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伝説のゆくえ

暴れまくる竜騎士団

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アンディがその場にいた兵をかまいたちのような風で切り裂いていく。その場にバタバタと倒れる兵たちにエリアスが容赦なく雷撃を加える。貴族院のジジイ達は言葉も出なかった。

「ドラゴンがいなければ魔法が使えないのでは…!?」

口をパクパクしながらオッサン達がエリアスに言う。どこ情報だそれ…?

エリアスが訝しげにアンディを見た。

「ああ、それは俺が。竜騎士団にあまり力を持たせると狙われると思って言ってなかったし、お前らの魔力はほとんどぜーんぶドラゴンのお陰にして報告してある、ぷっ、それほんとに信じてたのか…」

アンディがゲラゲラ笑いだした。

「竜騎士団の特性は竜騎士のドラゴンの魔力を使えるだけで、本人は無いって大嘘。だからドラゴンと引き離せば無力化するってな、まあ、元竜騎士の俺の情報だから信憑性はばっちりか…!」
「おまえそんな大嘘…!」
「え、ダメだったか?エリアス」
「いや…!」

いたずらっぽく笑うアンディにつられてエリアスが微笑んだ。

「上出来だ、アンディ」

その瞬間、部屋の屋根が轟音を立てて吹き飛び、悲鳴が上がった。

そこには。


竜騎士団のドラゴン全員が天井から覗き込んでいた。フィリックスとダリウスがオリオン号に乗っている。屋根を壊したのはカイザー号だった。

「…!!!」


恐怖にうちひしがれた貴族院の表情と、絶望の色。

「陛下、これより撤収致します。王宮破壊の許可を」
「うむ、最大に宮殿を破壊しろ…兵の犠牲は最小限に留めろ、本意ではない」
「かしこまりました。」

エリアスが陛下に敬礼をし、カイザー号が手を差し出して飛び移る。俺はアンディと陛下を連れてヘラクレス号に案内して二人を乗せ、ラースに飛び乗った。

カイザー号が翼を広げる。

「エリアスぅ!!!!ちょっ…エリアス?どこいくの?エリアスっ!!!?」

焦ってエリアスにすがりつくように泣き叫ぶ姫の声がする。

エリアスは一瞥もくれず、完全無視をした。それが答えだ。完全な存在の消去。かける言葉すら、視線すら与えない。

カイザー号がちろっ、と姫を見た。そして。

体中にスパークを放ち、さっきいた部屋ごと建物を雷撃で散り散りに吹き飛ばした。

うっ…!カイザー号の渾身の怒り…!

翼を広げるなり高く飛び、俺達もそれに従った。王宮の周辺をぐるぐると恐ろしげにわざと壊しながら回ると、竜騎士団が復活したことを知った兵が恐れをなして建物からどんどん逃げ始めていく。

「頃合いか…フィリックス、ハムザ、いけ」

エリアスの指示でオリオン号とハムザのドラゴンが王宮に刃を向けた。エリアスも王宮の象徴である一番高い棟に向け飛び立っていこうとし、ふと止まって振り向いた。

「ヘラクレス号、お前がいけ…陛下、号令を」

陛下がヘラクレス号の上で驚いてエリアスを見る。後ろについているアンディが優しく陛下に教えているのが見える。

陛下は王宮の棟をしばらく見つめ、王宮の外の街を眺めた。そして悲しげに目を伏せると、意を決したように棟を見つめて一言、

「破壊せよ」

と掠れた声で呟いた。ヘラクレス号が口をガバッと開き、喉の奥が光ったかと思うと瞬時に一筋の閃光が王宮に放たれ、大爆発をして吹き飛んでいく。

少し悲しげな陛下とアンディ、エリアス、フィリックスが崩れていく王宮をしばらく見つめていた。

「では、急ぎ同盟国へ陛下をお送り致します。このアンディ、陛下とどこまでも参ります」

アンディが陛下に優しく囁き、陛下が驚いたようにアンディを見た。そして泣きそうな顔でアンディの肩に手を添えた。

「おまえは…俺の最大の忠臣だ。ありがとう…」
「俺のたった一人の弟ベンを愛して下さったお方をお守りさせて頂くのが俺の願いです…どうか、お側に…」
「アンディ…」

アンディはベンのお兄ちゃんだったのか…。

「いくぞシン…。竜騎士団は陛下の騎士だ、出発するぞ!」

最後にカイザー号が吠え、王宮に大きな雷撃の柱を落として飛び立っていった。

このクーデターを返り討ちにしたあげくに王宮を破壊してさっさと出ていったこの陛下の話が世界中に激震を与えて走った。

最強の竜騎士団を従えたこの元国王を、世界中の列強が欲しいと争って名乗りを上げた。














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