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第二十三話 四百年続く呪いと「神経」作用 ~特異な村の異様な風習~
しおりを挟む「呪い」によって、鴨沢村の男達は数年も経たずに原因不明の病気や高熱、事故で次々と滅んでしまい、村には女だけが残された。
わずかに生き永らえた男達も、陰萎に悩まされ、子種も無くなり、村には赤ん坊の産声も途絶えてしまった。
・・・皮肉なことに、山の神が「男だけ」にかけた恐ろしい呪いは、男達に災いをもたらしたばかりでなく、女達も苦しめた。
ほとんど女だけになった村では農作業も不自由し、村自体も次第に衰退してゆく。
なによりも女達を悩ませたのは、房事・・・つまりセッ〇スの相手を失ってしまったことだった!
村には若い女達や、まだ艶っぽさを失っていない女盛りの年増達も大勢いる。
自分達を悦ばせてくれた「男根」が絶えてしまったため、この村の女達は夜毎、男の逞しい肉棒を欲してジンジンと疼く女陰を自分の指で慰めながら淫らにすすり泣くようになったのだと・・・。
そんな噂からこの村はいつしか「女泣村」と呼ばれるようになったのだという。
女ばかりになり、男の子種が絶えてしまった女泣村では、おのずから家督相続も女系となる。
そんな村を存続させてゆく為には、近郷の村から男達を呼び寄せて子種をもらい子供を作るしかないのだが、女泣村の「呪い」の伝説を良く知っている近くの村の男達は女泣村を恐れ、村には足を踏み入れようともしない。
・・・結局、苦肉の策として、村では呪いのことを知らない旅回りの商人の男達などを言葉巧みにこの村に滞在させ「オス蜂」としての役割を担わせていたのだった。
・・・・現在の幸介と同じように・・・。
そして、維新によって時代も変わり、明治から大正、そして昭和の世の中になっても、この恐ろしい「呪い」は終わることがなく、この女泣村は、特異な女性ばかりの村となっているという。
・・・と同時に、他所から男を迎えて子種をもらう習慣も連綿と続いているというのだ。
「・・・そんな伝説が・・・ちょっと信じられないなぁ」
「・・・いえ、これは伝説とも言えないわ、幸介さん・・・だって、私達は現にこうして、四百年経った今でもその呪いに悩まされているんですもの・・・・」
「ええ・・・でも、さすがにこの科学も発展した今の世では・・・」
「それは判らないけど、他の村ではみんな昔からこの村の伝説を知っているから・・・この女泣村に婿に来る人はいないの、今でも他の村の男の人はこの村に入るのさえ嫌がるわ・・・・村に入るだけで呪われて陰萎になると信じられているから・・・」
・・・幸介は志津の話してくれた伝説と呪いの話を聞き終わった後も、にわかには信じられなかった。
昭和のこの時代に四百年前の呪いが続いているなどとは、なにか荒唐無稽な夢物語のように思えたのだ。
ただ、その一方で自分がその目で見た通り、この村は女ばかりで、僅に残っている男達も覇気を失い、病気がちな影の存在となってしまっているのは紛れもない事実である。
・・・井戸の水も科学的に調査してなんともなかったというから・・・これはやっぱり「神経」なのかな?
・・・神経・・・科学や医学が急速に発展してきた明治からこの時期にかけては「神経」という単語が一種の流行語のようになっていた。
それは現在で言う「心理作用」とか「精神的要因」といったイメージに近い。
東京で生まれ育ち科学的思考を持った幸介も、この不思議な事象について、「呪い」という得体の知れないものに対する恐怖からくる「思い込み」「精神作用」・・・・そんな神経的なものが作用しているのではないかと思った。
「女泣村は男が呪いを受ける」・・・そう聞かされ続けていることによって、神経が過敏に反応し、いつしかその通りの状態を自分から作り上げてしまう・・・そういった事も考えられないわけではない。
「・・・・幸介さん?・・・ちょと信じられないと思うけど・・・私達はずっとそうしてこの村を存続させてきたの・・・呪いをかけられたこの哀れな女達の村を助けると思って・・・「オス蜂」の大役・・・・引き受けてほしいの」
「・・・・オス蜂・・・・僕が・・・」
「ウフフッ、何も深く考えることじゃないわ!幸介さんっ・・・この村にいる限りは、女は毎晩抱き放題!セッ〇スはしたい放題!男にとっては天国じゃないこと?・・・まあ、村の女は美人ばかりではないけど・・・若い娘から私のような大年増まで・・・幸介さんのこの素晴らしく硬いチ〇ポを求めて毎晩やってくるのよ?」
「・・・ぼ、僕の・・・」
「ええっ、そうよ!・・・秦の始皇帝のように三千人の美女・・・とはいかないけど、男なら誰だって羨む立場なのよ、幸介さんは・・・・村の女達はね、男のチ〇ポが欲しくて欲しくて、毎晩自分の指や張り型で女陰を慰めてはすすり泣いているの・・・「女泣村」の名前どおりにね・・・・ねっ、幸介さんのこの逞しいチ〇ポで女達を救ってあげてちょうだい!私達を極楽に連れていってちょうだいっ!」
「・・・わ、わかりました・・・志津さん・・・僕で良ければ・・・」
幸介もニ十一歳の健康な若者である。
東京にいた頃は「立ちんぼ」の娼婦やカフェーの女にいくらかの金を使い性欲を満たしていた身に比べれば、志津の言った通り、この村は自分のような若い男にとっては極楽そのものである。
たしかに、村の女性といっても美人ばかりではないだろうが、こんな美味しい話を断る男は偏屈な「女嫌い」でもない限り、そうそういないはずである。
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