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ラブラブ番外編
★海辺で三人の幸せえっち(SSまとめました)
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広がる青い海。青い空。
俺たちはもう、この島でフリーランスのトレジャーハンターをして一年たつ。
たまに、以前仕えていた国王陛下のお呼びで騎士のバイトに行ったり、自由を謳歌している。
エリアス、フィリックスは腕も立つし何しろ強いので色んな現場に引っ張りだこだ。
相棒のドラゴン、黒いカイザー号と赤のオリオン号は人間に従うドラゴンの中では群を抜いて強い。それだけでも有名なのに、エリアスとフィリックスは魔力も戦力も莫大だ。
今までいくつもの国がこの二人を欲しくて大金を積み、スカウトをするけれど、すべて断っているんだ。
その理由はというと。
俺がいるからだ。
俺といつもイチャイチャしたいこの二人は自由に時間が取れるこの仕事が気に入っている。
金はうなるほどあるこの二人。世界的なトレジャーハンターの一族、エリアス。
世界的ホテル王の息子、フィリックス。
何で竜騎士なんてやってたんだと言うと、…生まれつきドラゴンを従えていた運命の子だから。
俺という存在を守るため、竜騎士という運命を持って生まれてきた二人…らしいのだけど、そこらへんは俺にはよくわかんない。
俺は異世界の番人、神の下僕と呼ばれる稀少な部族、ドラゴン族の父ちゃんと人間の母ちゃんの子として生まれた。ハーフドラゴンはドラゴン族には忌み嫌われ、俺は辺境でひっそり育ったんだ。
でも、俺にもかけがえのないドラゴンが側にいた。
親を知らず、ラースという小さな蒼く美しいドラゴンと田舎で兄弟のように育ってきたんだ。
ある時竜騎士にスカウトされて王宮に就職、ドラゴンを操るエリート、竜騎士団長のエリアスとフィリックスに出会えた。
そして二人に…猛烈に愛されてる。
色々あって竜騎士を引退し、この無人島に住んでいるんだけれども。
そしてラースもカイザー号とオリオン号に…。
全員、男なんだけどね!
「ラース、今日は天気がいいし、ちょっと泳ぎたいなぁ。海行かない?」
「うん、僕もちょっと海に用があるんだ。シンに見せたいものがあるの」
「…?」
「行ってのお楽しみだよ」
何かラースが隠してるけれど、一緒に行けるならいいや、俺たちは兄弟の感覚だからお互いのプライベートは尊重してる。深くは聞かない。
ラースの背中に乗り、高い崖から滑空したかと思うと、ふとラースが翼を畳む。
すると孕む風がない俺たちは頭から一気に落ちていく。
海面が迫り、一瞬で景色が海の中になった。
上を見ると海面の天井がキラキラと太陽の光を受けて輝いている。
ラースに乗って海底を目指す。
たくさんの魚がすれ違ったり逃げたり。
ラースは腕と翼、尾をはためかせてまるで飛ぶように泳ぐんだ。
「…シン、もう少し潜っててもいい?」
「うん」
水圧や呼吸は魔法でなんとかなっている。元々ドラゴン族の血が半分流れている俺は体力はないが魔力はあったらしい。魔法も昔よりかなり上達した。
そして着いた場所とは。
「えっ…」
俺は目を疑った。
それはそれは立派な珊瑚。これは赤い見事なものが取れる。
「…これ…?珊瑚…」
知らなかった。こんなところにこんな立派なものがあったとは。
「ふふ。これどうかなと思って」
ラースが悪戯っぽく笑う。
そうか。二人で考えてたんだっけ。
「いいね、素敵だ」
俺は見事なその枝を少し頂戴した。
そしてまたスピードを上げてぐんぐんと進んでいく。途中で海流に乗れたラースの速度がかなり速くなる。
大きな魚や鮫と行き交い、地上とは全く違う景色が神秘的でいつも見惚れてしまう。俺の髪やラースの蒼が海水に溶け込んでいくような、そんな不思議な感覚に浸ってしまう素敵な時間だ。
しばらくすると海流からラースが外れ、ある場所に着いた。
貝がたくさん生息しているそこに、ひときわ美しい大きな貝がある。俺はラースから降りてその貝を手に取り、小刀でこじあけるとそれはパカンと開く。
そこには大粒の黒真珠があった。
ラースと目を合わせて微笑んだ俺はそれを胸に抱くとまた彼の背中に戻って島へと戻った。
岸に上がり、冷えた体をラースと寝転んで砂浜で温めていると、空の遠くから黒い点が見え、みるみると大きくなっていく。
ええー…。どんなスピードで飛んでんの…?
