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ジュリアン
忠誠を誓う
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シェンが俺の頬の涙にそっと触れた。
「この国に来て良かった。ジュリアン様に会えた。」
俺はシェンを信頼した。この人についていこう、そう決めた。
「シェン…。ありがとう。俺、リアンからナイフの使い方や接近戦のやり方を伝授されてるんだ。だから直接刺客が来ても負けない自信はある。15才の時でリアンより強かったし、大国でも騎士達に教えてたから。」
俺は洗いざらいをシェンに話すつもりになった。彼はとても驚いて、俺にこう言った。
「それは頼もしいですね。そうでなくちゃ。ただの、ジュリアン様が非力なボンボンでなくて良かった。どストライクですよ。」
どストライク…。お気に召して頂いたようだ。
「シェン、お願いがあるんだけれど。」
「何なりと。」
俺はシェンにしてほしいことがあった。
「あのね、さっき少し話をしたこと。俺に正式に魔法を教えて欲しいんだ。誰にも内緒で。この国に魔法を使える人って、シェンとロビンとロビンの部下くらいなんだよ。」
俺の言葉にシェンが少し黙った。しばらく考えて、濁すように答える。
「軽いのなら素人でもいいですが、俺程度に魔法を使うには、細胞ごと魔法を使える体にしなければいけないんですよ。俺の国の騎士は全員そうなんですが。」
「どうしたらそうなれるの?」
シェンが、うーん、と考える。
「その術を使える者に体を作り替えてもらうんですが、俺はそれ、できないからなー。」
「誰ならできるの?」
「なかなか突っ込んできますよねジュリアン様。」
身を乗り出す俺にシェンが、少々たじろいでいる。
「俺の親友が術を使えます。…こっそり呼びますか?どこかで落ち合うとか。」
シェンの提案に俺は大きく頷いた。大国でも思っていたことなんだけれども、魔法、喉から手が出るくらい欲しいんだ。俺はこれから王になる身。誰にも負けたくないし、困ってる人を救いたい。
「わかりました。計画します。じゃあ…。」
快諾してくれたシェンが、ニヤッと笑う。
「じゃあ?」
「俺にご褒美くれます?」
「ご褒美?」
きょとんとしている俺にシェンはつかつかと歩み寄り、キスをした。
え?キスがご褒美になんの?さっきもしたじゃないか。そう思っていると、唇を割ってシェンの舌が入ってきた。
「っ!」
俺は驚いてびくっと体が震えてしまった。それを見てシェンが口角を上げながらも俺の唇をもっと堪能しようと口を開いて吸い付いてくる。
シェンの舌が上の歯をなぞって裏に届き、上顎を舐めた瞬間、俺は体の力が抜けてしまった。
「この国に来て良かった。ジュリアン様に会えた。」
俺はシェンを信頼した。この人についていこう、そう決めた。
「シェン…。ありがとう。俺、リアンからナイフの使い方や接近戦のやり方を伝授されてるんだ。だから直接刺客が来ても負けない自信はある。15才の時でリアンより強かったし、大国でも騎士達に教えてたから。」
俺は洗いざらいをシェンに話すつもりになった。彼はとても驚いて、俺にこう言った。
「それは頼もしいですね。そうでなくちゃ。ただの、ジュリアン様が非力なボンボンでなくて良かった。どストライクですよ。」
どストライク…。お気に召して頂いたようだ。
「シェン、お願いがあるんだけれど。」
「何なりと。」
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「軽いのなら素人でもいいですが、俺程度に魔法を使うには、細胞ごと魔法を使える体にしなければいけないんですよ。俺の国の騎士は全員そうなんですが。」
「どうしたらそうなれるの?」
シェンが、うーん、と考える。
「その術を使える者に体を作り替えてもらうんですが、俺はそれ、できないからなー。」
「誰ならできるの?」
「なかなか突っ込んできますよねジュリアン様。」
身を乗り出す俺にシェンが、少々たじろいでいる。
「俺の親友が術を使えます。…こっそり呼びますか?どこかで落ち合うとか。」
シェンの提案に俺は大きく頷いた。大国でも思っていたことなんだけれども、魔法、喉から手が出るくらい欲しいんだ。俺はこれから王になる身。誰にも負けたくないし、困ってる人を救いたい。
「わかりました。計画します。じゃあ…。」
快諾してくれたシェンが、ニヤッと笑う。
「じゃあ?」
「俺にご褒美くれます?」
「ご褒美?」
きょとんとしている俺にシェンはつかつかと歩み寄り、キスをした。
え?キスがご褒美になんの?さっきもしたじゃないか。そう思っていると、唇を割ってシェンの舌が入ってきた。
「っ!」
俺は驚いてびくっと体が震えてしまった。それを見てシェンが口角を上げながらも俺の唇をもっと堪能しようと口を開いて吸い付いてくる。
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