まり、お釈迦様の教えを確認する作業のその過程で、ほぼ一枚岩だった仏教教団のなかにも考え方の違いが発生し、紀元前3世紀頃に仏教は最初の大きな分裂を迎えます。
これを「根本分裂」と言います。
それまでの仏教はお釈迦様が実践したように、出家した一部の僧侶たちが頑張って修行し「悟り」を得て、それから後に大衆を救済する・・・という考え方を基本にしています。
しかし、それでは教団を資金面等でバックアップしている在家の信者たちはいつ「救済」されるか分かったもんじゃありません(笑)
・・・お坊さんたちは、自分達だけ悟りを得ることに必死で、自分達を顧みていないじゃないか!そんな不満も出て来たでしょう。
そこで「いつ得られるか判らない悟りを待つより、僧侶達は自分も自ら修行を続けながら同時に人々を救済しよう!そのほうが多くの人を救えるじゃないか!そして民衆を救済してゆく実践自体もまた修行なのである」そんな考えの新しい一派が生まれたのです。
これが「大乗仏教」と言われるものです。
「大乗」とは「大きな乗り物」の意味で、出家の修行者が自分達だけ悟りを得る「小さな乗り物」よりも、ずっと多くの人を救済できる「大きな乗り物」の大乗仏教の方が優れているじゃないか!・・・という発想ですね。
大乗の反対は「小乗」(小さな乗り物)で、昔は大乗仏教ではない部派を「小乗仏教」と呼んでいましたが、これは一種の蔑称なので今は「上座部仏教」等と言うらしいです。
日本は「大乗仏教」の国ですが、タイやスリランカは今でもこの「上座部仏教」です。
・・・で、本題に戻りますが(笑)
「女性は罪が深くて成仏出来ねぇから!」とか「いったん男に生まれ変わらないと極楽にも行けねぇから」とか言い出したヤツは一体誰だよ?
・・・つう問題ですが、結論から言いますと、私はそれは「お坊さん」自身なのです(きっぱり)!
もちろん誰が最初に言い出したのか、それがいつの時代の事かは判りませんが、紛れもなく「坊主」です!(笑)
前述のようにお釈迦様の死後、何百年に渡って次々と新しい「お釈迦様のお言葉」であるお経が「創作」されるなかで、そういう思想をもった坊主達が現れた・・・というわけです。
・・・どうして仏教を修行している坊さんが女性をそんな風に悪く言うようになったのか?
これは実は話は簡単!
イソップ童話の「酸っぱい葡萄の話」は御存じでしょうか?
高い木の上に生っている美味しそうな葡萄を取ろうとしても届かなかったキツネが「あのブドウは酸っぱくて不味いに違いない!あんな不味いもの取れなくてヨカッタわ!」と捨て台詞を吐くというアレです。
・・・それがどうして坊主と関係してくるのか、それは次回(笑)
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