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リアン
元カレの手紙
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手紙?ジェットがギールに出した手紙なんてあったんだ。
「なんて…書いてあるの?ギール…。」
俺の言葉は少し震えていた。
「リアン、俺が声に出して読んでもいいのか?…いや、国王もいるんだ。ここで読んで俺たちの絆、ジェットとの絆を知ってもらう。読むぞ。」
ギールがルークを睨んで言った。
低い、よく通る声で静かに読み始めた。
「親愛なる弟分、ギール。
元気か?皆はどうだ?
俺はまだ生きてる、頭の中の血栓はいつ爆発するかわからないが、今はリアンと穏やかな毎日を過ごしてる。
俺がいなくなった後、心配なのはリアンのことだ。
目を閉じるとリアンのことしか浮かばない。いつも誰に対しても気さくで優しくて、可愛かった幼いリアンが成長するにつれ、だんだん美しくなっていくのを俺はずっと見ていた。俺が船を降りるあの日、俺の腕に…」
「ちょっと待った!」
俺は大声で叫んでいた。
そ、それは、それ以上はルークの前で読まないで!
「なんだ?リアン?こっから大事なのに。」
ギールが、訝しげに俺を見た。
俺はルークを見る。俺の前に座って背中を向けているルークの表情が知りたい。
「続きを読め。知りたい。」
ルークが一言命令した。
え、やだやだやだ。
「だめだ!まって!」
俺は大声を出した。しん、となる部屋で一斉に皆が俺を見る。
ルークも驚きの目で俺を振り返る。その目に俺は微かに震えが止まらなかった。涙が出そうになるのをぐっと我慢して、声を絞り出した。
これは自分で言わなければ。
「待って…自分で先に言う…。
だからギール、まだ読まないでくれないか…。ルーク…。聞いて。あの、ジェットは、俺の父親じゃなくて、……恋人だったんだ…隠しててごめんなさい…。」
俺はルークに本当のことを告げた。ずっと言えなかった大事なこと。
「…知ってる。」
ルークが淡々と言った返事に俺は目を見開いた。表情は変わらない。
ルークはまっすぐに俺を見ている。
知ってたの?
「手紙の続きを聞かせろ、リアン。」
ルークが俺を見ながらギールに続きを読むように促し、ギールが続ける。
「…船から降りる日、俺の腕に抱かれて初めて愛を受け入れてくれた日を思い出す。」
続きを読まれてもあまり頭に入ってこない。
ルーク、知ってる、ってどういうこと?俺は頭が真っ白になった。
「でも俺は必ずリアンより先に死ぬ。そうなった時にリアンを託せるのはギールしかいない。
俺が死んだ後、明るかった彼が変わってしまうかもしれないのが心配だ。俺の考え過ぎだといいが。
俺が愛し続けられなくなった分、ギールがリアンをその手に抱いて愛してやってほしい。
俺は、ギールがリアンを密かに想っていたのを知りながらリアンを奪ったことを知っている。本来なら結ばれたかもしれない二人を大人の俺が裂いてしまった。
これは勝手だけれど、俺が死んだらこれからお前がリアンを守って愛し続けて欲しい。俺からの願いはそれだけだ。
…手紙のリアンについてのことはこれぐらいだ。
国王陛下。俺は、リアンを返してもらいに来たんだよ。俺はまだリアンを諦めていない。これは遺書だと俺は思っている。」
ギールがルークを睨み付けた。
「なんて…書いてあるの?ギール…。」
俺の言葉は少し震えていた。
「リアン、俺が声に出して読んでもいいのか?…いや、国王もいるんだ。ここで読んで俺たちの絆、ジェットとの絆を知ってもらう。読むぞ。」
ギールがルークを睨んで言った。
低い、よく通る声で静かに読み始めた。
「親愛なる弟分、ギール。
元気か?皆はどうだ?
俺はまだ生きてる、頭の中の血栓はいつ爆発するかわからないが、今はリアンと穏やかな毎日を過ごしてる。
俺がいなくなった後、心配なのはリアンのことだ。
目を閉じるとリアンのことしか浮かばない。いつも誰に対しても気さくで優しくて、可愛かった幼いリアンが成長するにつれ、だんだん美しくなっていくのを俺はずっと見ていた。俺が船を降りるあの日、俺の腕に…」
「ちょっと待った!」
俺は大声で叫んでいた。
そ、それは、それ以上はルークの前で読まないで!
「なんだ?リアン?こっから大事なのに。」
ギールが、訝しげに俺を見た。
俺はルークを見る。俺の前に座って背中を向けているルークの表情が知りたい。
「続きを読め。知りたい。」
ルークが一言命令した。
え、やだやだやだ。
「だめだ!まって!」
俺は大声を出した。しん、となる部屋で一斉に皆が俺を見る。
ルークも驚きの目で俺を振り返る。その目に俺は微かに震えが止まらなかった。涙が出そうになるのをぐっと我慢して、声を絞り出した。
これは自分で言わなければ。
「待って…自分で先に言う…。
だからギール、まだ読まないでくれないか…。ルーク…。聞いて。あの、ジェットは、俺の父親じゃなくて、……恋人だったんだ…隠しててごめんなさい…。」
俺はルークに本当のことを告げた。ずっと言えなかった大事なこと。
「…知ってる。」
ルークが淡々と言った返事に俺は目を見開いた。表情は変わらない。
ルークはまっすぐに俺を見ている。
知ってたの?
「手紙の続きを聞かせろ、リアン。」
ルークが俺を見ながらギールに続きを読むように促し、ギールが続ける。
「…船から降りる日、俺の腕に抱かれて初めて愛を受け入れてくれた日を思い出す。」
続きを読まれてもあまり頭に入ってこない。
ルーク、知ってる、ってどういうこと?俺は頭が真っ白になった。
「でも俺は必ずリアンより先に死ぬ。そうなった時にリアンを託せるのはギールしかいない。
俺が死んだ後、明るかった彼が変わってしまうかもしれないのが心配だ。俺の考え過ぎだといいが。
俺が愛し続けられなくなった分、ギールがリアンをその手に抱いて愛してやってほしい。
俺は、ギールがリアンを密かに想っていたのを知りながらリアンを奪ったことを知っている。本来なら結ばれたかもしれない二人を大人の俺が裂いてしまった。
これは勝手だけれど、俺が死んだらこれからお前がリアンを守って愛し続けて欲しい。俺からの願いはそれだけだ。
…手紙のリアンについてのことはこれぐらいだ。
国王陛下。俺は、リアンを返してもらいに来たんだよ。俺はまだリアンを諦めていない。これは遺書だと俺は思っている。」
ギールがルークを睨み付けた。
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