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番外編ルーク
恋
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「リアン!抱っこしてー!」
ジュリアンが走ってきてリアンに抱っこをせがんだ。
「こら!ジュリアンは五歳になったんだろう?いつまでも赤ちゃんみたいに抱っこ抱っこ言わないんだぞ!」
俺はジュリアンに、めっ!と怒った。
ジュリアンはリアンにべったりだ。そりゃあ、生んでくれた人だし当たり前なんだけど、俺にはあまり甘えてこない。とにかく二人の中に入る隙がないのだ。仕事が忙しくてあまりかまってやる時間がないからかもしれない。
「お父様、こわい…。」
ジュリアンがリアンの手を握って隠れた。
「お父様は全然怖くないよ、ジュリアン。」
リアンが優しくジュリアンを抱き上げて頬にキスをした。
「なんでジュリアンはリアンと同じ髪の色にならなかったの?リアンのと同じがよかった。」
ジュリアンがリアンの髪を触りながら言った言葉に俺は少なからずショックを受けた。
子どもって、思ったままを口にする。
俺だって、リアンの髪は綺麗だと思うよ。リアンは髪を背中あたりまで伸ばした自分の髪をつまんで笑った。
「えー?これ?俺の髪はね、ママと同じなんだ。でもね、俺はジュリアンの黒髪が大好きだよ。だってね、ジュリアンが大好きなルークと同じ黒髪で生まれたら素敵だなって思ってたから。ふふ、願いが叶ってよかった。」
俺は驚いてリアンを見た。
リアン、愛してるぞ!
「リアンはジュリアンとお父様とどっちが好きなの?」
ジュリアンがリアンの頬にキスをしながら尋ねる。
質問がシビアじゃないか?ジュリアン…。俺は息子にとって、リアンを奪う敵かライバルなのか?
「えー?その質問は困るなあ…。正直に言うとさ…。」
リアンはそう言いながら俺をちらっと見た。ジュリアンが俺を睨んでいる!
「うーん、俺はジュリアンが子どもだからって、適当には答えないよ。ルークが好きなの。ジュリアンは二番目。」
おっ…おいリアン!それは…。
ジュリアンが泣きそうな顔をした。涙がぽろりと頬をつたう。
「俺だってママが再婚するとき言われたもん。ママはお父様が好きなの、あなたはその次よって。」
お前のママはスゲーな。
「でもね、ジュリアン。いつかジュリアンのことを世界一好きな人が現れるよ。ジュリアンもその人のことを世界一好きになるような、そんな恋をするから。
だから俺は世界で二番目になるよ。」
「ならないもん!リアンが世界一だもん!」
ジュリアンが俺をまた睨んでいる。怖え。
五歳に何て話だよ…。リアン…。
「でもね、あと10年も経たないうちに絶対俺に二番目だって言うから。ふっふ、ジュリアンは来年には恋をしてるかもしれないよ?」
「しないもん!」
ジュリアンとリアンがギャーギャーと話をしていると、銀髪の少年がジュリアンを訪ねてきた。
「ジュリアン。陛下、リアン、こんにちは。」
「…オリバー。」
ジュリアンが少年の名前を読んでリアンの腕からさっと降りる。
「どうした?泣いてるのかジュリアン。」
銀髪の少年がジュリアンの表情に気づいて言うと、ジュリアンは顔をごしごし拭いて首を振った。
「ううん、泣いてないよ、オリバー。」
「そうか、ロビンがケーキを買ってきたんだ。一緒に食べようと思って誘いに来た。リアン、ジュリアンを父上の部屋に連れてっていいかな?」
オリバーと呼ばれた少年がリアンに尋ねると、リアンは笑って頷いた。
「うん、いいよ。ガリアスとロビンによろしく。」
「じゃあ行こうよ。」
オリバーがジュリアンの手を繋いだ。その時ジュリアンが赤くなって繋がれた手を見て、嬉しそうに微笑んだ。
「行ってくるね、リアン、お父様。」
ジュリアンの機嫌はもう直っていた。
「ふ、わかっちゃったよ…。」
「何が?」
不敵な笑みを浮かべるリアンに俺は尋ねた。
「俺の初恋は五歳だからね、わかるんだ。さすが俺の子。」
「え?」
俺にはますますわからない。
「ううんこっちの話。で、さっき俺が世界一好きなのはルークって話、聞いてた?」
俺の胸に抱きついたリアンは額をぐりぐり押し付けた。
「あんな男に負けて二番なのかって拗ねないか?」
「ルークはあんな男なの?もしジュリアンがそんな事言ったら俺怒っちゃうしそんな子に育ててない。」
「へえ…。」
俺はリアンにキスをした。
でも俺は知ってるぞ、リアン。
