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番外編ロビン
ガリアス
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なんてこった。
訴訟が握りつぶされた。
所詮は外国人の傭兵ごときが生意気な、と侮られたのか。どいつもこいつも腐ってる、と思った。
怒りに震える俺はとうとう決心した。
王宮に直接乗り込んでやる。部下の恥辱を晴らし、この国の膿を国王に知らしめてやるのだ。
ユーリの傷は癒えたけど、心の傷は癒えない。夜になるとトラウマに震えるユーリを俺が毎日抱いて眠っている。
「ロビンさん…。」
「大丈夫だ、ユーリ、俺が側で守ってやるから。怖い思いはもうしなくていい。」
「はい…。」
俺がユーリの額にキスをして抱き締めてやると、ユーリは安心して眠る。
くっそ、許さん!絶対このまま泣き寝入りはしない!
調べると、ユーリを襲った兵の親戚に貴族がいるらしい。
そいつが訴訟を握りつぶしたんだ。
ある日俺は王宮へ直接乗り込んだ。と言っても守衛に止められるよな、そりゃそうだ。だから、座り込みを決めた。傭兵の仕事もボイコットだ。逮捕されたら暴れてやろうと決めていた。この国の兵なんて、俺のいた騎士団より弱い。
王宮の門に毎日座り込む。そのうち少し有名になった。だって俺、イケメンだもん。青い髪の美形男子が毎日座り込んでいると民衆がみにくるようになった。
そのうちに何故座り込んでいるのか、なんの目的なのか、と聞いてくる輩に全てを話した。
口コミで軍の恥部が明るみになる。
今日も座り込んでいると、兵にとうとう逮捕された。俺は剣を振りかざして捕まえようとする兵たちをことごとく片付けていく。その華麗な俺の剣裁きに人だかりが増えて、応援するやつらも増えた。
「そこまでだ!」
大きく、毅然とした声が響いた。
囃し立てていた民衆が一気に静まり返る。兵たちが一斉に敬礼をした。
やっとお偉方の登場か。それを待ってたんだよ。
長い銀の髪をなびかせて、長身の男が立っていた。スッとした佇まいとシンプルな美貌。
こいつ、誰だ?
「お前か…例の傭兵隊長というのは…。」
「一応、噂は耳に入ってるんだな。来るのが遅い。こんなに被害者を出してしまったぞ。」
「非礼は詫びる。噂を耳にしたのは今朝がただ。」
その銀髪の男は俺に頭を下げ、おお、と民衆がどよめく。
驚いた。その潔さに。
目を丸くする俺をその銀髪の男は王宮に入れて自室へと誘った。広い立派な王宮を歩いていくが、その華麗な内装に俺は驚いた。しつらえもセンスがいい。
銀髪の男は濃紺のベルベットに銀糸の施されたローブをまとっている。背は俺より高い。身分が相当高いようで、すれ違う者すべてが彼に道を開け、兵は敬礼をする。
誰なんだこいつ…。
やっと彼の私室らしい豪華な二枚扉が開かれた。
部屋の様子を見て俺は驚いた。
トレーニングマシンがいくつもあり、あとは本棚。難しい本がたくさん並んでいる。ほんの片隅にベッドとソファがある。書斎は別の部屋にあるようだ。
変な部屋だな…。絶対こいつも変だ。
俺はそいつにソファをすすめられて、とりあえず腰かけた。しばらく待っていると彼は香りのいい紅茶をいれてくれた。一口飲むと鼻にとてもフルーティーな香りが抜けていく。
「紹介が遅れた。俺はガリアスだ。宰相をしている。」
え!さ、宰相ガリアス!?
俺は紅茶を吹き出しそうになった。
訴訟が握りつぶされた。
所詮は外国人の傭兵ごときが生意気な、と侮られたのか。どいつもこいつも腐ってる、と思った。
怒りに震える俺はとうとう決心した。
王宮に直接乗り込んでやる。部下の恥辱を晴らし、この国の膿を国王に知らしめてやるのだ。
ユーリの傷は癒えたけど、心の傷は癒えない。夜になるとトラウマに震えるユーリを俺が毎日抱いて眠っている。
「ロビンさん…。」
「大丈夫だ、ユーリ、俺が側で守ってやるから。怖い思いはもうしなくていい。」
「はい…。」
俺がユーリの額にキスをして抱き締めてやると、ユーリは安心して眠る。
くっそ、許さん!絶対このまま泣き寝入りはしない!
調べると、ユーリを襲った兵の親戚に貴族がいるらしい。
そいつが訴訟を握りつぶしたんだ。
ある日俺は王宮へ直接乗り込んだ。と言っても守衛に止められるよな、そりゃそうだ。だから、座り込みを決めた。傭兵の仕事もボイコットだ。逮捕されたら暴れてやろうと決めていた。この国の兵なんて、俺のいた騎士団より弱い。
王宮の門に毎日座り込む。そのうち少し有名になった。だって俺、イケメンだもん。青い髪の美形男子が毎日座り込んでいると民衆がみにくるようになった。
そのうちに何故座り込んでいるのか、なんの目的なのか、と聞いてくる輩に全てを話した。
口コミで軍の恥部が明るみになる。
今日も座り込んでいると、兵にとうとう逮捕された。俺は剣を振りかざして捕まえようとする兵たちをことごとく片付けていく。その華麗な俺の剣裁きに人だかりが増えて、応援するやつらも増えた。
「そこまでだ!」
大きく、毅然とした声が響いた。
囃し立てていた民衆が一気に静まり返る。兵たちが一斉に敬礼をした。
やっとお偉方の登場か。それを待ってたんだよ。
長い銀の髪をなびかせて、長身の男が立っていた。スッとした佇まいとシンプルな美貌。
こいつ、誰だ?
「お前か…例の傭兵隊長というのは…。」
「一応、噂は耳に入ってるんだな。来るのが遅い。こんなに被害者を出してしまったぞ。」
「非礼は詫びる。噂を耳にしたのは今朝がただ。」
その銀髪の男は俺に頭を下げ、おお、と民衆がどよめく。
驚いた。その潔さに。
目を丸くする俺をその銀髪の男は王宮に入れて自室へと誘った。広い立派な王宮を歩いていくが、その華麗な内装に俺は驚いた。しつらえもセンスがいい。
銀髪の男は濃紺のベルベットに銀糸の施されたローブをまとっている。背は俺より高い。身分が相当高いようで、すれ違う者すべてが彼に道を開け、兵は敬礼をする。
誰なんだこいつ…。
やっと彼の私室らしい豪華な二枚扉が開かれた。
部屋の様子を見て俺は驚いた。
トレーニングマシンがいくつもあり、あとは本棚。難しい本がたくさん並んでいる。ほんの片隅にベッドとソファがある。書斎は別の部屋にあるようだ。
変な部屋だな…。絶対こいつも変だ。
俺はそいつにソファをすすめられて、とりあえず腰かけた。しばらく待っていると彼は香りのいい紅茶をいれてくれた。一口飲むと鼻にとてもフルーティーな香りが抜けていく。
「紹介が遅れた。俺はガリアスだ。宰相をしている。」
え!さ、宰相ガリアス!?
俺は紅茶を吹き出しそうになった。
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