青夏(せいか)

こじゅろう

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番外編

優香と泉、初詣に行く。(優香目線)

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 初彼氏と、初デートに行く。冬休み、例年通りダラダラ過ごそうと思っていた私に泉からの連絡が来た。連絡の内容は、一月二日一緒に初詣デートをしたい。今言った通りの内容で送られてきた。連絡が来た時の私の初見の反応は酷いもので、「そっか、カレカノってデートするものか」と言うものだ。でも、その後は乙女らしく「デート」と言う単語に異常なほど反応した。送られてきたのが、丁度年が明けた一月一月の零時だ。きっと、おせちの通販でも見て、私を誘ってくれたのだろう。少しメンヘラじみた事を言うと、初詣で友達では無く私を選んでくれた事を内心嬉しく思っていた。正月だと言うのに、私は忙しかった。服を選んだり、慣れないヘアメイクの練習をしてみたり。…メイクは、出来栄えに本能が拒否していたのでしない。一応、最近やるようになったネイルをしておいた。
 そんな今年のスタートダッシュを切った結果。待ちに待った初詣だ。家族とは昨日行ってきたのだが、初リアクションは泉の前でしたいので、おみくじは引かなかった。泉から、「家で待ってて」と、甘やかしてもらったので、泉が来る時間まで準備しておくことにした。準備が終わり、こたつでぬくぬくしていると家にピンポンが響いた。
 急いで家から出て、エントランスまで行く。うちはエレベーターがあるマンションだが、少しでも長く泉と一緒にいたいので、階段を駆け降りる。一月初め、寒さは絶好調。少し走るだけで頬に冷たい風があたる。だが、それも気にならないくらいに私のテンションと顔の温度は通常の十倍ほど上がっていたのでなんら気にならない。
 エントランスに着くと、泉が屈託のない笑顔で反応してくれた。
「優香!…それじゃ、行こうか」
一瞬取り乱したようにも取れたが、気にしすぎだろう。泉はザ・手練れという感じで私の手を誘導した。
 神社に着くと思ったより人がいた。みんな、やっぱり一日目でダラダラして今日くらいに初詣に来るのかな。この神社は、二学期私が泉に告白したいわゆる聖地だ。
正月も景気づけるように営業している屋台に目を向けて私に声をかけた。
「優香、どの屋台がいい?」
「私は一周まわってから決めようと思うから、泉が行きたいとこ先いっていいよ」
「…泉?」
「いきなりどうしたの自分の名前復唱して」
「いや?俺は優香って呼んでんのにゆうかあ読んでくれへんなーって思って」
「…勇太」
「何?聞こえないなあ」
勇太がニヤニヤしながらまだ暑い頬を繋いでない方の手で突いてきた。こいつ、やり手だ。
「勇太!」
周りに迷惑にならないように、耳元で少し大きめに勇太の名前を呼んだ。
「ごめんごめん優香。優香、好きだよ」
「いきなり何?!」
あまりにも会話の脈略がなさすぎて、びっくりしてしまった。
「この前、優香が告白にてくれたのに、俺お返ししてへんな。って思って」
「にしても会話の脈略なさすぎ」
「ごめんって」
その後私たちは、初詣をびっくりするほど遊び倒した。…おみくじ、忘れてたな。
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