異世界に転生したら竜騎士たちに愛されました

あいえだ

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異国での決意

願いは一つ

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「何故わかった?シンの魔力を抑えてたことを」

長老が鋭い目付きでエリアスを見た。

「歴代の伝説のドラゴンが魔道具に変わって王宮にあるのは魔術師ならば知ってるよな?全部のドラゴンではないが」
「ああ、伝説のドラゴンはほとんど伝説の竜騎士と共に死んでるからな。生き残ったのはガラ、ルーカス…そしてあろうことか竜騎士を食ったディモンだろう。…イケメンさんにはディモンの匂いがするが」

長老がエリアスの表情を伺うように尋ねた。

「ああ、俺の中に取り込んで服従させてる。いつは俺の精気を食って生きてるからな。そのかわり莫大な魔力を提供させている」

エリアスの返答に長老とジジイがどよめく。

「なんと…ディモンを屈服させるとは…!で、話しは戻るがシンの魔力は…」
「ルーカスとガラはシンを主と認めてる。…それはずっと不思議だったんだが、シンがハーフドラゴンだという事で合点がいった。それに莫大な魔力を有していないとあいつらは認めない。おそらくそれを嗅ぎとってるから従うんだって思ったので。竜騎士のドラゴンはマスターの魔力を無意識に糧にして生きてるからな」

えっ…?俺とラースは顔を見合わせた。

「シンの魔力を解放すればついでにラースも強くなる、これから魔族に狙われる人生だ…自衛のためにも…頼む」

エリアスとフィリックスが長老に軽く頭を下げた。 

「ふーむ…どうしよっかなー」

長老が腕を組んでエリアスとフィリックスを見つめた。

えっ?そこ考えるとこ?俺の人生命がけなんだけど?

「あのな…イケメンさんお二人」

長老が二人に話しかけた。

「ものすごーく多く語ってもらったし、よくわかった。シンの力は確かに封じてる…。だけどこの力は魔族に嗅ぎ付けられて余計にこの子を危険に晒すことにもなりうるぞ」

え、マジか…魔族ホイホイになっちゃうのか俺…。

「俺たちが全力で守る、3人で戦う」
「一生…そばにいる」

エリアスとフィリックスが真剣な表情で長老に答えた。二人ともの覚悟に俺は胸がいっぱいになる。

「俺だって…ラースを守る、支える」

すぐ向こうで声がした。カイザー号だ。

「そうだ、ラースを一生かけて…側にいたい」

オリオン号もラースの角にキスをしながらそう言っているのが聞こえた。

「一生…か。弱くともシンに細く長く生きて欲しいと思ってのことだったけど…。竜騎士になってさっさと引退すれば肩書きがついて後の就職いくらでもできたのになー…で、細々とインストラクターでもやって生きてくれたら安泰とか計画立ててたのにな」

このジジイ、現実的だった…。

「まあ、そこのイケメンさんに尋ねたい。シンのためっぽく言ってるが、ぶっちゃけどうなの?」

ぶっちゃけどうなの?長老がエリアスとフィリックスに投げた質問に俺は首を傾げる。聞かれてる意味がわかんない…。

エリアスとフィリックスが数秒黙った。質問の真意をはかりかねてるのかな?

エリアスがフィリックスをちらりと見た。フィリックスも軽く頷く。え?この二人、なんかわかったの?あの質問で?

するとエリアスが長老に向き直って大きな声ではっきり言った。

「お孫さんを俺にください」

「シンがいないと俺たちダメなんです、一生かけて幸せにします」

フィリックスが続ける。


は?なんだこのシチュエーション…?

俺、もしかして嫁にいく的な流れに巻き込まれてるの?口をパクパクしてエリアスとフィリックスを見ると、エリアスが真顔で俺に親指を立てた。

いやいや、やったぜ的な顔してんじゃねえわ…。

ジジイどもがわあっと俺に駆け寄った。

「シン、おめでとう!」
「やったなシン!幸せになるんだぞ!」

んんん?俺はジジイたちに抱きつかれたまますがるような目で長老を見た。

「シン、幸せになれよ」

長老が俺に親指を立てた。



俺の結婚が決定した瞬間だった。



この国は同性結婚が可能だ。国はもう存在を失い、自由恋愛がまかり通っている。3人で結婚することもおそらく自由だろう。




その日の夜、辺境の小さな会館で俺たちは村のみんなに祝福されて結婚式を挙げた。勿論なんの準備もしていないから3人とも特に衣服もそのままだ。長老が司祭となり、俺の式を執り行った。

ただ、エリアスとフィリックスは違った。

俺の左手の薬指に一つずつ、自分とお揃いの指輪を用意していたのだ。これには驚いた。はなから結婚の約束をするつもりで長老に許可をもらいに来たのだと話してくれた。

エリアスは金の指輪を。
フィリックスはプラチナの指輪をそれぞれ俺にはめる。

俺の指には二つの指輪が輝きを放っていた。


エリアスとフィリックスが俺を見つめて幸せそうに微笑む。俺の胸にもたくさんの幸せが溢れてきて、包まれるような安心感といとおしい気持ちでいっぱいになった。二人と誓いのキスを交わし、生涯の約束をした。

これからも、ずっと一緒だ。もう二度と離れない。

「二人にもらわれるとは思っていなかったが、まあ、愛されて生きろシン。娘のぶんまで幸せになれ」

式のあとのささやかな宴会の途中、ふと、長老が俺の頬を撫でてそう言った。

「あのさ…」
「ん?なんだシン?」
「俺の母ちゃんってほんとにヤンキーだったの?」
「あんな跳ねっ返り見たことなかったくらいだ。婿はきっと物好きだったんだな…美しかったが中身は豪快だったぞ」
「そっか…父ちゃんに会ったよ、王様になってたんだ、ドラゴン族が何人も味方についてくれて、俺を守ってくれてる…」

長老がとても驚いた表情で俺を見た。

「幸せになれ、シン…」

目を細め、俺を愛おしげに母ちゃん譲りの青い髪を撫でた。

「ありがとう…じいちゃん…」

俺は目を閉じて長老に抱きついた。















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