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第1章
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いつものラーメン屋に着くと隼人は私の味噌ラーメンと一緒に餃子付きの大盛りセットを注文していた。
___相変わらずよく食べるなぁ。
「やっと気が抜けるなぁ~やっぱ接客は疲れるよな。お前も疲れてるだろ?」
確かに、全然知らない人とカウンター越しとはいえ顔を向き合って話をするのだ。
とても疲れる。
「そうだね。すごく疲れる..、それに」
私はこの仕事が合わないのではないかと口に出そうとした瞬間ラーメン屋のマスターに遮られる。
「へい、醤油らーめんの大盛り餃子セットと味噌ラーメンだ!隼人はまだ真矢ちゃんに告白してねーのかぁ??お前ら何年この店に通ってるんだか..、」
「や、やめろよ!マスター!」
いつものやり取りに私は頰を緩ませ笑ってしまう。
この2人はラーメンが出来上がると毎回このコントをやるのだ。
「隼人もそのノリ変わらないね」
私の言葉を聞いたあと、2人は顔を合わせて目を丸くしたあと、マスターは隼人の肩をポンっと叩いた。
「隼人、同情するよ。まだまだ道は長いらしいな」
「余計な助言なんていらねーから」
*********
ラーメンを食べた後、私の家まで送ってくれるのがいつもの流れ。
何だかんだやっぱり優しいのである。
「ねぇ、隼人。あのさ」
沈黙の中私が口を開くと隼人は私の目を見てニカッと笑った。
「なんだー?弱音とか吐くんじゃないだろうなぁ?明日もバシバシ教えるからな」
「うわぁ..、」
ちょっと仕事の事を吐こうとしたが路線を変更しよう。
「悠人さん、まだ何も連絡がないのかなって、ふと思っちゃって」
なるべく聞かないようにしていた話題だがどうしても気になるので口に出してみることにした。
だって、悠人さんが気になるから。
「ないな」
短く返事をした隼人はそこからだんまりだ。
「そっか。ねぇ、もし...さ。私まで居なくなったら隼人はどうする?」
何となく口に出した一言に隼人は目を見開き、私をいきなり強く抱きしめた。
「えっ!ちょ、ちょっと!冗談だよ!」
耳元で囁く隼人の言葉はとてもか細くて上手く聞き取れない。
でも、こう言ったんだと思う。
“絶対に渡さない”
「隼人?なんのこ..、」
「にゃーん」
足元を見ると愛猫のマカロンが私を迎えに来ていた。
マカロンは真っ白な白猫で夜道でも目立つ色をしている。
青い瞳で私を見上げてまるで“早く離れろ!”と言ってるようだ。
「マカロン!迎えに来てくれたんだ!ありがとう!」
隼人を突き飛ばしてマカロンを抱き上げると頰にすり寄ってきて可愛い。
私の自慢の愛猫である。
「俺は猫に負けるのかよ」
吐き捨てるように言った隼人は決まり悪そうに整えられた黒髪をかきあげる。
固められた髪が一気に解されて幼い印象に変わる。
「隼人って髪の毛ほぐれた方が若くみえるよね。サラサラヘアーをワックスで固めるなんて勿体ない」
私がまじまじと見ながら言うと、タコみたいに頰を染めた隼人は口を手で隠しながら決まり悪そうに口を開いた。
「お前だって、サラサラストレートじゃねぇか。いつになったらその長い髪切るんだよ」
そう、私は腰まで栗色の髪を伸ばしている。
それも、長い髪が好きな悠人さんの言葉を鵜呑みしたせい。
と、言うより髪の毛を褒められてから調子に乗って切っていない。
「私と隼人って、少し似てるからさ、よく兄妹に間違われたよね」
私達はよく似ている。
見た目もそうだけど、好みも性格も。
勝気で負けず嫌い、そしてラーメンが大好きなところ。
他にもあるのだが割愛する。
