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異国での決意
異次元の狭間にて
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ジュールがエリアスとフィリックスの前で俺の肩を抱く。
エリアスがつかつかとこちらに近づくと、俺の腕を取ってジュールから奪い取るように引き寄せた。
ドッ、とエリアスの胸にぶつかるようなくらいの勢いで飛び込まされる。エリアスの香りと強い力で腕に抱き締められた。
数秒俺を抱き締めて髪に頬擦りをしたあと、エリアスはジュールに向き直った。
「覚悟はもとよりできてる。俺がシンに伝えられなかったことは…俺が悪い、ごめん…」
逃げたのは俺なのに、エリアスは謝らなくてもいい。
その瞬間、何故かぐるりと景色が一転した。
えっ…!なに、これ…?見たこともない、何もない真っ白な空間だけが広がっている。
「ここは、異世界の狭間…お前達のいる世界とは隣り合わせにある、まあ、路地みたいなんもんだ。ここならどれだけ暴れようが誰にも見えないし被害もない。…俺が言いたいことはわかるか?」
ジュールが不敵に笑う。エリアスとフィリックスも口角を上げてジュールを見た。
「シンを守る力量を試させてもらう。白銀王の息子を預けられるにふさわしいかどうか…任せられるかこの緑のドラゴンジュールが直々に相手をしてやろう…」
ジュールの体が緑色に光りはじめ、そのオーラの魔力に俺は鳥肌が立った。
…すごい。ドラゴン族のオスカーよりも遥かに越えた凄絶なオーラに俺はビリビリとした空気を感じる。
ジュールはエリアスとフィリックスを試そうというわけなんだな…。俺のためにそんなことまで。
俺は、きっとすごく幸せなんだろうな。
すると真っ白な遠くのほうから点が二つ見え、それがだんだんと近づいてきた。
赤いドラゴンと黒いドラゴン!カイザー号とオリオン号…?違う!彼らより一回り小さいけれど、もっと強そうな、輝く鱗に包まれた立派なドラゴンだった。もしかしてドラゴン族…?
と思ったら着地するなりそのドラゴンが人間の姿になる。黒髪の綺麗な男性と、赤いワイルドイケメン。赤いドラゴンは前に父ちゃんと一緒にいた奴だったからシーザーか。この2人はドラゴン族だ…。
「ここの異次元にジュールの気配を感じたから来てみれば…シン、そいつらは?」
赤いドラゴンシーザーがエリアスに抱き締められてる俺に尋ねる。
「ドラゴン族が3人も…これはすごいところに呼ばれましたねエリアス…」
「ああ、ゾクゾクするなフィリックス…だけどシンは俺たちに返してもらう」
フィリックスがエリアスに笑いかけ、エリアスもシーザーを睨みながら笑った。
「へえ、白銀王の息子かぁ~俺は黒いドラゴンユウキだよ、よろしくね、白銀王には似てないね、ママ似かな?それはよかったねー!」
黒いドラゴンユウキが俺に自己紹介して屈託のない笑顔でそう言う。なかなかくだけた優しそうな青年だった。
「あぁそれは同感。白銀王に似たら、くそ真面目でいっつも難しい顔だもんな、眉間に皺が刻まれちまうわ」
赤いドラゴンシーザーが辟易した表情で賛同した。真面目なのか父ちゃん…確かに前はずっと真顔だったな。
「くそ真面目なの?父ちゃん…?」
俺はついシーザーに尋ねてしまった。シーザーばかりでなくドラゴン族3人ともうんうんと頷いている。
「まあ、真面目だよな…ずっと亡くなった嫁さん一筋なとことか!」
シーザーがケラケラ笑うとジュールが苦々しく彼を睨み付けた。
「それはお前だけだろう?お前は心と下半身は別物だから。俺たちと一緒にするな」
「え?!失礼な!俺にも恋人くらいいるわ!」
「世界中に何人いるんだかな…」
「うるせぇジュール!俺の有り余る力を撒いておかないと本命が潰れるんだから仕方ないだろ!?」
「有り余る力?それを言うなら有り余る性欲だろ」