大きな翼を広げ、みるみると拡大されるように向かって来るのはカイザー号。
彼は黒い大きな逞しいドラゴンで、左右に三本ずつある立派な角が銀色の角飾りに輝く。
おい、まだスピード落としてない!
ちょちょちょ!!ぶつかられたら間違いなく俺たち死ぬから!
俺とラース目掛けてぶっ飛んでくるイカれたドラゴンカイザーを、ラースが俺を掴んで瞬時に逃げる。
俺たちがいた砂浜に向かって爆発するようにブッ込んできたカイザーが、砂煙の中に消えた。
「うわっ!ケホケホっ…」
砂が撒き散らされ、辺りはもうもうと霞んでいく。飛び散った砂が落ちてきて雨のように降ってきて痛い。
「あっ…ぶなかった…」
ラースが翼を広げて俺の頭上に傘のように覆い被さり守ってくれる。その優しさにキュンとなった。
「あーあ、カイザー号。久しぶりにラースに会えるからテンションだだ上がり…」
後ろから低いイケメンボイスがして振り向くとそこには。
金髪に青い瞳、背は高い。黒い甲冑姿のエリアスが笑って立っていた。
衝突前にちゃんとカイザー号から飛び降りていたらしい。
「シン。ただいま」
そう言ったエリアスが軽く指を弾いてピキッと鳴らすと、俺たちの周囲だけに小雨が降り始める。彼の魔法、これくらい序の口だ。舞い散った砂が一気に落ちて空気が澄んできた。
突然、青空の頭上を陰が覆った。驚いて見上げると、一面赤い。
「ただいまシン」
上空で翼をゆっくり動かしてこちらをながめている大きな赤いドラゴンとその背中に乗る黒髪の男性。
「フィリックス…!オリオン号!」
俺は思わず彼らの名前を呼んだ。
「さっき合流したんだ。帰る日が一緒だったなんて偶然だからな」
砂ぼこりも上げず、砂浜にふわりと軽く着々したオリオン号からフィリックスが飛び降りた。
「エリアス、お前は明日帰るんじゃなかったか?」
眉をひそめて怪訝そうにフィリックスがエリアスに尋ねた。
「…お前こそ、明日帰るって言ってただろ?なんで今いるんだ」
「それブーメラン…考えることは同じだったか」
二人がバチバチと目線を合わせた。
「シンを独り占めしたかったんだな二人とも」
隣で冷静に赤いドラゴンのオリオン号が独り言のように呟くと、ラースが青いたてがみと金の角飾りをシャランと揺らして顎を上げた。
「…オリオンはどうなの?」
「勿論、ラースを独り占めしたかった…んだけどな」
オリオン号は砂浜に埋まったままのカイザー号をちらりと見た。
「ぶはっ!」
ざばあっ!と葉でな音を立てて砂から身を起こしたカイザー号に砂をかけられたオリオン号とラースがのけ反った。
「もう!カイザー!砂まみれになったじゃんか」
「お、悪い…じゃあ落とすか」
「へっ?うわ、きゃ!」
カイザーが黒くて大きな翼をばさりと広げ、辺りが陰になる。そして華奢なラースを前足で捕らえると一気に上空へと飛び上がる。まるで拉致のようだった。
「え?うぉい!カイザー?!」
オリオン号が慌てて翼を広げて追いかけていき、三匹は遠くの海上に飛んでいく。
ドボン!と音を立ててカイザーがラースを抱いたままダイブしたのが見えた。あ、ラースの悲鳴が聞こえたような気がする…。
「砂を落とす…ってそういう落とし方か…なるほどな…」
フィリックスが呆然とドラゴン達を見ながら呟く。確かに大胆な落とし方だよな。
不意に俺の体がふわっ、と浮いた。見るとエリアスが俺をお姫様抱っこして走りはじめる、目指すは海だ。
「えっ!エリアスまでぇ!?なんでだ!」
俺は驚いてエリアスにツッコミを入れてしまった。さすがカイザーのマスター、思考回路も同じかよ!?
