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第十話 「高等魔族ヴィーラとゼィーラ」~異形の美人姉妹~
しおりを挟む・・・奥の方からかすかに何かがやってくる物音がする・・・2つの影だ・・・・。
「・・・・まあっ、ヴィーラお姉さまっ、最後のオスが死んでいますわ・・・やっぱりオスは弱いのねぇ、オスの精気はすっごく美味しいんだけど・・・こんなに干からびて、半月ももたなかったわねぇ・・・・」
「あらっ?ゼィーラっ!・・・新しい家畜がワナにかかっているわっ!まあっ♥オスじゃないっ?それも若いオスよっ!」
「・・・・わあっ、ホントだっ!ヴィーラお姉さまっ、久々の元気の良さそうなオスねっ!これでまたしばらく新鮮なオスの精気が味わえるわぁ!」
大広間の暗がりから、2体の恐ろしく背の高い、人の形をした影がゆっくりと出現した!
・・・歩いている感じでない、床を滑っているような動きだ・・・・。
その声は、若い女性のようだ・・・・サージュは、声の方に目をやる!
全身緑色の美しい若い女性!・・・素晴らしく長い髪まで透き通るような緑色だ!
上半身は裸で、豊かな乳房が眩しい・・・そして、下半身は恐ろしく長いスカートを履いているように見える・・・貴族の女性が履くロングスカートのようでもある。
全身緑色の裸の美女・・・サージュは一瞬、2人がエルトリア大陸に棲むエルフの一種族だと思った。
・・・・しかし、彼女達が近づいてくるにつれて、その異様な姿が顕わになる!
下半身のスカートのように見えた部分・・・それは数百、いや数千本の触手なのである!
その長い触手で、滑るように歩いてくるのだ・・・・。
高等魔族!・・・この2体の異形の女が、この西の迷宮の最下層を統治する支配者なのであろう!
・・・・こっ、これが高等魔族・・・・バケモノっ・・・・
サージュは恐ろしさのあまり、気が遠くなるような感覚に襲われる。
2人は姉妹なのであろう・・・ゼィーラと呼ばれた方の魔族が、たった今死んだ男を床からつまみ上げ、ポイと大広間の壁際に投げつける。
・・・・ドサリと音がして哀れな男のやせ細った体が大広間の床に転がると、体長30ルリーブほどの小さな怪物・・・トカゲとハサミムシが合体したような、ヒト族が「ヘルジュワーク」と呼んでいる怪物がワラワラと集まってきて、男の死体を食い始めた。
バリバリと骨を噛み砕く音が不気味に響く・・・おそらくは、この怪物は大広間の「掃除屋」で、こうして死んだ「家畜」の死体を綺麗サッパリ・・・髪の毛から血の一滴まで、食べ尽くしてしまうのであろう・・・。
下半身が無数の触手となっている異形の姉妹が、サージュの方に、スルスルと近寄ってくる。
数百、いや数千の触手を波打たせ、滑るように近寄ってくるのだ・・・。
「・・・うわっ・・・あ、ああ・・・・」
恐怖のあまり、体が硬直して息もつけない・・・ただ体がブルブルと震えるだけだ。
「・・・・あらぁ、これは大収穫ねっ!かなり若い個体だわっ!・・・ヒト族ね?ヒト族の男はすぐ消耗して死んじゃうんだけど、若いから当分楽しめそうねっ♥」
「・・・・あっ・・・ああっ・・・」
サージュは何か言おうとしたが・・・声さえ出せないのだ。
「・・・・アンタ、私設討伐隊の隊員でしょ?名前は?他のメンバーはどうしたのっ?」
好奇心旺盛な妹のゼィーラが、若い「獲物」を質問攻めにする。
「・・・・おっ、お願いですっ・・・た、助けてくださいっ・・・」
姉のヴィーラが堪えきれずに笑う。
「・・・・ウフフッ、このコ、震えてるわっ・・・ダイジョウブよっ!「すぐには」殺さないからっ!安心して!」
・・・・その一言が余計にサージュの恐怖心をかきたてる。
「・・・・アンタねぇ、私達の首を獲りに来たんでしょ?こうして逆に捕まったのも自業自得ってヤツよ・・・諦めて堂々としなさいよっ!」
・・・・悔しいが、この美しい高等魔族の言い分は正しい・・・初陣で下っ端とは言え、彼は私設討伐隊の一員として、魔族を「狩り」に来たのだ。
こうして、逆に命を取られるのも、彼女の言う通り「自業自得」であろう。
獅子をハンティングに行って、逆に獅子に襲われ、食われるのとなんら変わりがないのだ。
・・・・そうだよな、上手くいけば僕達がこの高等魔族を殺していたんだ・・・自業自得だよな・・・親父の言いつけを守らずに家を飛び出して、こんな賞金稼ぎになったのは僕の意思なんだ・・・
・・・そう思うと、少し気持ちが落ち着いてくる・・・「諦め」と言い換えてもいいかも知れない。
「・・・・僕はヒト族のサージュと言います・・・・他のメンバーは僕をこの迷宮に置いて去ってゆきました、今頃別の入口からこのダンジョンに入って魔物狩りをしていると思います・・・・」
「・・・・まあっ、貴方っ、仲間に裏切られたのねっ・・・まあ、裏切られそうなマヌケな顔をしているわっ!アハハハハッ!」
妹のゼィーラは、姉のヴィーラと違い、アケスケで口が悪い。
「・・・なら、諦めるのねっ・・・貴方はここで私達に精気を吸われて過ごすことになるわ・・・ここにいるメス達と同じようにねっ!」
・・・・そう言われてサージュは、艶めかしい裸体を晒して、恍惚の表情を浮かべている女性達に改めて目を向ける・・・・。
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