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番外編ルーク
俺の赤ちゃん 前編
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俺は朝からイライラしていた。
昨夜からリアンが微弱陣痛を起こしてずっと個室にこもっているのだ。
微弱陣痛なだけに、陣痛が続かない。すーっと終わるから、まだまだ産むのに時間がかかる。それが絶え間なくもう1日続いているそうだ。痛いものはものすごく痛いらしい。
時々見に行くのだが、あまり来るなというビームが助産師や医師から出てる。というのは、俺が行くとリアンが平気を装うかららしい。実はヘロヘロなのに、俺に笑顔を見せるのだ。
「夕刻までに生まれないとリアン様にもお子様にも悪影響がありますので、切ります。」
うお、帝王切開か。いっそスパーンとやってもらいたいもんだが、リアンができれば自然に産むと言い張ってるらしい。あいつは手術したことないからおそらく切るのが嫌なのだ。
どちらにしても、無事ならいい。
タイムリミットは夕刻。
「どうだ、リアン…。」
また、見に行ってしまった。
「ルーク…。」
ベッドの上でくたっとなったリアン。汗だくで苦しそうな息をしている。
「なんか、食いたいものとかないか?食事も取れてないだろう?それでは体力が続かない。」
「ん…じゃあ、口当たりのよさそうなもの…。」
「わかった、すぐに用意させる。」
俺は用意させると言っておいて自分で厨房へ走る。自分でリアンに何かしてやりたかった。
何かスイーツのようなもの!王宮の厨房にある冷蔵庫にあるデザートをいくつか盆に盛っていった。
「リアン食い物!」
リアンは陣痛を起こしていた。
「…んっ…はぁ…っく…っ。」
ぷるぷる震えながら痛みに耐えている。助産師が腰をさすっている。俺に気づいてルークは頭を上げ、苦しげに微笑んだ。
うわ、俺は何もできない自分に腹が立った。
また陣痛が終わる。
「なに、持ってきてくれたの…?」
「ん?冷蔵庫にあったやつだけど…。」
プリンとスイートポテトと、イチゴのタルト。リアンの大好物ばかりなのだけど、リアンは少し眉間が険しくなった。
「口当たり、まったりだね…。ゼリーとか、アイスのほうが…いいや、食欲ないし、ありがとう…。水ちょうだい…。」
おお!?失敗したのか俺?確かにねっとり系を持ってきてしまったな!
陣痛は少し長くなっているらしく、あと少しだからと俺は追い出された。出産の付き添いもリアンは望まなかった。
くそ、こんなところで男らしいなあいつ…。
しばらく個室の周りをうろうろしていると、医師や看護師がバタバタと部屋に入っていった。
え?いきなりなにこれ?
俺の胆がひんやりしてくる。もし、もしだ。
リアンに何かあったら俺はもう生きていけない。子どもだってそうだ。臨月になるまで二人でお腹を撫でて撫でて触りまくって話しかけて、ものすごく楽しみにしてきた。
俺のリアンを失いたくない。母親が短命だったから余計に心配だ。
リアンの笑顔、困った顔、怒った顔、イタズラをしかけてくる無邪気な姿、そして、俺に愛されてる時のあの美しい裸体と俺を感じてるあの表情…。あ、ヤバい。
とにかく、リアンを失ってしまうと想像しただけで、俺の涙腺が決壊しそうだ。
と、いきなり赤子の大泣きする声がした。
生まれた!
「陛下!元気な男の子でございます!お世継ぎ誕生、おめでとうございます!」
看護師が出てきて俺を呼んだ。
男でも女でも無事ならどっちでもよかったんだけどな、やっぱりでかした、リアン…。
元気に泣きわめく男の子を抱いたリアンが笑っていた。
小さい、ものすごく小さな存在。黒髪の赤ちゃんだった。なんか、感無量で涙が出てきた。
「ありがとう…リアン…。」
「ん…俺こそ、ありがとうだ…。」
3人で抱き合って、少し泣いた。
その後、リアンに乳が出るわけではないので赤子の栄養摂取は医師たちの手に委ねられた。赤ちゃんはまた明日、リアンの元に連れてきてくれるそうだ。
俺は静かになった個室でリアンの頬を撫でた。
「お疲れさん…。もう、眠っていいぞ。」
「ん…。ね、ルークも一緒に隣にいて?ここで一緒に寝ようよ。」
甘えるリアンがものすごく可愛い。
「まだ体が癒えてないだろう?俺がいたら疲れないか?」
「ううん、一緒にいてほしいの…キスして?」
今日のリアンはめちゃくちゃ甘えただ。
俺はそっとリアンに口づけた。
「名前は…決めてある。」
「な、に…?んっ…。」
昨夜からリアンが微弱陣痛を起こしてずっと個室にこもっているのだ。
微弱陣痛なだけに、陣痛が続かない。すーっと終わるから、まだまだ産むのに時間がかかる。それが絶え間なくもう1日続いているそうだ。痛いものはものすごく痛いらしい。
時々見に行くのだが、あまり来るなというビームが助産師や医師から出てる。というのは、俺が行くとリアンが平気を装うかららしい。実はヘロヘロなのに、俺に笑顔を見せるのだ。
「夕刻までに生まれないとリアン様にもお子様にも悪影響がありますので、切ります。」
うお、帝王切開か。いっそスパーンとやってもらいたいもんだが、リアンができれば自然に産むと言い張ってるらしい。あいつは手術したことないからおそらく切るのが嫌なのだ。
どちらにしても、無事ならいい。
タイムリミットは夕刻。
「どうだ、リアン…。」
また、見に行ってしまった。
「ルーク…。」
ベッドの上でくたっとなったリアン。汗だくで苦しそうな息をしている。
「なんか、食いたいものとかないか?食事も取れてないだろう?それでは体力が続かない。」
「ん…じゃあ、口当たりのよさそうなもの…。」
「わかった、すぐに用意させる。」
俺は用意させると言っておいて自分で厨房へ走る。自分でリアンに何かしてやりたかった。
何かスイーツのようなもの!王宮の厨房にある冷蔵庫にあるデザートをいくつか盆に盛っていった。
「リアン食い物!」
リアンは陣痛を起こしていた。
「…んっ…はぁ…っく…っ。」
ぷるぷる震えながら痛みに耐えている。助産師が腰をさすっている。俺に気づいてルークは頭を上げ、苦しげに微笑んだ。
うわ、俺は何もできない自分に腹が立った。
また陣痛が終わる。
「なに、持ってきてくれたの…?」
「ん?冷蔵庫にあったやつだけど…。」
プリンとスイートポテトと、イチゴのタルト。リアンの大好物ばかりなのだけど、リアンは少し眉間が険しくなった。
「口当たり、まったりだね…。ゼリーとか、アイスのほうが…いいや、食欲ないし、ありがとう…。水ちょうだい…。」
おお!?失敗したのか俺?確かにねっとり系を持ってきてしまったな!
陣痛は少し長くなっているらしく、あと少しだからと俺は追い出された。出産の付き添いもリアンは望まなかった。
くそ、こんなところで男らしいなあいつ…。
しばらく個室の周りをうろうろしていると、医師や看護師がバタバタと部屋に入っていった。
え?いきなりなにこれ?
俺の胆がひんやりしてくる。もし、もしだ。
リアンに何かあったら俺はもう生きていけない。子どもだってそうだ。臨月になるまで二人でお腹を撫でて撫でて触りまくって話しかけて、ものすごく楽しみにしてきた。
俺のリアンを失いたくない。母親が短命だったから余計に心配だ。
リアンの笑顔、困った顔、怒った顔、イタズラをしかけてくる無邪気な姿、そして、俺に愛されてる時のあの美しい裸体と俺を感じてるあの表情…。あ、ヤバい。
とにかく、リアンを失ってしまうと想像しただけで、俺の涙腺が決壊しそうだ。
と、いきなり赤子の大泣きする声がした。
生まれた!
「陛下!元気な男の子でございます!お世継ぎ誕生、おめでとうございます!」
看護師が出てきて俺を呼んだ。
男でも女でも無事ならどっちでもよかったんだけどな、やっぱりでかした、リアン…。
元気に泣きわめく男の子を抱いたリアンが笑っていた。
小さい、ものすごく小さな存在。黒髪の赤ちゃんだった。なんか、感無量で涙が出てきた。
「ありがとう…リアン…。」
「ん…俺こそ、ありがとうだ…。」
3人で抱き合って、少し泣いた。
その後、リアンに乳が出るわけではないので赤子の栄養摂取は医師たちの手に委ねられた。赤ちゃんはまた明日、リアンの元に連れてきてくれるそうだ。
俺は静かになった個室でリアンの頬を撫でた。
「お疲れさん…。もう、眠っていいぞ。」
「ん…。ね、ルークも一緒に隣にいて?ここで一緒に寝ようよ。」
甘えるリアンがものすごく可愛い。
「まだ体が癒えてないだろう?俺がいたら疲れないか?」
「ううん、一緒にいてほしいの…キスして?」
今日のリアンはめちゃくちゃ甘えただ。
俺はそっとリアンに口づけた。
「名前は…決めてある。」
「な、に…?んっ…。」
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