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ジュリアン
シェンどこいった
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シェンは今日も帰ってこなかった。
あまりにも、おかしい。騎士団長のアンドレアに相談に行ったら彼も首をひねっていた。
「あいつは無断で外泊するような奴じゃないんだけどな…。」
アンドレアがそう言うので余計に不安が募る。シェンの心配をしていると、副騎士団長のクロスが書類を持って現れた。
「団長、騎士の剣術大会のリストです。」
アンドレアはファイルを受け取ってパラパラめくる。
「…なんだ、お前出場しないのか?」
するとクロスは右腕をちらりと見て苦笑する。
「ちょっと痛めてしまいまして、回復が間に合わないのでやめときます。」
「レアルに治療してもらうか?」
「いえ、レアルの手を煩わせても申し訳ないですし。自然に任せます。たまには休ませてくださいよ。」
俺はその右腕を凝視してしまった。
俺は魔法が使えるようになってから、少し透視ができたり第六感なるものが手に入った。
これは、刀傷だ。平静を保ってるけど相当深い。アンドレアにはバレたくないようだ。何かあったのだろうか。
「そういえば、ジュリアン様。リアン様は回復されたのですか?」
クロスがくるっと振り向いて俺に笑いかける。
「あ、はい…。なんとか山は越えて…。感謝してます。」
「それは良かった。あ、そうそう。いいお茶が手に入ったんですよ、それもグリン王国の。ジュリアン様の国のは上質ですからね、故郷のお味を是非、俺の部屋でどうですか?」
グリン王国のお茶は美味しいと世界でも評判で重要な輸出品だ。俺も祖国のものが一番好きだ。せっかくだから頂こうかな。
「じゃあ、お言葉に甘えて…。先日陛下のもとから送って頂いたお礼も言わせてくださいね。」
「シェンのことは調べておく。何かあったらすぐに連絡するから。」
アンドレアの言葉にクロスが目をみはったけれど、すぐに俺に向けられる。
「ではジュリアン様、行きましょうか。」
アンドレアの部屋から結構歩かされた。副騎士団長の部屋ってこんなに団長と離れててもいいのかな?って思ったけれど、よその国の事情なのだろうか。
どうやらここはクロスの副騎士団長の部屋ではなく、私室のようだった。
男同士だけれど、男性を恋人に持つ俺は他の男の人の部屋に入るのは多少気が引ける。でも、男同士なのにこういう意識をするっていうのはきっと常識的に見ておかしい…気がする。
「シェンがどうしたんですか?」
部屋のドアを開けながらクロスが尋ねてきた。
「どうぞ。」
とてもきれいなリビングに通された。金もってそう…な統一されたインテリアだ。
「シェンは俺も用があって。昨夜から姿を見ていないのですが、どこへ行ったのか知ってますか?」
逆にクロスに質問されて俺は驚いてしまった。
「聞いてないん…ですよ。」
そう答えながら俺は目の前が滲んだ。
ほんと、どこ行っちゃったんだろ。
「シェンは昔からいつもどこか行っちゃあ男女構わず抱きに行ってましたからね、そんなところじゃないですか。ほんと獣というか…。」
ため息をつきながらクロスが天井を仰いだ。
まさか。そんなことあるわけがない。
俺はだんだん腹が立ってきた。
あまりにも、おかしい。騎士団長のアンドレアに相談に行ったら彼も首をひねっていた。
「あいつは無断で外泊するような奴じゃないんだけどな…。」
アンドレアがそう言うので余計に不安が募る。シェンの心配をしていると、副騎士団長のクロスが書類を持って現れた。
「団長、騎士の剣術大会のリストです。」
アンドレアはファイルを受け取ってパラパラめくる。
「…なんだ、お前出場しないのか?」
するとクロスは右腕をちらりと見て苦笑する。
「ちょっと痛めてしまいまして、回復が間に合わないのでやめときます。」
「レアルに治療してもらうか?」
「いえ、レアルの手を煩わせても申し訳ないですし。自然に任せます。たまには休ませてくださいよ。」
俺はその右腕を凝視してしまった。
俺は魔法が使えるようになってから、少し透視ができたり第六感なるものが手に入った。
これは、刀傷だ。平静を保ってるけど相当深い。アンドレアにはバレたくないようだ。何かあったのだろうか。
「そういえば、ジュリアン様。リアン様は回復されたのですか?」
クロスがくるっと振り向いて俺に笑いかける。
「あ、はい…。なんとか山は越えて…。感謝してます。」
「それは良かった。あ、そうそう。いいお茶が手に入ったんですよ、それもグリン王国の。ジュリアン様の国のは上質ですからね、故郷のお味を是非、俺の部屋でどうですか?」
グリン王国のお茶は美味しいと世界でも評判で重要な輸出品だ。俺も祖国のものが一番好きだ。せっかくだから頂こうかな。
「じゃあ、お言葉に甘えて…。先日陛下のもとから送って頂いたお礼も言わせてくださいね。」
「シェンのことは調べておく。何かあったらすぐに連絡するから。」
アンドレアの言葉にクロスが目をみはったけれど、すぐに俺に向けられる。
「ではジュリアン様、行きましょうか。」
アンドレアの部屋から結構歩かされた。副騎士団長の部屋ってこんなに団長と離れててもいいのかな?って思ったけれど、よその国の事情なのだろうか。
どうやらここはクロスの副騎士団長の部屋ではなく、私室のようだった。
男同士だけれど、男性を恋人に持つ俺は他の男の人の部屋に入るのは多少気が引ける。でも、男同士なのにこういう意識をするっていうのはきっと常識的に見ておかしい…気がする。
「シェンがどうしたんですか?」
部屋のドアを開けながらクロスが尋ねてきた。
「どうぞ。」
とてもきれいなリビングに通された。金もってそう…な統一されたインテリアだ。
「シェンは俺も用があって。昨夜から姿を見ていないのですが、どこへ行ったのか知ってますか?」
逆にクロスに質問されて俺は驚いてしまった。
「聞いてないん…ですよ。」
そう答えながら俺は目の前が滲んだ。
ほんと、どこ行っちゃったんだろ。
「シェンは昔からいつもどこか行っちゃあ男女構わず抱きに行ってましたからね、そんなところじゃないですか。ほんと獣というか…。」
ため息をつきながらクロスが天井を仰いだ。
まさか。そんなことあるわけがない。
俺はだんだん腹が立ってきた。
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