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リアン
アイゼルの恋人
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「二人は愛し合ってるの?」
俺はルークとアイゼルに尋ねた。疑惑が深すぎて涙が出そうになった。
「そっ…。」
「「んなわけないだろうが!」」
見事に大声でハモられて俺はひゃっと肩をすくめる。ルークとアイゼルが叫んだ。
「アホかリアン!どうやったらそうなるんだ?そもそもルークは好みじゃない!」
「アイゼルおまえそれは失礼だな!そんな俺を愛するリアンに謝れ!」
えっ…?
ルークはベッドから降りて俺に向き直り、ぎゅっと抱き締めてキスをした。柔らかい唇が俺を温める。
「なんでまたそんなことを思ったんだリアン…?」
違うんだ…。よかった…。
ほっとした俺はルークに自分からもう一度軽くキスをしてから、アイゼルの胸を指差した。
「キスマーク…ついてた…。」
とたんにアイゼルが真っ赤になった。バッ!と胸をはだけて自身についている痣を確認する。
「おお、それな。俺もさっき気づいたんだけど言い出せなくてな。なあ、誰と?」
ルークがニヤリとアイゼルに笑いかけた。
「いや、これは…。あの…。」
アイゼルが、真っ赤のまんま動揺している。いつも厳しくて凛々しい騎士団長がこんなにあわあわしているのってすごく可愛らしい。
俺はルークとアイゼルのやりとりに、ぷっと吹き出して声を上げて笑ってしまった。
あれ?声出して笑うのって何年ぶりかな?久しぶりなのは確かだ。
「もしかして、ジークフリート…?」
俺は半分当てずっぽうに、半分確信で言ってみた。
みるみるアイゼルの表情が変わり、目を剥いて驚いた。
ビンゴ。
「なっ…すごいなリアン…。」
口に手を当てて、恥ずかしそうにアイゼルが俺を見た。だって、ジークフリートのアイゼルのことを話す目がもうね、アイゼルに見せてやりたいくらい熱がこもるのは何となく気づいてたんだ。
だけど、アイゼルの態度は変わらないから両想いだとは思わなかったよ。
「アイゼル、恋人ができたのは聞いてないぞ。」
ルークが少し不満げだった。アイゼルは俯いてしばらくしてから、上目遣いにルークを見る。
「恋人になったのは昨日だ。それまではただの上司と部下だったんだよ。いや、ただのじゃないな…。俺はずっと前からジークフリートを好きだったのかもしれない…。」
「昨日からって…体から入る恋かよ。すげーなアイゼル大人かよ…。」
ルークが引きぎみにアイゼルを見つめて、アイゼルは微笑んだ。
すっかり騎士団長の服を着終わったアイゼルは腰に剣を差して準備が整う。やっぱり美しい騎士だ。
「今日はパトロールなんだ。街に降りて見回りだ。」
「あっそれ、ジークフリートも言ってた。仕事がてらデートだね。嬉しそうだったよジークフリート。」
「うっ…これは仕事だ仕事!リアン!今日は戻らんからリアンはここで明日まで護衛だ。」
「承知いたしました!騎士団長!ごゆっくり!」
俺は敬礼をし、アイゼルがまた真っ赤になって、照れたように、部屋を出ていった。
二人になったルークと俺は笑いあった。
ルークが俺を見つめる。
「もしかしてアイゼルに誤解して嫉妬したのか?リアン…?」
ルークが俺を抱き締めながら言った。
「ん…。すっごい嫉妬した。」
思い出したらものすごく悲しくなって、俺は目が潤んできた。
ルークを誰にも渡したくない。すごくそう思ったんだ。
ルークの瞳をじっと見つめていると、
「正直に言って欲しいな、リアン。アイゼルとの仲をどう思ったんだ?教えてくれ、その口で。」
ルークが真顔になって顎に触れて、唇を親指で撫でながら言ってきた。
俺はルークとアイゼルに尋ねた。疑惑が深すぎて涙が出そうになった。
「そっ…。」
「「んなわけないだろうが!」」
見事に大声でハモられて俺はひゃっと肩をすくめる。ルークとアイゼルが叫んだ。
「アホかリアン!どうやったらそうなるんだ?そもそもルークは好みじゃない!」
「アイゼルおまえそれは失礼だな!そんな俺を愛するリアンに謝れ!」
えっ…?
ルークはベッドから降りて俺に向き直り、ぎゅっと抱き締めてキスをした。柔らかい唇が俺を温める。
「なんでまたそんなことを思ったんだリアン…?」
違うんだ…。よかった…。
ほっとした俺はルークに自分からもう一度軽くキスをしてから、アイゼルの胸を指差した。
「キスマーク…ついてた…。」
とたんにアイゼルが真っ赤になった。バッ!と胸をはだけて自身についている痣を確認する。
「おお、それな。俺もさっき気づいたんだけど言い出せなくてな。なあ、誰と?」
ルークがニヤリとアイゼルに笑いかけた。
「いや、これは…。あの…。」
アイゼルが、真っ赤のまんま動揺している。いつも厳しくて凛々しい騎士団長がこんなにあわあわしているのってすごく可愛らしい。
俺はルークとアイゼルのやりとりに、ぷっと吹き出して声を上げて笑ってしまった。
あれ?声出して笑うのって何年ぶりかな?久しぶりなのは確かだ。
「もしかして、ジークフリート…?」
俺は半分当てずっぽうに、半分確信で言ってみた。
みるみるアイゼルの表情が変わり、目を剥いて驚いた。
ビンゴ。
「なっ…すごいなリアン…。」
口に手を当てて、恥ずかしそうにアイゼルが俺を見た。だって、ジークフリートのアイゼルのことを話す目がもうね、アイゼルに見せてやりたいくらい熱がこもるのは何となく気づいてたんだ。
だけど、アイゼルの態度は変わらないから両想いだとは思わなかったよ。
「アイゼル、恋人ができたのは聞いてないぞ。」
ルークが少し不満げだった。アイゼルは俯いてしばらくしてから、上目遣いにルークを見る。
「恋人になったのは昨日だ。それまではただの上司と部下だったんだよ。いや、ただのじゃないな…。俺はずっと前からジークフリートを好きだったのかもしれない…。」
「昨日からって…体から入る恋かよ。すげーなアイゼル大人かよ…。」
ルークが引きぎみにアイゼルを見つめて、アイゼルは微笑んだ。
すっかり騎士団長の服を着終わったアイゼルは腰に剣を差して準備が整う。やっぱり美しい騎士だ。
「今日はパトロールなんだ。街に降りて見回りだ。」
「あっそれ、ジークフリートも言ってた。仕事がてらデートだね。嬉しそうだったよジークフリート。」
「うっ…これは仕事だ仕事!リアン!今日は戻らんからリアンはここで明日まで護衛だ。」
「承知いたしました!騎士団長!ごゆっくり!」
俺は敬礼をし、アイゼルがまた真っ赤になって、照れたように、部屋を出ていった。
二人になったルークと俺は笑いあった。
ルークが俺を見つめる。
「もしかしてアイゼルに誤解して嫉妬したのか?リアン…?」
ルークが俺を抱き締めながら言った。
「ん…。すっごい嫉妬した。」
思い出したらものすごく悲しくなって、俺は目が潤んできた。
ルークを誰にも渡したくない。すごくそう思ったんだ。
ルークの瞳をじっと見つめていると、
「正直に言って欲しいな、リアン。アイゼルとの仲をどう思ったんだ?教えてくれ、その口で。」
ルークが真顔になって顎に触れて、唇を親指で撫でながら言ってきた。
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