「恋人のリヒトは転生してもいっつも虚弱なんだから仕方ないだろうが!俺のスーパー聖剣に会わせると熱出すんだよ!」
「シーザーが抱き潰すからだろ…」
シーザーの恋人は虚弱なのか…。
シーザーとジュールが口論になりはじめ、黒いドラゴンユウキはサラサラした黒髪をかきあげてため息をついた。
「ごめんね、いつもああなんだ、仲良しでしょ?あのねシン、恋人と一緒にいられるならずっと離れないほうがいいよ、俺たちは人間大好きマンだから、その有難さを知ってるの。経験者の話は聞いたほうがいいよー。それにシンの恋人さん」
ユウキはエリアスとフィリックスを指差して笑いながら続ける。目だけが笑ってない…。
「彼を守るのはこれから並の力じゃ難しい。魔族はさして悪いものばかりじゃないけれど、ハーフドラゴンを食うと力が出るなんてただの都市伝説なのに、それを信じてる輩がまだまだ多くてね、今後大丈夫?」
ユウキがエリアスとフィリックスに尋ねるその目は挑戦的にギラっとしていた。
「じゃあ、見せてもらおうかその力…」
ジュール、シーザー、ユウキの3人がエリアスとフィリックスの前に立ってそれぞれの色のオーラに包まれた。
「こりゃ、光栄なことで…シン、見ててくれるか?」
エリアスが俺の頬を撫でて笑う。俺は胸がキュンとなってしまってぶんぶんと首を振った。
「シン…!?」
エリアスとフィリックスが目を丸くする。俺はジュール達の方に向き直ると3人の前に立って告げた。
「ジュール、俺の力も見て!俺は…この2人に守られてばっかりの自分が嫌で離れたの!俺は迷惑になりたくない、足を引っ張ってるんじゃないかって思ってたんだ、でも、俺ももっともっと強くなりたい、強くなって、守られてばっかりでなくって、一緒に並んで生きていけるようになりたいの!だから勉強して魔力も身につけた…だから」
俺の話にシーザーがニヤリと笑う。
「ほーお?なかなか良いこと言うねぇ、さすが白銀王の息子、真面目が遺伝したか…」
「こらシーザー白銀王に怒られるから!じゃあ、シンも混じって3対3でいこうか」
黒いドラゴンユウキがにっこり笑って俺に話しかけた。
「では…見せてもらおうか…」
ジュールがそう言い、彼の目が、シーザーの、ユウキの目が一瞬にして赤く光った。
エリアスがつかつかとこちらに近づくと、俺の腕を取ってジュールから奪い取るように引き寄せた。
ドッ、とエリアスの胸にぶつかるようなくらいの勢いで飛び込まされる。エリアスの香りと強い力で腕に抱き締められた。
数秒俺を抱き締めて髪に頬擦りをしたあと、エリアスはジュールに向き直った。
「覚悟はもとよりできてる。俺がシンに伝えられなかったことは…俺が悪い、ごめん…」
逃げたのは俺なのに、エリアスは謝らなくてもいい。
その瞬間、何故かぐるりと景色が一転した。
えっ…!なに、これ…?見たこともない、何もない真っ白な空間だけが広がっている。
「ここは、異世界の狭間…お前達のいる世界とは隣り合わせにある、まあ、路地みたいなんもんだ。ここならどれだけ暴れようが誰にも見えないし被害もない。…俺が言いたいことはわかるか?」
ジュールが不敵に笑う。エリアスとフィリックスも口角を上げてジュールを見た。
「シンを守る力量を試させてもらう。白銀王の息子を預けられるにふさわしいかどうか…任せられるかこの緑のドラゴンジュールが直々に相手をしてやろう…」
ジュールの体が緑色に光りはじめ、そのオーラの魔力に俺は鳥肌が立った。
…すごい。ドラゴン族のオスカーよりも遥かに越えた凄絶なオーラに俺はビリビリとした空気を感じる。
ジュールはエリアスとフィリックスを試そうというわけなんだな…。俺のためにそんなことまで。
俺は、きっとすごく幸せなんだろうな。
すると真っ白な遠くのほうから点が二つ見え、それがだんだんと近づいてきた。
赤いドラゴンと黒いドラゴン!カイザー号とオリオン号…?違う!彼らより一回り小さいけれど、もっと強そうな、輝く鱗に包まれた立派なドラゴンだった。もしかしてドラゴン族…?
と思ったら着地するなりそのドラゴンが人間の姿になる。黒髪の綺麗な男性と、赤いワイルドイケメン。赤いドラゴンは前に父ちゃんと一緒にいた奴だったからシーザーか。この2人はドラゴン族だ…。
「ここの異次元にジュールの気配を感じたから来てみれば…シン、そいつらは?」
赤いドラゴンシーザーがエリアスに抱き締められてる俺に尋ねる。
「ドラゴン族が3人も…これはすごいところに呼ばれましたねエリアス…」
「ああ、ゾクゾクするなフィリックス…だけどシンは俺たちに返してもらう」
フィリックスがエリアスに笑いかけ、エリアスもシーザーを睨みながら笑った。
「へえ、白銀王の息子かぁ~俺は黒いドラゴンユウキだよ、よろしくね、白銀王には似てないね、ママ似かな?それはよかったねー!」
黒いドラゴンユウキが俺に自己紹介して屈託のない笑顔でそう言う。なかなかくだけた優しそうな青年だった。
「あぁそれは同感。白銀王に似たら、くそ真面目でいっつも難しい顔だもんな、眉間に皺が刻まれちまうわ」
赤いドラゴンシーザーが辟易した表情で賛同した。真面目なのか父ちゃん…確かに前はずっと真顔だったな。
「くそ真面目なの?父ちゃん…?」
俺はついシーザーに尋ねてしまった。シーザーばかりでなくドラゴン族3人ともうんうんと頷いている。
「まあ、真面目だよな…ずっと亡くなった嫁さん一筋なとことか!」
シーザーがケラケラ笑うとジュールが苦々しく彼を睨み付けた。
「それはお前だけだろう?お前は心と下半身は別物だから。俺たちと一緒にするな」
「え?!失礼な!俺にも恋人くらいいるわ!」
「世界中に何人いるんだかな…」
「うるせぇジュール!俺の有り余る力を撒いておかないと本命が潰れるんだから仕方ないだろ!?」
「有り余る力?それを言うなら有り余る性欲だろ」
「恋人のリヒトは転生してもいっつも虚弱なんだから仕方ないだろうが!俺のスーパー聖剣に会わせると熱出すんだよ!」
「シーザーが抱き潰すからだろ…」
シーザーの恋人は虚弱なのか…。
シーザーとジュールが口論になりはじめ、黒いドラゴンユウキはサラサラした黒髪をかきあげてため息をついた。
「ごめんね、いつもああなんだ、仲良しでしょ?あのねシン、恋人と一緒にいられるならずっと離れないほうがいいよ、俺たちは人間大好きマンだから、その有難さを知ってるの。経験者の話は聞いたほうがいいよー。それにシンの恋人さん」
ユウキはエリアスとフィリックスを指差して笑いながら続ける。目だけが笑ってない…。
「彼を守るのはこれから並の力じゃ難しい。魔族はさして悪いものばかりじゃないけれど、ハーフドラゴンを食うと力が出るなんてただの都市伝説なのに、それを信じてる輩がまだまだ多くてね、今後大丈夫?」
ユウキがエリアスとフィリックスに尋ねるその目は挑戦的にギラっとしていた。
「じゃあ、見せてもらおうかその力…」
ジュール、シーザー、ユウキの3人がエリアスとフィリックスの前に立ってそれぞれの色のオーラに包まれた。
「こりゃ、光栄なことで…シン、見ててくれるか?」
エリアスが俺の頬を撫でて笑う。俺は胸がキュンとなってしまってぶんぶんと首を振った。
「シン…!?」
エリアスとフィリックスが目を丸くする。俺はジュール達の方に向き直ると3人の前に立って告げた。
「ジュール、俺の力も見て!俺は…この2人に守られてばっかりの自分が嫌で離れたの!俺は迷惑になりたくない、足を引っ張ってるんじゃないかって思ってたんだ、でも、俺ももっともっと強くなりたい、強くなって、守られてばっかりでなくって、一緒に並んで生きていけるようになりたいの!だから勉強して魔力も身につけた…だから」
俺の話にシーザーがニヤリと笑う。
「ほーお?なかなか良いこと言うねぇ、さすが白銀王の息子、真面目が遺伝したか…」
「こらシーザー白銀王に怒られるから!じゃあ、シンも混じって3対3でいこうか」
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