爆笑しながらエリアスが俺ごと海にダイブした。潜りながら絡まって思い切り激しいキスをする。
しょっぱいキス。
冷たい水と、エリアスの熱い舌の比が濃く感じられてしまって、胸のときめきが増していくんだ。
すると、フィリックスが飛び込んできたのが見えた。ぐんぐんこっちに近づいてくる。ロマンチックな場面かもしれないけど、獲物を追うシャークのように見えたのはなんでかな…。
透明度の高いこの海水の中のずっと向こうにドラゴン3匹が深みで泳いでいる。
ラースの蒼さが海のブルーと合わさって、えもいえない美しさだった。
じゃあ、俺の蒼い髪はここでどう見えてるんだろう?
と、思っていたら、熱のこもった瞳が二人分俺を見つめている。エリアスとフィリックスが俺を見つめて少し赤くなっているのがわかって、胸が高鳴る。
エリアスとフィリックスは俺を浅瀬に引っ張っていき、岩肌に両手をつけさせた。
するすると2人の手に剥ぎとられていく濡れた衣服。
ボトムに手をかけられ、下着ごと降ろされると、窮屈な服のなかから、ぼろんと少し固くなった俺が露になった。晒された空気が涼しい。
一ヶ月ぶりの…そういう雰囲気。エリアスが後ろから俺を握り、軽く扱き始める。
「ぁ…やだ、んっ…」
その声はフィリックスの唇によってすくいとるように塞がれた。
俺たち以外、誰もいないこの島では、裸でいようが全く意に介すことはない、本当のパラダイス。
「慣らしてないのに…」
「魔法でなんとかする?それか普通に慣らす?」
貴重な魔力をえっちに使うのなんてほんと、魔法の無駄打ちだよね。それは本来治療魔法の一種なのに、使い方が微妙だよね。
「そういやハムザご愛用のすぐできる魔法薬っての貰ったんだが、使うか?」
「ハムザぁ?!また?」
元同僚の竜騎士団にいたハムザ。無口で大柄のイケメン男性だった。トゥルキというこれまた同僚の竜騎士団員と恋人同士で、今も騎士団に所属している。時々依頼で会ったり遊んだりいまだに仲はいい。そのハムザはたまにわけのわからない性薬をくれるのだ。これが性能よくて、事故ったことはないから始末に悪い。
「お、使う使う」
エリアスが笑いながらその瓶をフィリックスから受け取り、手のひらに取ると俺の大事な場所に塗り込んでいく。
ちょ…いきなり実験台にされたような気分だよ!
それを塗られるなり俺のが熱を帯びていき、きゅんとエリアスの指を締め付けた。ナカがとろけるような…そんな心地よさに息使いが次第に荒くなる。
「はっ…!これ、だめぇ…すごぃ。絶対、前には塗らないでぇ…」
「え、うそ、媚薬入りかこれ…じゃあここに俺が入ったらどうなるんだよ…?」
性器にも利くとなるとエリアスが少し慌てる。
「いけエリアス、シンだけにそんな思いさせられないだろ」
「おい、フィリックスが貰ってきたやつだろ?…わかった、シンいくぜ」
もう!媚薬とかバカみたいじゃんこの3人!とか言ってる間に俺の熱がどんどんと上がって止まらなくなった。
「あっ…早く…もぅ、熱いの…入れてっ…」
「うーわ、誘われた。超レアなシン…」
エリアスが笑いながら俺の腰を掴み、穴にあてがい一気にズン、と挿入してきた。擦りあげられる快感に小刻みに痙攣をしてしまい岩肌を掴んで身を固くする。
「ああぁっ…ぁっ、ん…!」
「爪が傷む、俺を掴んどけ」
フィリックスが俺の手をとって正面に廻りこんでキスをした。
ちゅっ、ちゅ、と何度もキスをする。フィリックスは固く大きな自身を握って俺のものと合わせた。
「両方はだめ…あぁっ!」
後ろからエリアスにガンガンと速さを増して突かれたり引いたりを繰り返されるこの愛の行為の揺れとが、フィリックスからの前からの刺激と合わさってめちゃくちゃ気持ちいい。
「っく…これ、効く…やば…っ!」
エリアスが眉間を険しくして熱い息をついた。
媚薬成分がエリアスにも効いているんだ。
この二人に初めての時からずっと体を開発されまくっている俺は、狂わんばかりの快楽の波に叩き込まれた。
でも慣れることはないこの快楽。いつも少しの刺激でもっと感じやすくなってしまっている。その指が、唇が、俺を狂わせていくんだ。
「ああぁ、ぁ…っ、エリアス、フィリッ…クスぅ、だめ、も、出した…ぃ。我慢できないぃ」
はくはくしながら俺は二人に哀願した。
「だめ、我慢。もうちょっと。」
エリアスが口許をほころばせて意地悪を言う。
「一緒に…シンと…エリアスも…」
フィリックスが切なげに俺を見て囁いた。
エリアスが、俺のなかで一層質量を増した。
彼の絶頂が近いのはわかる。フィリックスもだ。
たまに喘ぎの入った彼の息づかいが悩ましく、扱きのスピードが増していく。次第に波のように押し寄せる快感の嵐がピークに達した。
「あっ、ぁ!んーーーー!」
ビクビクと体を痙攣させながら俺は絶頂に一気に突き上げられた。
白い液体がフィリックスめがけて飛び出す。ほぼ同時にフィリックスも果てて俺におなじものをかけた。エリアスはぶるっと肩を震わせ、歯を食い縛りながら俺の中に熱い愛を注ぎ込んでくる。
「あ…はぁ、はぁ…」
三人とも激しい息をつきながらしばらく快感の余韻に浸り、汗ばむ体を抱きしめ合った。
そのあとエリアスとフィリックスが交代する。どっちにしても俺は挟まれたまんま、彼らに愛され続けてる。二人の情熱と限りなく注がれる愛情をいっぱい受けて、これ以上ない幸せに浸るんだ。
ぱかっ、と目が覚めた。
波の音が優しい。見ると砂浜で俺は仰向けに横たわっている。
その隣にはうつ伏せになり、俺を見ているエリアスと、座って俺を見下ろすフィリックスの優しい眼差しがあった。
遠くの海上にはカイザー、オリオン、ラースの三匹がまだ戯れている。
あれ、あの激しいセックスは俺の妄想?夢?
もしかして一ヶ月会えなかった俺はものすごいえっちの妄想したのかな?
「え、俺…昼寝した…?お、おかえりなさい…いつ戻ってきたの?」
夢ならば、仕事から帰ってきた二人とは現実には今が一ヶ月ぶりになる。どこからが現実でどこから夢だったのだろう?
あ、ラースと取った黒真珠と珊瑚!
あわてて服から出そうと体をまさぐってみたら。
すっぽんぽんだ…。見ると、エリアスとフィリックスもまっ裸でビーチに寝転んでいる。
「夢…じゃなかった、の?」
あれ?俺は自分の後ろの穴を確認してみると、少し粘っこいものが感じられる。穴も柔らかくて…。
え、俺、まさかやっぱり意識トンでたのか…二人に愛され過ぎた激しすぎる快楽と愛撫、喘ぎで喉がカラカラだ。
そっか、あまりにも気持ちよすぎて気絶したのか…。
あのえっちを思い出すとキュン、と胸が疼く。
「ふふ、夢のわけないだろ、シンは可愛かったぜ」
エリアスがふふっと笑う。
「ああ。一ヶ月ぶりなんだ、あれしきで足りる筈はないからな。…今夜は覚悟しろよ」
フィリックスが爽やかな笑顔でどギツイことを言ってのけた。
「えっ!」
「当たり前だろう?一ヶ月どれだけ、寂しかったか…さっきのはただいまの挨拶だぜシン」
おののく俺にエリアスか当然のようにけろっと言った。
ただいまの挨拶で気絶させんのかい!なら今夜はどうなるんだ俺ぇ…。
俺は空を仰ぎ見た。
太陽は眩しく輝く。三匹のドラゴンを照らして、海も照らされて青く光り輝いた。
ここは俺たちだけのパラダイス。
幸せな、カップルだけのパラダイスだ。
黒真珠と珊瑚はちゃんとラースが持っていた。
それは、また後日までのお楽しみ。
終わり。
本編は10月下旬より第2章がはじまります。
読んで頂き、ありがとうございました。
あいえだけい。
俺たちはもう、この島でフリーランスのトレジャーハンターをして一年たつ。
たまに、以前仕えていた国王陛下のお呼びで騎士のバイトに行ったり、自由を謳歌している。
エリアス、フィリックスは腕も立つし何しろ強いので色んな現場に引っ張りだこだ。
相棒のドラゴン、黒いカイザー号と赤のオリオン号は人間に従うドラゴンの中では群を抜いて強い。それだけでも有名なのに、エリアスとフィリックスは魔力も戦力も莫大だ。
今までいくつもの国がこの二人を欲しくて大金を積み、スカウトをするけれど、すべて断っているんだ。
その理由はというと。
俺がいるからだ。
俺といつもイチャイチャしたいこの二人は自由に時間が取れるこの仕事が気に入っている。
金はうなるほどあるこの二人。世界的なトレジャーハンターの一族、エリアス。
世界的ホテル王の息子、フィリックス。
何で竜騎士なんてやってたんだと言うと、…生まれつきドラゴンを従えていた運命の子だから。
俺という存在を守るため、竜騎士という運命を持って生まれてきた二人…らしいのだけど、そこらへんは俺にはよくわかんない。
俺は異世界の番人、神の下僕と呼ばれる稀少な部族、ドラゴン族の父ちゃんと人間の母ちゃんの子として生まれた。ハーフドラゴンはドラゴン族には忌み嫌われ、俺は辺境でひっそり育ったんだ。
でも、俺にもかけがえのないドラゴンが側にいた。
親を知らず、ラースという小さな蒼く美しいドラゴンと田舎で兄弟のように育ってきたんだ。
ある時竜騎士にスカウトされて王宮に就職、ドラゴンを操るエリート、竜騎士団長のエリアスとフィリックスに出会えた。
そして二人に…猛烈に愛されてる。
色々あって竜騎士を引退し、この無人島に住んでいるんだけれども。
そしてラースもカイザー号とオリオン号に…。
全員、男なんだけどね!
「ラース、今日は天気がいいし、ちょっと泳ぎたいなぁ。海行かない?」
「うん、僕もちょっと海に用があるんだ。シンに見せたいものがあるの」
「…?」
「行ってのお楽しみだよ」
何かラースが隠してるけれど、一緒に行けるならいいや、俺たちは兄弟の感覚だからお互いのプライベートは尊重してる。深くは聞かない。
ラースの背中に乗り、高い崖から滑空したかと思うと、ふとラースが翼を畳む。
すると孕む風がない俺たちは頭から一気に落ちていく。
海面が迫り、一瞬で景色が海の中になった。
上を見ると海面の天井がキラキラと太陽の光を受けて輝いている。
ラースに乗って海底を目指す。
たくさんの魚がすれ違ったり逃げたり。
ラースは腕と翼、尾をはためかせてまるで飛ぶように泳ぐんだ。
「…シン、もう少し潜っててもいい?」
「うん」
水圧や呼吸は魔法でなんとかなっている。元々ドラゴン族の血が半分流れている俺は体力はないが魔力はあったらしい。魔法も昔よりかなり上達した。
そして着いた場所とは。
「えっ…」
俺は目を疑った。
それはそれは立派な珊瑚。これは赤い見事なものが取れる。
「…これ…?珊瑚…」
知らなかった。こんなところにこんな立派なものがあったとは。
「ふふ。これどうかなと思って」
ラースが悪戯っぽく笑う。
そうか。二人で考えてたんだっけ。
「いいね、素敵だ」
俺は見事なその枝を少し頂戴した。
そしてまたスピードを上げてぐんぐんと進んでいく。途中で海流に乗れたラースの速度がかなり速くなる。
大きな魚や鮫と行き交い、地上とは全く違う景色が神秘的でいつも見惚れてしまう。俺の髪やラースの蒼が海水に溶け込んでいくような、そんな不思議な感覚に浸ってしまう素敵な時間だ。
しばらくすると海流からラースが外れ、ある場所に着いた。
貝がたくさん生息しているそこに、ひときわ美しい大きな貝がある。俺はラースから降りてその貝を手に取り、小刀でこじあけるとそれはパカンと開く。
そこには大粒の黒真珠があった。
ラースと目を合わせて微笑んだ俺はそれを胸に抱くとまた彼の背中に戻って島へと戻った。
岸に上がり、冷えた体をラースと寝転んで砂浜で温めていると、空の遠くから黒い点が見え、みるみると大きくなっていく。
ええー…。どんなスピードで飛んでんの…?
大きな翼を広げ、みるみると拡大されるように向かって来るのはカイザー号。
彼は黒い大きな逞しいドラゴンで、左右に三本ずつある立派な角が銀色の角飾りに輝く。
おい、まだスピード落としてない!
ちょちょちょ!!ぶつかられたら間違いなく俺たち死ぬから!
俺とラース目掛けてぶっ飛んでくるイカれたドラゴンカイザーを、ラースが俺を掴んで瞬時に逃げる。
俺たちがいた砂浜に向かって爆発するようにブッ込んできたカイザーが、砂煙の中に消えた。
「うわっ!ケホケホっ…」
砂が撒き散らされ、辺りはもうもうと霞んでいく。飛び散った砂が落ちてきて雨のように降ってきて痛い。
「あっ…ぶなかった…」
ラースが翼を広げて俺の頭上に傘のように覆い被さり守ってくれる。その優しさにキュンとなった。
「あーあ、カイザー号。久しぶりにラースに会えるからテンションだだ上がり…」
後ろから低いイケメンボイスがして振り向くとそこには。
金髪に青い瞳、背は高い。黒い甲冑姿のエリアスが笑って立っていた。
衝突前にちゃんとカイザー号から飛び降りていたらしい。
「シン。ただいま」
そう言ったエリアスが軽く指を弾いてピキッと鳴らすと、俺たちの周囲だけに小雨が降り始める。彼の魔法、これくらい序の口だ。舞い散った砂が一気に落ちて空気が澄んできた。
突然、青空の頭上を陰が覆った。驚いて見上げると、一面赤い。
「ただいまシン」
上空で翼をゆっくり動かしてこちらをながめている大きな赤いドラゴンとその背中に乗る黒髪の男性。
「フィリックス…!オリオン号!」
俺は思わず彼らの名前を呼んだ。
「さっき合流したんだ。帰る日が一緒だったなんて偶然だからな」
砂ぼこりも上げず、砂浜にふわりと軽く着々したオリオン号からフィリックスが飛び降りた。
「エリアス、お前は明日帰るんじゃなかったか?」
眉をひそめて怪訝そうにフィリックスがエリアスに尋ねた。
「…お前こそ、明日帰るって言ってただろ?なんで今いるんだ」
「それブーメラン…考えることは同じだったか」
二人がバチバチと目線を合わせた。
「シンを独り占めしたかったんだな二人とも」
隣で冷静に赤いドラゴンのオリオン号が独り言のように呟くと、ラースが青いたてがみと金の角飾りをシャランと揺らして顎を上げた。
「…オリオンはどうなの?」
「勿論、ラースを独り占めしたかった…んだけどな」
オリオン号は砂浜に埋まったままのカイザー号をちらりと見た。
「ぶはっ!」
ざばあっ!と葉でな音を立てて砂から身を起こしたカイザー号に砂をかけられたオリオン号とラースがのけ反った。
「もう!カイザー!砂まみれになったじゃんか」
「お、悪い…じゃあ落とすか」
「へっ?うわ、きゃ!」
カイザーが黒くて大きな翼をばさりと広げ、辺りが陰になる。そして華奢なラースを前足で捕らえると一気に上空へと飛び上がる。まるで拉致のようだった。
「え?うぉい!カイザー?!」
オリオン号が慌てて翼を広げて追いかけていき、三匹は遠くの海上に飛んでいく。
ドボン!と音を立ててカイザーがラースを抱いたままダイブしたのが見えた。あ、ラースの悲鳴が聞こえたような気がする…。
「砂を落とす…ってそういう落とし方か…なるほどな…」
フィリックスが呆然とドラゴン達を見ながら呟く。確かに大胆な落とし方だよな。
不意に俺の体がふわっ、と浮いた。見るとエリアスが俺をお姫様抱っこして走りはじめる、目指すは海だ。
「えっ!エリアスまでぇ!?なんでだ!」
俺は驚いてエリアスにツッコミを入れてしまった。さすがカイザーのマスター、思考回路も同じかよ!?
爆笑しながらエリアスが俺ごと海にダイブした。潜りながら絡まって思い切り激しいキスをする。
しょっぱいキス。
冷たい水と、エリアスの熱い舌の比が濃く感じられてしまって、胸のときめきが増していくんだ。
すると、フィリックスが飛び込んできたのが見えた。ぐんぐんこっちに近づいてくる。ロマンチックな場面かもしれないけど、獲物を追うシャークのように見えたのはなんでかな…。
透明度の高いこの海水の中のずっと向こうにドラゴン3匹が深みで泳いでいる。
ラースの蒼さが海のブルーと合わさって、えもいえない美しさだった。
じゃあ、俺の蒼い髪はここでどう見えてるんだろう?
と、思っていたら、熱のこもった瞳が二人分俺を見つめている。エリアスとフィリックスが俺を見つめて少し赤くなっているのがわかって、胸が高鳴る。
エリアスとフィリックスは俺を浅瀬に引っ張っていき、岩肌に両手をつけさせた。
するすると2人の手に剥ぎとられていく濡れた衣服。
ボトムに手をかけられ、下着ごと降ろされると、窮屈な服のなかから、ぼろんと少し固くなった俺が露になった。晒された空気が涼しい。
一ヶ月ぶりの…そういう雰囲気。エリアスが後ろから俺を握り、軽く扱き始める。
「ぁ…やだ、んっ…」
その声はフィリックスの唇によってすくいとるように塞がれた。
俺たち以外、誰もいないこの島では、裸でいようが全く意に介すことはない、本当のパラダイス。
「慣らしてないのに…」
「魔法でなんとかする?それか普通に慣らす?」
貴重な魔力をえっちに使うのなんてほんと、魔法の無駄打ちだよね。それは本来治療魔法の一種なのに、使い方が微妙だよね。
「そういやハムザご愛用のすぐできる魔法薬っての貰ったんだが、使うか?」
「ハムザぁ?!また?」
元同僚の竜騎士団にいたハムザ。無口で大柄のイケメン男性だった。トゥルキというこれまた同僚の竜騎士団員と恋人同士で、今も騎士団に所属している。時々依頼で会ったり遊んだりいまだに仲はいい。そのハムザはたまにわけのわからない性薬をくれるのだ。これが性能よくて、事故ったことはないから始末に悪い。
「お、使う使う」
エリアスが笑いながらその瓶をフィリックスから受け取り、手のひらに取ると俺の大事な場所に塗り込んでいく。
ちょ…いきなり実験台にされたような気分だよ!
それを塗られるなり俺のが熱を帯びていき、きゅんとエリアスの指を締め付けた。ナカがとろけるような…そんな心地よさに息使いが次第に荒くなる。
「はっ…!これ、だめぇ…すごぃ。絶対、前には塗らないでぇ…」
「え、うそ、媚薬入りかこれ…じゃあここに俺が入ったらどうなるんだよ…?」
性器にも利くとなるとエリアスが少し慌てる。
「いけエリアス、シンだけにそんな思いさせられないだろ」
「おい、フィリックスが貰ってきたやつだろ?…わかった、シンいくぜ」
もう!媚薬とかバカみたいじゃんこの3人!とか言ってる間に俺の熱がどんどんと上がって止まらなくなった。
「あっ…早く…もぅ、熱いの…入れてっ…」
「うーわ、誘われた。超レアなシン…」
エリアスが笑いながら俺の腰を掴み、穴にあてがい一気にズン、と挿入してきた。擦りあげられる快感に小刻みに痙攣をしてしまい岩肌を掴んで身を固くする。
「ああぁっ…ぁっ、ん…!」
「爪が傷む、俺を掴んどけ」
フィリックスが俺の手をとって正面に廻りこんでキスをした。
ちゅっ、ちゅ、と何度もキスをする。フィリックスは固く大きな自身を握って俺のものと合わせた。
「両方はだめ…あぁっ!」
後ろからエリアスにガンガンと速さを増して突かれたり引いたりを繰り返されるこの愛の行為の揺れとが、フィリックスからの前からの刺激と合わさってめちゃくちゃ気持ちいい。
「っく…これ、効く…やば…っ!」
エリアスが眉間を険しくして熱い息をついた。
