92 / 113
異国での決意
エリアスside
しおりを挟む
目が覚めると、隣にフィリックスが眠っていた。シンはソファにでも寝ているのかと思って見てみると、いない。
外を見ると、夜明け前でまだ暗く、俺はあのまま眠っていたのかとまだ覚めきらない頭を軽く振った…。
それにしてもシンがいないのは変だ。バスルームにでもいるのだろうか、ドアを開け、冷水で顔を洗った。タオルを取ろうとして、ふと脱衣かごが目に入る。
きちんと畳まれたタオルの上に、ピアスと指輪と魔剣が整然と置いてあるのを見たとたん、俺の体中の血が一気に下がるのを感じた。
これは、おかしい。
「フィリックス!おい!フィリックス!!」
俺はリビングに戻り、大声でフィリックスを叩き起こす。寝ぼけたフィリックスが目を細めて体を起こす。
「ん…なんですかエリアス…?」
「シンがいない!」
「…え?」
「武器も魔道具も置いていったんだ…あのバカ!」
「散歩では…でも、ピアスまで外しはしなかったですね…」
フィリックスが怪訝な表情になった。
「おそらくドラゴンのオスカーはシンが呼ぶま出てこられない仕様になってるはずだ…ラースのところにいくぞ、ついてこい!」
俺はフィリックスを連れてドラゴンの宿舎に向かった。カイザー号達は眠っている、ラースもすやすやとカイザー号とオリオン号に抱かれて眠っている。シンはいなさそうだ。
あいつ、どこへ…!?ここはシンの知らない土地だ、王宮のどこかにいてほしい。
俺は胸騒ぎがして仕方がなかった。とにかく姿を見つけて抱きしめたい、抱き潰してやりたい衝動にかられる。
そういえば、竜騎士をやめる話をしたとき、反対していたような…ベッドでまどろむ俺にキスをしたとき、シンはどんな顔をしていたのか…。
しくじった、思い出せない。
優しい吐息と返事。柔らかい唇…それが記憶にぼやけて残っているだけだ。
見ると、フィリックスが青ざめていた。
「こ、これ…」
ラースの角飾りを指差され、見てみると。ひとつだけ飾りのようにぶら下がっていた小さなサファイアが外されていた。これはシンがラースの誕生日に買ってあげて、金具でとりつけたものだ。明らかに人工的に外されている。いつもそれを満足げにシンが眺めていたのを思いだした。
まさか。
フィリックスと俺は顔を見合わせる。
自分さえいなければ、俺たちの生活は平穏だと思ったのではないだろうか。この先永遠にハーフドラゴンは魔族から逃れるため、放浪の旅の未来…。それを予期したのかもしれない、シンなら考えそうなことだ。
ラースも連れていかないなんて…まあ、この姿を見ればそうかもしれない。この幸せそうな姿を裂くことは、優しいシンには無理だ。だとしたらあのサファイアだけを手に出た可能性がある。
あのバカ!
「フィリックス、丸腰の徒歩のシンならまだそう遠くにはいない筈だ、逆探知されないようにピアス類をを置いていったのかもしれん…そうなるとあいつは本気だ、本気でここを離れるつもりなのかもしれない」
「っ…なんで…俺はずっと一緒にいるつもりなのに…」
「探しにいくぞ、おい、ラース起きろ」
唇を噛むフィリックスを見ながら、俺はラースを叩き起こした。
「シンがいなくなった」
ぱちぱちと眠そうに瞬きをしていたラースが、俺の言葉を聞いてガバッと飛び起きる。俺はラースとシンクロした。シンほど深くはできないが、意思の疎通くらいはできる。
「なんで…シンが?」
「わからない…自分が邪魔だと思ったのかもな」
「シン…」
ラースが宙を見つめる。自分が置いていかれたことが信じられなかったようだ。
「逆探知できるか?ラース」
「シンの匂いと気配を追うことはできる、俺は相棒だからね、逃がさないよシン」
ラースがそう言って唇を噛んだ。相当頭にきているようにも見えた。
「ごめん、僕には大人一人しか乗れないんだけれど…」
「わかった、オリオン」
ラースのすまなさそうな言葉にフィリックスがオリオン号を起こした。カイザー号も目を覚ましたけれど、留守番してもらうことにした。
俺はラースに乗り、オリオン号と共に王宮を出る。空は少しずつ明るくなってきていて、きれいな紫の朝焼けが遠くに見える。
シン…どこにいる?
