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伝説のゆくえ
ラースを取り返す
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「ラースを離せっ!」
俺は黒いドラゴンに怒鳴り付けた。
『え、無理…離せと言われて離すバカがどこにいる』
しれっと答える黒ドラゴンに俺は口ごもった。
あ、まあ、そうだよな。うーん早く助けなきゃ!でもエリアスもフィリックスも、ヘラクレス号の攻撃も効かないなんて…八方塞がりもいいところだ。
「お前の望みは何だ!?国?世界征服?人間を滅ぼすことか?復讐?」
俺が黒いドラゴンに尋ねると、そいつは口角を上げて鼻でせせら笑った。
『そんなものに興味はない。俺の望みは一つだけ…愛するものと永遠に、二人だけで暮らすこと』
えっこいつ意外と地味だった。もっとなんかえげつない世界滅亡とか目論んでると思ったのに!
「それが、ラースというわけか…」
エリアスがぼそりと呟いた。えっ困る!そんなの絶対やだ!じゃあ、ラースはこいつに奪われてどこかへ行っちゃうの?
青い竜騎士「ちょっ…ラースは俺のだ!返せよ!」
カイザー 「シン、生憎ラースは俺のだ」
オリオン 「何をいうカイザー、俺のだ」
ヘラクレス 「オリオンのでもない、俺のだよ」
あーもう!ややこしいから台本みたいになったじゃん!みんなとにかくラースが好きで好きで仕方ないんだ!
「お前ら…取り合いすげーな」
あきれたようにため息をつくエリアスとフィリックス。
「お前らだってシンがそうなったらどうする?」
カイザー号がイジワル気にエリアスに尋ねた。
「バカやろう!んなもん取り返すに決まってんだろうが!」
「そうだ!シンは俺のだ!」
「待てフィリックス!シンは俺のだって!」
今度はエリアスとフィリックスがギャーギャー騒ぎ始めた。あなた方…そんな暇があったらラース助けて…。
「ガラも黙ってないでラース助けるの手伝ってよ…」
するとピアスからガラがやっと話し始めた。
『私の世代では魔は甦らなかったからな…こいつとは、はじめましてだ』
のどかなコメント。役に立たねー!
『やっとハーフだがドラゴン族に転生できたというのに…何故神は俺に愛の日々を与えてはくれないんだろうか…愛するものが同族に近くなったのに』
悩ましげに顔を伏せる黒いドラゴン。
「同族?ハーフドラゴン?なんだそれ?」
『天界に所属するドラゴン族と人間とのハーフだ。何度となく転生を繰り返して、やっと、半分だが俺と同じ種族になった。だが、俺の罪は許されないのか…人間に恋人を殺され、復讐のあまり滅亡寸前まで根絶やしにしようとした俺はこんな、姿に成り果ててしまい、地底に棲みかを追いやられ…』
ちょ、ちょっと待った?なにその昔話?やっぱり人類滅亡とかやってんじゃん!俺と同じ種族って…こいつはドラゴン族?
カイザー号やオリオン号は汎用竜とは違うが種族はドラゴンだ。ドラゴン族とは、天界に棲むという、人間の姿をしたドラゴンを操ることのできる、光の種族と言われる神聖な幻の民族だと言われている。実在もわかっておらず、伝説の竜騎士はその血を引くとも言われていて、初代竜騎士はドラゴン族の青年だったと、ピアスに棲むガラも以前教えてくれた。その黒いドラゴンが幻のドラゴン族だというのかな?
「なあ…話聞いてて気づいたんだが、おまえもしかして最初の竜騎士?」
エリアスが黒いドラゴンに尋ねた。
え?逆じゃない?最初の竜騎士は伝説では恋人を魔に殺されたってことになってるよ?
『……』
黒いドラゴンは黙って目を伏せた。
『二人…。彼の恋人は俺ともう一人いたんだ…ドラゴン族二人の男が彼を愛して3人で平和に暮らしたんだ。種族の違い…それを、それだけで人間どもに俺の愛する人は殺された!荒れ狂った俺を止めようとしたもう一人の恋人は俺が殺したも同然だ。それから伝説の竜騎士はそいつの子孫から生まれるようになったんだ。もう昔過ぎて誰の体にもあいつの遺伝子が入ってるくらいだ。俺は呪いに身を委ね、汚れた魂となってドラゴン族からも追放され地下に追いやられた。きっとお前らには親友の血が入ってるんだろうな…俺を止めるために』
「そんな話、伝説には残ってないぞ…」
エリアスの反論に黒いドラゴンは笑った。
『人間が都合の悪い話を残すはずがないだろう?伝説なんてそんなもんだ。勝者はなんだって捏造できる。…後戻りはできない。もう待った。何度も待った。愛した人が今度はドラゴン族の血を持って生まれてくるなんて、この機をどれだけ待っていたか!』
黒いドラゴンが翼を広げ、攻撃体勢に入る。ビリビリと空気が震え、黒いドラゴンの胸の前に黒い球が現れてどんどん大きくなった。勘でわかる、これはかなり危険かもしれない。
『吹き飛ぶがいい』
そいつが口を開き、黒い球がいきなり膨張した。辺り一面真っ暗になって、すさまじい衝撃波がやってきた。
岩や木や、なにもかもが根こそぎ吹き飛んでいく。空間の中は渦が巻いているようだ。
とばされてる途中、ラースも触手の蔓から放たれて、もがきながら俺の方へと飛んでくるのが見えた。みんなはそれぞれドラゴンが羽にくるんで守られているようだ。ヘラクレス号もなんとかこっちに来ようとしている。
「シン!」
ラースがなんとか俺に近づいた。俺は手を伸ばしてラースの尻尾の先を掴む。それだけで安心してしまった。
「シン!逃げるよ!」
「わかった!」
ラースを連れてとにかく遠くへ逃げよう。みんなは自分の命をなんとか守れるだろう。
『そうはさせるか』
黒いドラゴンが立ちはだかってきた。エリアスやフィリックスが攻撃魔法を使おうとしてくれるれどたちまち渦にかき消されていく。
「シンだけでも逃げて!ヘラクレスっ、シンをここから離脱させて!」
ラースがそう叫んだ。
「は?ラースが目的なんだろうあいつ!何いってんだそんなことできない!」
黒いドラゴンは俺たちに近づき、今度は俺を掴まえた。ラースが俺を庇おうと割って入るところをあいつの腕にはね飛ばされる。
えええっ!ラース吹っ飛ばしたよこいつ!なんで?
「シン逃げて!こいつの目的は最初からシンなんだよ!!!!
ハーフドラゴンはっ!…シンの事だから!!!!」
えええええーーーーーー俺ぇ!?
いきなりのことに俺は頭が真っ白になる。
エリアスとフィリックスが大声で叫んだ。
「シンっ!逃げろ!」
黒いドラゴンが手を振ると、黒い雷がカイザー号とオリオン号に襲いかかった。渦の外に押し出された2匹が竜騎士二人を護り、竜騎士二人もドラゴンを魔法のシールドでかばいながら風圧で遠のいていく。
エリアス、フィリックス、無事でいてくれ…!
『やっとこの手に…!』
黒いドラゴンは熱い胸板に俺を捕まえると、大きな翼を広げてまっ逆さまに穴の奥へと急降下していった。
俺は黒いドラゴンに怒鳴り付けた。
『え、無理…離せと言われて離すバカがどこにいる』
しれっと答える黒ドラゴンに俺は口ごもった。
あ、まあ、そうだよな。うーん早く助けなきゃ!でもエリアスもフィリックスも、ヘラクレス号の攻撃も効かないなんて…八方塞がりもいいところだ。
「お前の望みは何だ!?国?世界征服?人間を滅ぼすことか?復讐?」
俺が黒いドラゴンに尋ねると、そいつは口角を上げて鼻でせせら笑った。
『そんなものに興味はない。俺の望みは一つだけ…愛するものと永遠に、二人だけで暮らすこと』
えっこいつ意外と地味だった。もっとなんかえげつない世界滅亡とか目論んでると思ったのに!
「それが、ラースというわけか…」
エリアスがぼそりと呟いた。えっ困る!そんなの絶対やだ!じゃあ、ラースはこいつに奪われてどこかへ行っちゃうの?
青い竜騎士「ちょっ…ラースは俺のだ!返せよ!」
カイザー 「シン、生憎ラースは俺のだ」
オリオン 「何をいうカイザー、俺のだ」
ヘラクレス 「オリオンのでもない、俺のだよ」
あーもう!ややこしいから台本みたいになったじゃん!みんなとにかくラースが好きで好きで仕方ないんだ!
「お前ら…取り合いすげーな」
あきれたようにため息をつくエリアスとフィリックス。
「お前らだってシンがそうなったらどうする?」
カイザー号がイジワル気にエリアスに尋ねた。
「バカやろう!んなもん取り返すに決まってんだろうが!」
「そうだ!シンは俺のだ!」
「待てフィリックス!シンは俺のだって!」
今度はエリアスとフィリックスがギャーギャー騒ぎ始めた。あなた方…そんな暇があったらラース助けて…。
「ガラも黙ってないでラース助けるの手伝ってよ…」
するとピアスからガラがやっと話し始めた。
『私の世代では魔は甦らなかったからな…こいつとは、はじめましてだ』
のどかなコメント。役に立たねー!
『やっとハーフだがドラゴン族に転生できたというのに…何故神は俺に愛の日々を与えてはくれないんだろうか…愛するものが同族に近くなったのに』
悩ましげに顔を伏せる黒いドラゴン。
「同族?ハーフドラゴン?なんだそれ?」
『天界に所属するドラゴン族と人間とのハーフだ。何度となく転生を繰り返して、やっと、半分だが俺と同じ種族になった。だが、俺の罪は許されないのか…人間に恋人を殺され、復讐のあまり滅亡寸前まで根絶やしにしようとした俺はこんな、姿に成り果ててしまい、地底に棲みかを追いやられ…』
ちょ、ちょっと待った?なにその昔話?やっぱり人類滅亡とかやってんじゃん!俺と同じ種族って…こいつはドラゴン族?
カイザー号やオリオン号は汎用竜とは違うが種族はドラゴンだ。ドラゴン族とは、天界に棲むという、人間の姿をしたドラゴンを操ることのできる、光の種族と言われる神聖な幻の民族だと言われている。実在もわかっておらず、伝説の竜騎士はその血を引くとも言われていて、初代竜騎士はドラゴン族の青年だったと、ピアスに棲むガラも以前教えてくれた。その黒いドラゴンが幻のドラゴン族だというのかな?
「なあ…話聞いてて気づいたんだが、おまえもしかして最初の竜騎士?」
エリアスが黒いドラゴンに尋ねた。
え?逆じゃない?最初の竜騎士は伝説では恋人を魔に殺されたってことになってるよ?
『……』
黒いドラゴンは黙って目を伏せた。
『二人…。彼の恋人は俺ともう一人いたんだ…ドラゴン族二人の男が彼を愛して3人で平和に暮らしたんだ。種族の違い…それを、それだけで人間どもに俺の愛する人は殺された!荒れ狂った俺を止めようとしたもう一人の恋人は俺が殺したも同然だ。それから伝説の竜騎士はそいつの子孫から生まれるようになったんだ。もう昔過ぎて誰の体にもあいつの遺伝子が入ってるくらいだ。俺は呪いに身を委ね、汚れた魂となってドラゴン族からも追放され地下に追いやられた。きっとお前らには親友の血が入ってるんだろうな…俺を止めるために』
「そんな話、伝説には残ってないぞ…」
エリアスの反論に黒いドラゴンは笑った。
『人間が都合の悪い話を残すはずがないだろう?伝説なんてそんなもんだ。勝者はなんだって捏造できる。…後戻りはできない。もう待った。何度も待った。愛した人が今度はドラゴン族の血を持って生まれてくるなんて、この機をどれだけ待っていたか!』
黒いドラゴンが翼を広げ、攻撃体勢に入る。ビリビリと空気が震え、黒いドラゴンの胸の前に黒い球が現れてどんどん大きくなった。勘でわかる、これはかなり危険かもしれない。
『吹き飛ぶがいい』
そいつが口を開き、黒い球がいきなり膨張した。辺り一面真っ暗になって、すさまじい衝撃波がやってきた。
岩や木や、なにもかもが根こそぎ吹き飛んでいく。空間の中は渦が巻いているようだ。
とばされてる途中、ラースも触手の蔓から放たれて、もがきながら俺の方へと飛んでくるのが見えた。みんなはそれぞれドラゴンが羽にくるんで守られているようだ。ヘラクレス号もなんとかこっちに来ようとしている。
「シン!」
ラースがなんとか俺に近づいた。俺は手を伸ばしてラースの尻尾の先を掴む。それだけで安心してしまった。
「シン!逃げるよ!」
「わかった!」
ラースを連れてとにかく遠くへ逃げよう。みんなは自分の命をなんとか守れるだろう。
『そうはさせるか』
黒いドラゴンが立ちはだかってきた。エリアスやフィリックスが攻撃魔法を使おうとしてくれるれどたちまち渦にかき消されていく。
「シンだけでも逃げて!ヘラクレスっ、シンをここから離脱させて!」
ラースがそう叫んだ。
「は?ラースが目的なんだろうあいつ!何いってんだそんなことできない!」
黒いドラゴンは俺たちに近づき、今度は俺を掴まえた。ラースが俺を庇おうと割って入るところをあいつの腕にはね飛ばされる。
えええっ!ラース吹っ飛ばしたよこいつ!なんで?
「シン逃げて!こいつの目的は最初からシンなんだよ!!!!
ハーフドラゴンはっ!…シンの事だから!!!!」
えええええーーーーーー俺ぇ!?
いきなりのことに俺は頭が真っ白になる。
エリアスとフィリックスが大声で叫んだ。
「シンっ!逃げろ!」
黒いドラゴンが手を振ると、黒い雷がカイザー号とオリオン号に襲いかかった。渦の外に押し出された2匹が竜騎士二人を護り、竜騎士二人もドラゴンを魔法のシールドでかばいながら風圧で遠のいていく。
エリアス、フィリックス、無事でいてくれ…!
『やっとこの手に…!』
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