媚薬成分がエリアスにも効いているんだ。
この二人に初めての時からずっと体を開発されまくっている俺は、狂わんばかりの快楽の波に叩き込まれた。
でも慣れることはないこの快楽。いつも少しの刺激でもっと感じやすくなってしまっている。その指が、唇が、俺を狂わせていくんだ。
「ああぁ、ぁ…っ、エリアス、フィリッ…クスぅ、だめ、も、出した…ぃ。我慢できないぃ」
はくはくしながら俺は二人に哀願した。
「だめ、我慢。もうちょっと。」
エリアスが口許をほころばせて意地悪を言う。
「一緒に…シンと…エリアスも…」
フィリックスが切なげに俺を見て囁いた。
エリアスが、俺のなかで一層質量を増した。
彼の絶頂が近いのはわかる。フィリックスもだ。
たまに喘ぎの入った彼の息づかいが悩ましく、扱きのスピードが増していく。次第に波のように押し寄せる快感の嵐がピークに達した。
「あっ、ぁ!んーーーー!」
ビクビクと体を痙攣させながら俺は絶頂に一気に突き上げられた。
白い液体がフィリックスめがけて飛び出す。ほぼ同時にフィリックスも果てて俺におなじものをかけた。エリアスはぶるっと肩を震わせ、歯を食い縛りながら俺の中に熱い愛を注ぎ込んでくる。
「あ…はぁ、はぁ…」
三人とも激しい息をつきながらしばらく快感の余韻に浸り、汗ばむ体を抱きしめ合った。
そのあとエリアスとフィリックスが交代する。どっちにしても俺は挟まれたまんま、彼らに愛され続けてる。二人の情熱と限りなく注がれる愛情をいっぱい受けて、これ以上ない幸せに浸るんだ。
ぱかっ、と目が覚めた。
波の音が優しい。見ると砂浜で俺は仰向けに横たわっている。
その隣にはうつ伏せになり、俺を見ているエリアスと、座って俺を見下ろすフィリックスの優しい眼差しがあった。
遠くの海上にはカイザー、オリオン、ラースの三匹がまだ戯れている。
あれ、あの激しいセックスは俺の妄想?夢?
もしかして一ヶ月会えなかった俺はものすごいえっちの妄想したのかな?
「え、俺…昼寝した…?お、おかえりなさい…いつ戻ってきたの?」
夢ならば、仕事から帰ってきた二人とは現実には今が一ヶ月ぶりになる。どこからが現実でどこから夢だったのだろう?
あ、ラースと取った黒真珠と珊瑚!
あわてて服から出そうと体をまさぐってみたら。
すっぽんぽんだ…。見ると、エリアスとフィリックスもまっ裸でビーチに寝転んでいる。
「夢…じゃなかった、の?」
あれ?俺は自分の後ろの穴を確認してみると、少し粘っこいものが感じられる。穴も柔らかくて…。
え、俺、まさかやっぱり意識トンでたのか…二人に愛され過ぎた激しすぎる快楽と愛撫、喘ぎで喉がカラカラだ。
そっか、あまりにも気持ちよすぎて気絶したのか…。
あのえっちを思い出すとキュン、と胸が疼く。
「ふふ、夢のわけないだろ、シンは可愛かったぜ」
エリアスがふふっと笑う。
「ああ。一ヶ月ぶりなんだ、あれしきで足りる筈はないからな。…今夜は覚悟しろよ」
フィリックスが爽やかな笑顔でどギツイことを言ってのけた。
「えっ!」
「当たり前だろう?一ヶ月どれだけ、寂しかったか…さっきのはただいまの挨拶だぜシン」
おののく俺にエリアスか当然のようにけろっと言った。
ただいまの挨拶で気絶させんのかい!なら今夜はどうなるんだ俺ぇ…。
俺は空を仰ぎ見た。
太陽は眩しく輝く。三匹のドラゴンを照らして、海も照らされて青く光り輝いた。
ここは俺たちだけのパラダイス。
幸せな、カップルだけのパラダイスだ。
黒真珠と珊瑚はちゃんとラースが持っていた。
それは、また後日までのお楽しみ。
終わり。
本編は10月下旬より第2章がはじまります。
読んで頂き、ありがとうございました。
あいえだけい。
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