絶対にお前を離さない。
お前が離れていっても、必ず追いかけてこの手に抱く。
お前がいないと狂いそうだ。
頼むから…遠くに行くなんて絶対に許さない。
外を見ると、夜明け前でまだ暗く、俺はあのまま眠っていたのかとまだ覚めきらない頭を軽く振った…。
それにしてもシンがいないのは変だ。バスルームにでもいるのだろうか、ドアを開け、冷水で顔を洗った。タオルを取ろうとして、ふと脱衣かごが目に入る。
きちんと畳まれたタオルの上に、ピアスと指輪と魔剣が整然と置いてあるのを見たとたん、俺の体中の血が一気に下がるのを感じた。
これは、おかしい。
「フィリックス!おい!フィリックス!!」
俺はリビングに戻り、大声でフィリックスを叩き起こす。寝ぼけたフィリックスが目を細めて体を起こす。
「ん…なんですかエリアス…?」
「シンがいない!」
「…え?」
「武器も魔道具も置いていったんだ…あのバカ!」
「散歩では…でも、ピアスまで外しはしなかったですね…」
フィリックスが怪訝な表情になった。
「おそらくドラゴンのオスカーはシンが呼ぶま出てこられない仕様になってるはずだ…ラースのところにいくぞ、ついてこい!」
俺はフィリックスを連れてドラゴンの宿舎に向かった。カイザー号達は眠っている、ラースもすやすやとカイザー号とオリオン号に抱かれて眠っている。シンはいなさそうだ。
あいつ、どこへ…!?ここはシンの知らない土地だ、王宮のどこかにいてほしい。
俺は胸騒ぎがして仕方がなかった。とにかく姿を見つけて抱きしめたい、抱き潰してやりたい衝動にかられる。
そういえば、竜騎士をやめる話をしたとき、反対していたような…ベッドでまどろむ俺にキスをしたとき、シンはどんな顔をしていたのか…。
しくじった、思い出せない。
優しい吐息と返事。柔らかい唇…それが記憶にぼやけて残っているだけだ。
見ると、フィリックスが青ざめていた。
「こ、これ…」
ラースの角飾りを指差され、見てみると。ひとつだけ飾りのようにぶら下がっていた小さなサファイアが外されていた。これはシンがラースの誕生日に買ってあげて、金具でとりつけたものだ。明らかに人工的に外されている。いつもそれを満足げにシンが眺めていたのを思いだした。
まさか。
フィリックスと俺は顔を見合わせる。
自分さえいなければ、俺たちの生活は平穏だと思ったのではないだろうか。この先永遠にハーフドラゴンは魔族から逃れるため、放浪の旅の未来…。それを予期したのかもしれない、シンなら考えそうなことだ。
ラースも連れていかないなんて…まあ、この姿を見ればそうかもしれない。この幸せそうな姿を裂くことは、優しいシンには無理だ。だとしたらあのサファイアだけを手に出た可能性がある。
あのバカ!
「フィリックス、丸腰の徒歩のシンならまだそう遠くにはいない筈だ、逆探知されないようにピアス類をを置いていったのかもしれん…そうなるとあいつは本気だ、本気でここを離れるつもりなのかもしれない」
「っ…なんで…俺はずっと一緒にいるつもりなのに…」
「探しにいくぞ、おい、ラース起きろ」
唇を噛むフィリックスを見ながら、俺はラースを叩き起こした。
「シンがいなくなった」
ぱちぱちと眠そうに瞬きをしていたラースが、俺の言葉を聞いてガバッと飛び起きる。俺はラースとシンクロした。シンほど深くはできないが、意思の疎通くらいはできる。
「なんで…シンが?」
「わからない…自分が邪魔だと思ったのかもな」
「シン…」
ラースが宙を見つめる。自分が置いていかれたことが信じられなかったようだ。
「逆探知できるか?ラース」
「シンの匂いと気配を追うことはできる、俺は相棒だからね、逃がさないよシン」
ラースがそう言って唇を噛んだ。相当頭にきているようにも見えた。
「ごめん、僕には大人一人しか乗れないんだけれど…」
「わかった、オリオン」
ラースのすまなさそうな言葉にフィリックスがオリオン号を起こした。カイザー号も目を覚ましたけれど、留守番してもらうことにした。
俺はラースに乗り、オリオン号と共に王宮を出る。空は少しずつ明るくなってきていて、きれいな紫の朝焼けが遠くに見える。
シン…どこにいる?
絶対にお前を離さない。
お前が離れていっても、必ず追いかけてこの手に抱く。
お前がいないと狂いそうだ。
頼むから…遠くに行くなんて絶対に許さない。
32
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる