150 / 159
ジュリアン
★
しおりを挟む
俺の頭の中はシェンを好きな気持ちでいっぱいだ。
「シェン…シェンっ…!」
シェンの胸に手を当てて夢中で彼の名前を呼んだ。シェンが俺を好きになって欲しい。シェンが俺のものになればいいのに。
シェンの優しい手のひらが、指が俺に触れるたびにそこが熱を帯びていって、胸の鼓動が大きくなる。
この手に触れられたかった。たとえシェンが俺自身を想っていなくてもいい。違う俺を想って抱こうとしてるのくらいわかってる。
ねえ、シェンの好きな俺はこんな時、どんな表情をするの?
どんな風にシェンを好きだって言うの?
どんな風にシェンを感じるの?
やっぱり違うってがっかりさせたくないんだ。
シェンが俺を生まれたままの姿にするのに数分もかからなかった。慣れてるんだな、それだけもう一人の俺を、この体を愛したってこと。
シェンは無言で俺を愛撫する。何を想っているのかはわからない。ただ、夢中で俺を抱いているようにも見えた。
「あっ…!あ、ぁ…」
ずっと優しく撫でられていた胸や背中から、とうとう感じやすい部分に触れられた俺は声を上げてシェンにしがみついた。シェンの大人の男のいい匂いが鼻腔に広がっていく。
この香り、知ってる…。
シェンの唇が俺自身に触れて昂らせていく。恥ずかしくて、気持ちよくて顔を背けながら人差し指を噛んで声を耐えた。
「その声、もっと聞きたい…」
シェンが手を伸ばして顎をつかみ、俺の顔を自分の方へと向けた。
あれ?なんかデジャヴ…。シェンの目が細められた。
「なんでいつも声を我慢す…あっ」
言いかけて止めて、また俺を愛撫していく。俺はいつも声を我慢してるのか…。じゃあ、あまり声を出さない方がいいのかな。
「ん、んっ…」
でも気持ちよくて声が漏れてしまう。シェンはわざと感じやすいところばかりを狙っている。
「…あっ!い、やぁっ…や、もう…」
俺はだんだんと来る快感の大きさに抗えずにあえなく達してしまい、シェンはそれを難なく飲み込んだ。
シェンはそのあと口を拭うと自らも服を脱ぎ、俺はシェンの鍛え上げられた体に絶句してしまった。俺の騎士はこんなに逞しい男だったんだ…。
「ジュリアン…俺と、もう一度はじめからやり直して…これから、二人でたくさん思い出を作って、ずっと一緒にいてほしいと思います……もう、これ以上貴方を失いたくない」
シェンがまっすぐ俺を見ている。
「もう一度、チャンスをくれるの?」
「チャンスを与えようなんて、俺は上から目線で言いませんよ…。俺には記憶があっても、なくても貴方はジュリアンにかわりないって思いました。誰にも渡したくないって思っています。…記憶に左右されるのは、貴方を失うだけだと気づきました」
ぽろり、と涙が頬をつたって落ちる。あれ?泣いてるのは俺じゃない、俺の中の誰か…シェンのジュリアン?
俺は中にいるもう一人の自分を感じたとたん、ものすごく怖くなってしまった。
記憶が戻ったら、今の俺は消えちゃうのかな。
シェンが想ってくれるって言ってくれたのに、これからたくさん思い出を作ろうって言ってくれたのに、俺は自分の中のもう一人の俺に消されちゃうのかもしれないと思うととてつもなく怖くなった。
シェンが俺の体を引き寄せて、一つになろうとしている。
余計な恐怖心に囚われずに、今はシェンを感じたい。俺は夢中でシェンに抱きついた。
「ぎゅってして…離さないで、俺を、俺だけを愛して…!」
俺はシェンにそう願い、言葉にして彼に身を預けた。
「シェン…シェンっ…!」
シェンの胸に手を当てて夢中で彼の名前を呼んだ。シェンが俺を好きになって欲しい。シェンが俺のものになればいいのに。
シェンの優しい手のひらが、指が俺に触れるたびにそこが熱を帯びていって、胸の鼓動が大きくなる。
この手に触れられたかった。たとえシェンが俺自身を想っていなくてもいい。違う俺を想って抱こうとしてるのくらいわかってる。
ねえ、シェンの好きな俺はこんな時、どんな表情をするの?
どんな風にシェンを好きだって言うの?
どんな風にシェンを感じるの?
やっぱり違うってがっかりさせたくないんだ。
シェンが俺を生まれたままの姿にするのに数分もかからなかった。慣れてるんだな、それだけもう一人の俺を、この体を愛したってこと。
シェンは無言で俺を愛撫する。何を想っているのかはわからない。ただ、夢中で俺を抱いているようにも見えた。
「あっ…!あ、ぁ…」
ずっと優しく撫でられていた胸や背中から、とうとう感じやすい部分に触れられた俺は声を上げてシェンにしがみついた。シェンの大人の男のいい匂いが鼻腔に広がっていく。
この香り、知ってる…。
シェンの唇が俺自身に触れて昂らせていく。恥ずかしくて、気持ちよくて顔を背けながら人差し指を噛んで声を耐えた。
「その声、もっと聞きたい…」
シェンが手を伸ばして顎をつかみ、俺の顔を自分の方へと向けた。
あれ?なんかデジャヴ…。シェンの目が細められた。
「なんでいつも声を我慢す…あっ」
言いかけて止めて、また俺を愛撫していく。俺はいつも声を我慢してるのか…。じゃあ、あまり声を出さない方がいいのかな。
「ん、んっ…」
でも気持ちよくて声が漏れてしまう。シェンはわざと感じやすいところばかりを狙っている。
「…あっ!い、やぁっ…や、もう…」
俺はだんだんと来る快感の大きさに抗えずにあえなく達してしまい、シェンはそれを難なく飲み込んだ。
シェンはそのあと口を拭うと自らも服を脱ぎ、俺はシェンの鍛え上げられた体に絶句してしまった。俺の騎士はこんなに逞しい男だったんだ…。
「ジュリアン…俺と、もう一度はじめからやり直して…これから、二人でたくさん思い出を作って、ずっと一緒にいてほしいと思います……もう、これ以上貴方を失いたくない」
シェンがまっすぐ俺を見ている。
「もう一度、チャンスをくれるの?」
「チャンスを与えようなんて、俺は上から目線で言いませんよ…。俺には記憶があっても、なくても貴方はジュリアンにかわりないって思いました。誰にも渡したくないって思っています。…記憶に左右されるのは、貴方を失うだけだと気づきました」
ぽろり、と涙が頬をつたって落ちる。あれ?泣いてるのは俺じゃない、俺の中の誰か…シェンのジュリアン?
俺は中にいるもう一人の自分を感じたとたん、ものすごく怖くなってしまった。
記憶が戻ったら、今の俺は消えちゃうのかな。
シェンが想ってくれるって言ってくれたのに、これからたくさん思い出を作ろうって言ってくれたのに、俺は自分の中のもう一人の俺に消されちゃうのかもしれないと思うととてつもなく怖くなった。
シェンが俺の体を引き寄せて、一つになろうとしている。
余計な恐怖心に囚われずに、今はシェンを感じたい。俺は夢中でシェンに抱きついた。
「ぎゅってして…離さないで、俺を、俺だけを愛して…!」
俺はシェンにそう願い、言葉にして彼に身を預けた。
10
お気に入りに追加
3,138
あなたにおすすめの小説
SODOM7日間─異世界性奴隷快楽調教─
槇木 五泉(Maki Izumi)
BL
冴えないサラリーマンが、異世界最高の愛玩奴隷として幸せを掴む話。
第11回BL小説大賞51位を頂きました!!
お礼の「番外編」スタートいたしました。今しばらくお付き合いくださいませ。(本編シナリオは完結済みです)
上司に無視され、後輩たちにいじめられながら、毎日終電までのブラック労働に明け暮れる気弱な会社員・真治32歳。とある寒い夜、思い余ってプラットホームから回送電車に飛び込んだ真治は、大昔に人間界から切り離された堕落と退廃の街、ソドムへと転送されてしまう。
魔族が支配し、全ての人間は魔族に管理される奴隷であるというソドムの街で偶然にも真治を拾ったのは、絶世の美貌を持つ淫魔の青年・ザラキアだった。
異世界からの貴重な迷い人(ワンダラー)である真治は、最高位性奴隷調教師のザラキアに淫乱の素質を見出され、ソドム最高の『最高級愛玩奴隷・シンジ』になるため、調教されることになる。
7日間で性感帯の全てを開発され、立派な性奴隷(セクシズ)として生まれ変わることになった冴えないサラリーマンは、果たしてこの退廃した異世界で、最高の地位と愛と幸福を掴めるのか…?