「じゃあな。お前のアパートここだろ?ちゃんと暖かくして寝ろよ」
「はーい」
本当にお母さんの様な幼馴染だ。
___相変わらずよく食べるなぁ。
「やっと気が抜けるなぁ~やっぱ接客は疲れるよな。お前も疲れてるだろ?」
確かに、全然知らない人とカウンター越しとはいえ顔を向き合って話をするのだ。
とても疲れる。
「そうだね。すごく疲れる..、それに」
私はこの仕事が合わないのではないかと口に出そうとした瞬間ラーメン屋のマスターに遮られる。
「へい、醤油らーめんの大盛り餃子セットと味噌ラーメンだ!隼人はまだ真矢ちゃんに告白してねーのかぁ??お前ら何年この店に通ってるんだか..、」
「や、やめろよ!マスター!」
いつものやり取りに私は頰を緩ませ笑ってしまう。
この2人はラーメンが出来上がると毎回このコントをやるのだ。
「隼人もそのノリ変わらないね」
私の言葉を聞いたあと、2人は顔を合わせて目を丸くしたあと、マスターは隼人の肩をポンっと叩いた。
「隼人、同情するよ。まだまだ道は長いらしいな」
「余計な助言なんていらねーから」
*********
ラーメンを食べた後、私の家まで送ってくれるのがいつもの流れ。
何だかんだやっぱり優しいのである。
「ねぇ、隼人。あのさ」
沈黙の中私が口を開くと隼人は私の目を見てニカッと笑った。
「なんだー?弱音とか吐くんじゃないだろうなぁ?明日もバシバシ教えるからな」
「うわぁ..、」
ちょっと仕事の事を吐こうとしたが路線を変更しよう。
「悠人さん、まだ何も連絡がないのかなって、ふと思っちゃって」
なるべく聞かないようにしていた話題だがどうしても気になるので口に出してみることにした。
だって、悠人さんが気になるから。
「ないな」
短く返事をした隼人はそこからだんまりだ。
「そっか。ねぇ、もし...さ。私まで居なくなったら隼人はどうする?」
何となく口に出した一言に隼人は目を見開き、私をいきなり強く抱きしめた。
「えっ!ちょ、ちょっと!冗談だよ!」
耳元で囁く隼人の言葉はとてもか細くて上手く聞き取れない。
でも、こう言ったんだと思う。
“絶対に渡さない”
「隼人?なんのこ..、」
「にゃーん」
足元を見ると愛猫のマカロンが私を迎えに来ていた。
マカロンは真っ白な白猫で夜道でも目立つ色をしている。
青い瞳で私を見上げてまるで“早く離れろ!”と言ってるようだ。
「マカロン!迎えに来てくれたんだ!ありがとう!」
隼人を突き飛ばしてマカロンを抱き上げると頰にすり寄ってきて可愛い。
私の自慢の愛猫である。
「俺は猫に負けるのかよ」
吐き捨てるように言った隼人は決まり悪そうに整えられた黒髪をかきあげる。
固められた髪が一気に解されて幼い印象に変わる。
「隼人って髪の毛ほぐれた方が若くみえるよね。サラサラヘアーをワックスで固めるなんて勿体ない」
私がまじまじと見ながら言うと、タコみたいに頰を染めた隼人は口を手で隠しながら決まり悪そうに口を開いた。
「お前だって、サラサラストレートじゃねぇか。いつになったらその長い髪切るんだよ」
そう、私は腰まで栗色の髪を伸ばしている。
それも、長い髪が好きな悠人さんの言葉を鵜呑みしたせい。
と、言うより髪の毛を褒められてから調子に乗って切っていない。
「私と隼人って、少し似てるからさ、よく兄妹に間違われたよね」
私達はよく似ている。
見た目もそうだけど、好みも性格も。
勝気で負けず嫌い、そしてラーメンが大好きなところ。
他にもあるのだが割愛する。
「じゃあな。お前のアパートここだろ?ちゃんと暖かくして寝ろよ」
「はーい」
本当にお母さんの様な幼馴染だ。
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