夜眠る前にジュリアンのベッドで寝かしつけるときに
「世界一好きなのはジュリアンだよ。」
と、ちゃんと囁いて頬にキスしてるのをな。
この小悪魔め…。今夜絶対ベッドで泣かすからな。
ジュリアンが走ってきてリアンに抱っこをせがんだ。
「こら!ジュリアンは五歳になったんだろう?いつまでも赤ちゃんみたいに抱っこ抱っこ言わないんだぞ!」
俺はジュリアンに、めっ!と怒った。
ジュリアンはリアンにべったりだ。そりゃあ、生んでくれた人だし当たり前なんだけど、俺にはあまり甘えてこない。とにかく二人の中に入る隙がないのだ。仕事が忙しくてあまりかまってやる時間がないからかもしれない。
「お父様、こわい…。」
ジュリアンがリアンの手を握って隠れた。
「お父様は全然怖くないよ、ジュリアン。」
リアンが優しくジュリアンを抱き上げて頬にキスをした。
「なんでジュリアンはリアンと同じ髪の色にならなかったの?リアンのと同じがよかった。」
ジュリアンがリアンの髪を触りながら言った言葉に俺は少なからずショックを受けた。
子どもって、思ったままを口にする。
俺だって、リアンの髪は綺麗だと思うよ。リアンは髪を背中あたりまで伸ばした自分の髪をつまんで笑った。
「えー?これ?俺の髪はね、ママと同じなんだ。でもね、俺はジュリアンの黒髪が大好きだよ。だってね、ジュリアンが大好きなルークと同じ黒髪で生まれたら素敵だなって思ってたから。ふふ、願いが叶ってよかった。」
俺は驚いてリアンを見た。
リアン、愛してるぞ!
「リアンはジュリアンとお父様とどっちが好きなの?」
ジュリアンがリアンの頬にキスをしながら尋ねる。
質問がシビアじゃないか?ジュリアン…。俺は息子にとって、リアンを奪う敵かライバルなのか?
「えー?その質問は困るなあ…。正直に言うとさ…。」
リアンはそう言いながら俺をちらっと見た。ジュリアンが俺を睨んでいる!
「うーん、俺はジュリアンが子どもだからって、適当には答えないよ。ルークが好きなの。ジュリアンは二番目。」
おっ…おいリアン!それは…。
ジュリアンが泣きそうな顔をした。涙がぽろりと頬をつたう。
「俺だってママが再婚するとき言われたもん。ママはお父様が好きなの、あなたはその次よって。」
お前のママはスゲーな。
「でもね、ジュリアン。いつかジュリアンのことを世界一好きな人が現れるよ。ジュリアンもその人のことを世界一好きになるような、そんな恋をするから。
だから俺は世界で二番目になるよ。」
「ならないもん!リアンが世界一だもん!」
ジュリアンが俺をまた睨んでいる。怖え。
五歳に何て話だよ…。リアン…。
「でもね、あと10年も経たないうちに絶対俺に二番目だって言うから。ふっふ、ジュリアンは来年には恋をしてるかもしれないよ?」
「しないもん!」
ジュリアンとリアンがギャーギャーと話をしていると、銀髪の少年がジュリアンを訪ねてきた。
「ジュリアン。陛下、リアン、こんにちは。」
「…オリバー。」
ジュリアンが少年の名前を読んでリアンの腕からさっと降りる。
「どうした?泣いてるのかジュリアン。」
銀髪の少年がジュリアンの表情に気づいて言うと、ジュリアンは顔をごしごし拭いて首を振った。
「ううん、泣いてないよ、オリバー。」
「そうか、ロビンがケーキを買ってきたんだ。一緒に食べようと思って誘いに来た。リアン、ジュリアンを父上の部屋に連れてっていいかな?」
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「うん、いいよ。ガリアスとロビンによろしく。」
「じゃあ行こうよ。」
オリバーがジュリアンの手を繋いだ。その時ジュリアンが赤くなって繋がれた手を見て、嬉しそうに微笑んだ。
「行ってくるね、リアン、お父様。」
ジュリアンの機嫌はもう直っていた。
「ふ、わかっちゃったよ…。」
「何が?」
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「ルークはあんな男なの?もしジュリアンがそんな事言ったら俺怒っちゃうしそんな子に育ててない。」
「へえ…。」
俺はリアンにキスをした。
でも俺は知ってるぞ、リアン。
夜眠る前にジュリアンのベッドで寝かしつけるときに
「世界一好きなのはジュリアンだよ。」
と、ちゃんと囁いて頬にキスしてるのをな。
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