美貌攻め×平凡受け。調教・異種姦・前立腺責め・尿道責め・ドライオーガズム多イキ等で最後は溺愛イチャラブ含むハピエン。(ラストにほんの軽度の流血描写あり。)
【キャラ設定】
●シンジ 165/56/32
人間。お人好しで出世コースから外れ、童顔と気弱な性格から、後輩からも「新人さん」と陰口を叩かれている。押し付けられた仕事を断れないせいで社畜労働に明け暮れ、思い余って回送電車に身を投げたところソドムに異世界転移した。彼女ナシ童貞。
●ザラキア 195/80/外見年齢25才程度
淫魔。褐色肌で、横に突き出た15センチ位の長い耳と、山羊のようゆるくにカーブした象牙色の角を持ち、藍色の眼に藍色の長髪を後ろで一つに縛っている。絶世の美貌の持ち主。ソドムの街で一番の奴隷調教師。飴と鞭を使い分ける、陽気な性格。
僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした
なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。
「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」
高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。
そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに…
その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。
ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。
かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで…
ハッピーエンドです。
R18の場面には※をつけます。
【R18】性の目覚め、お相手は幼なじみ♂【完結】
桜花
BL
始まりは中2の夏休み。
あれは幼なじみの春樹と初めてAVを見た日。
僕の中で、何かが壊れた。
何かが、変わってしまった。
何年も続けてきた、当たり前の日常。
全て特別なものに思えてくる。
気付かれるのが怖い。
もし伝えたら、どんな顔をするのかな…。
幼なじみ2人の数年にわたる物語。
【R18】息子とすることになりました♡
みんくす
BL
【完結】イケメン息子×ガタイのいい父親が、オナニーをきっかけにセックスして恋人同士になる話。
近親相姦(息子×父)・ハート喘ぎ・濁点喘ぎあり。
章ごとに話を区切っている、短編シリーズとなっています。
最初から読んでいただけると、分かりやすいかと思います。
攻め:優人(ゆうと) 19歳
父親より小柄なものの、整った顔立ちをしているイケメンで周囲からの人気も高い。
だが父である和志に対して恋心と劣情を抱いているため、そんな周囲のことには興味がない。
受け:和志(かずし) 43歳
学生時代から筋トレが趣味で、ガタイがよく体毛も濃い。
元妻とは15年ほど前に離婚し、それ以来息子の優人と2人暮らし。
pixivにも投稿しています。
開発されに通院中
浅上秀
BL
医者×サラリーマン
体の不調を訴えて病院を訪れたサラリーマンの近藤猛。
そこで医者の真壁健太に患部を触られ感じてしまう。
さらなる快楽を求めて通院する近藤は日に日に真壁に調教されていく…。
開発し開発される二人の変化する関係の行く末はいかに?
本編完結
番外編あり
…
連載 BL
なお作者には専門知識等はございません。全てフィクションです。
※入院編に関して。
大腸検査は消化器科ですがフィクション上のご都合主義ということで大目に見ながらご覧ください。
…………
【完結】一途な想いにも、ほどがある!
空条かの
BL
御曹司の天王寺尚人が一般家庭の姫木陸に初恋をしてしまい、一途に恋心を募らせて暴走していく物語です。
愛してやまない恋の行方は、果たしてハッピーエンドを迎えられるのか?
そんな暴走初恋の長編ストーリーです。(1章ずつ完結タイプのお話)
※性的表現(R18)ありのページは、マークをつけて分かるようにしておきます。
(わりとしっかりめに書くため、ダメな人はお気をつけください)
※設定を変更しましたので、違和感がある場合があります。
◆4章で一旦完結OK。11章で完全完結。
【お詫び】
他サイトにも掲載しておりますが、掲載サイトにより内容を修正しているため、若干異なる部分などがあります。どこかでお見かけの際は、あれ? なんか違うってこともありますので、ご了承ください。
【R18】【Bl】魔力のない俺は今日もイケメン絶倫幼馴染から魔力をもらいます
ペーパーナイフ
BL
俺は猛勉強の末やっと魔法高校特待生コースに入学することができた。
安心したのもつかの間、魔力検査をしたところ魔力適性なし?!
このままでは学費無料の特待生を降ろされてしまう…。貧乏な俺にこの学校の学費はとても払えない。
そんなときイケメン幼馴染が魔力をくれると言ってきて…
魔力ってこんな方法でしか得られないんですか!!
注意
無理やり フェラ 射精管理 何でもありな人向けです
リバなし 主人公受け 妊娠要素なし
後半ほとんどエロ
ハッピーエンドになるよう努めます
天涯孤独な天才科学者、憧れの異世界ゲートを開発して騎士団長に溺愛される。
竜鳴躍
BL
年下イケメン騎士団長×自力で異世界に行く系天然不遇美人天才科学者のはわはわラブ。
天涯孤独な天才科学者・須藤嵐は子どもの頃から憧れた異世界に行くため、別次元を開くゲートを開発した。
チートなし、チート級の頭脳はあり!?実は美人らしい主人公は保護した騎士団長に溺愛される。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる