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伝説のゆくえ
★フィリックスの優しい情熱 前編
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あれから3日経った。
フィリックスは伝説の竜騎士になったということで色々と書類の手続きがあるらしく、エリアスに呼ばれてずーっと部屋に帰ってこないのだ。進化したオリオン号の待遇も変わるらしい。
4日めの夜に、やっとフィリックスが戻ってきた。とても疲れている表情だ。まあ、そうだろうな…普通の竜騎士がいきなり伝説の竜騎士になったんだから、説明がかなりややこしそうだ。
ハムザとトゥルキから聞いたところ、国王陛下や宰相、議会への報告にてんてこまいしていたらしい。
「おかえり」
「ただいま」
ふう、とフィリックスが息をついた。
「シン、こっち来て」
手招きで呼ばれて、俺はフィリックスの側へ近づくと、そっと優しく抱きよせられた。
「あー、やっと落ち着く…」
そうしみじみ呟くと、俺の顎を持ち上げてそっと唇を重ねられた。
「ん…っ、ふ…ぅ」
フィリックスのキスは優しくていつもソフトだ。俺の心をくすぐって撫でるような心地よさを感じる。
「伝説の竜騎士の手続き、大変だったの?」
「上に説明をするのがな…。いきなり何で竜騎士だったお前が?って話だよな」
「ごめん…」
「ん?何でシンが謝る?」
フィリックスが、俺の顔を覗きこんで瞬きを数回した。長い睫毛が揺れる。
「騙してたことに…」
「ならない。勝手に誤解をされて迷惑を被ったのはシンの方だ。言い出せなくてつらかったろう?王宮側がシンを必要だから呼んだんだ、伝説だろうがなかろうが、シンは大切な竜騎士だ」
俺はフィリックスの優しい言葉に泣きそうになる。
俺の頬をフィリックスの唇が滑るように撫で、滲んだ涙をそっと舐めた。
「ごめんな…ずっと、苦しかったな…。これからも一緒だからな」
もう、その言葉で俺の涙腺は一気に決壊した。情けなくグスグスと泣いてしまい、フィリックスはずっと抱き締めて俺の髪を撫でてくれる。
なんでこんなに優しいんだろう。竜騎士のみんなはフィリックスを筆頭にとにかく優しい。俺もみんなのように、そんな強くて優しい人になりたいな。
なれるかな?
「なあ…シン、あのモンスターに捕まったとき、抵抗しなかったよな?まさか死んでもいいやとか思わなかったか?」
あ…。全くとは断言できない。そこまでは考えてなかったけど…。
「いなくなりたい、とは思った…。俺はみんなの期待を裏切ったと思ってたから、クビになって、王宮を追い出されると思ったんだもん、離れるのはやだよ、みんなといたいのに。もうフィリックスにもこんな風にしてもらえないと思って、色々とどうでもよくなったんだ」
「バカだなシンは」
俺の話を遮ることなくフィリックスは全部聞いてくれてから、俺に言った。
「いやーもう、あれから4日も伝説の竜騎士作業に引きずり回されてシンに全然会えなかったのって何の罰ゲームかと思ったわ…。こんなのなら伝説の竜騎士いらねーとか思ってめちゃくちゃ腹が立ってたんだけど、エリアスと同じ位置に立ってシンを堂々と愛せるって思い直した」
フィリックス…フィリックスも、コンプレックスとか色々と思うところがあったのかもしれない。
「フィリックスは…俺の尊敬する、強いフィリックスだよ?」
「尊敬だけ?」
ええー、とフィリックスが冗談ぽく俺を非難する。
「だって…」
「と、その前に、シンはもう風呂入った?」
「入ってない…」
俺の返事ににっこりと笑ったフィリックスは軽々と俺をお姫様抱っこをした。
「じゃ、一緒に入ろうか」
えっえっえっ?
俺はバスルームに連れていかれて服をスルスルと脱がされた。目が合うたびにフィリックスは優しく微笑んでくれて、俺の中のくだらないわだかまりがどんどんと薄れていくんだ。
頭を洗いっこしたり、二人とも泡だらけになって体を撫で合う。フィリックスは指で大きなシャボン玉を作って目の前で飛ばしてくれた。こんなことをしてくれた人は生まれて初めてで、俺の胸はどんどん高鳴っていく。二人で風呂ではしゃいで笑い転げた。
ふと、目が合った瞬間、フィリックスが真顔になり、俺はドキっとした。そしてだんだん顔が近づいてくる。俺も少し顔を上げてフィリックスの唇を待った。
しっとりとした長いキスをして、何度も唇が触れ合ったあと、フィリックスの舌が入ってきた。少し口を開けて俺は彼のと絡ませ、お互いの舌が愛撫しあって受け止めて、離れまいと絡み合った。
「んっ、ん…」
無意識に声が漏れ、フィリックスの熱い息使いが俺の体を熱くする。少しぬるめのバスタブの湯に浸かった二人の体温が上がり、バスルームに吐息が響いた。
俺の背中に手を廻し、ゆっくりと撫で上げて、指先でそっと撫で下ろす。
「んぁっ…はぁ、ん…」
ゾクゾクして喘ぎが漏れた。その撫で下ろした手で俺の腰を引き上げて膝で立たせる。フィリックスも向かい合わせに膝立ちになり、俺の腰をグッと引き付けた。
固くなった彼自身に俺のがコツンと当たり、フィリックスは二人のそれをくっつけたまま、ゆっくりと擦った。
「あぁ、んっ…あっ、ぁ…」
なにこれ気持ちいい…。
「シン…可愛い声…」
「我慢っ、できないんだ…も…ンあっ!ぁんっ」
腰が勝手にゆるゆると動いてしまう。二人が動くたびに張った湯がちゃぷちゃぷと音を絶てて揺れる。フィリックスは二人が離れないように片手を添えてもっと俺を擦り上げた。
「あっ、そ…だめぇ、あっあっ!っああっ!」
「いいよ、イって」
フィリックスの手のひらが俺自身のてっぺんをヌルヌルと丸くさすった瞬間、俺は彼の手のひらに向けて果ててしまった。
フィリックスは伝説の竜騎士になったということで色々と書類の手続きがあるらしく、エリアスに呼ばれてずーっと部屋に帰ってこないのだ。進化したオリオン号の待遇も変わるらしい。
4日めの夜に、やっとフィリックスが戻ってきた。とても疲れている表情だ。まあ、そうだろうな…普通の竜騎士がいきなり伝説の竜騎士になったんだから、説明がかなりややこしそうだ。
ハムザとトゥルキから聞いたところ、国王陛下や宰相、議会への報告にてんてこまいしていたらしい。
「おかえり」
「ただいま」
ふう、とフィリックスが息をついた。
「シン、こっち来て」
手招きで呼ばれて、俺はフィリックスの側へ近づくと、そっと優しく抱きよせられた。
「あー、やっと落ち着く…」
そうしみじみ呟くと、俺の顎を持ち上げてそっと唇を重ねられた。
「ん…っ、ふ…ぅ」
フィリックスのキスは優しくていつもソフトだ。俺の心をくすぐって撫でるような心地よさを感じる。
「伝説の竜騎士の手続き、大変だったの?」
「上に説明をするのがな…。いきなり何で竜騎士だったお前が?って話だよな」
「ごめん…」
「ん?何でシンが謝る?」
フィリックスが、俺の顔を覗きこんで瞬きを数回した。長い睫毛が揺れる。
「騙してたことに…」
「ならない。勝手に誤解をされて迷惑を被ったのはシンの方だ。言い出せなくてつらかったろう?王宮側がシンを必要だから呼んだんだ、伝説だろうがなかろうが、シンは大切な竜騎士だ」
俺はフィリックスの優しい言葉に泣きそうになる。
俺の頬をフィリックスの唇が滑るように撫で、滲んだ涙をそっと舐めた。
「ごめんな…ずっと、苦しかったな…。これからも一緒だからな」
もう、その言葉で俺の涙腺は一気に決壊した。情けなくグスグスと泣いてしまい、フィリックスはずっと抱き締めて俺の髪を撫でてくれる。
なんでこんなに優しいんだろう。竜騎士のみんなはフィリックスを筆頭にとにかく優しい。俺もみんなのように、そんな強くて優しい人になりたいな。
なれるかな?
「なあ…シン、あのモンスターに捕まったとき、抵抗しなかったよな?まさか死んでもいいやとか思わなかったか?」
あ…。全くとは断言できない。そこまでは考えてなかったけど…。
「いなくなりたい、とは思った…。俺はみんなの期待を裏切ったと思ってたから、クビになって、王宮を追い出されると思ったんだもん、離れるのはやだよ、みんなといたいのに。もうフィリックスにもこんな風にしてもらえないと思って、色々とどうでもよくなったんだ」
「バカだなシンは」
俺の話を遮ることなくフィリックスは全部聞いてくれてから、俺に言った。
「いやーもう、あれから4日も伝説の竜騎士作業に引きずり回されてシンに全然会えなかったのって何の罰ゲームかと思ったわ…。こんなのなら伝説の竜騎士いらねーとか思ってめちゃくちゃ腹が立ってたんだけど、エリアスと同じ位置に立ってシンを堂々と愛せるって思い直した」
フィリックス…フィリックスも、コンプレックスとか色々と思うところがあったのかもしれない。
「フィリックスは…俺の尊敬する、強いフィリックスだよ?」
「尊敬だけ?」
ええー、とフィリックスが冗談ぽく俺を非難する。
「だって…」
「と、その前に、シンはもう風呂入った?」
「入ってない…」
俺の返事ににっこりと笑ったフィリックスは軽々と俺をお姫様抱っこをした。
「じゃ、一緒に入ろうか」
えっえっえっ?
俺はバスルームに連れていかれて服をスルスルと脱がされた。目が合うたびにフィリックスは優しく微笑んでくれて、俺の中のくだらないわだかまりがどんどんと薄れていくんだ。
頭を洗いっこしたり、二人とも泡だらけになって体を撫で合う。フィリックスは指で大きなシャボン玉を作って目の前で飛ばしてくれた。こんなことをしてくれた人は生まれて初めてで、俺の胸はどんどん高鳴っていく。二人で風呂ではしゃいで笑い転げた。
ふと、目が合った瞬間、フィリックスが真顔になり、俺はドキっとした。そしてだんだん顔が近づいてくる。俺も少し顔を上げてフィリックスの唇を待った。
しっとりとした長いキスをして、何度も唇が触れ合ったあと、フィリックスの舌が入ってきた。少し口を開けて俺は彼のと絡ませ、お互いの舌が愛撫しあって受け止めて、離れまいと絡み合った。
「んっ、ん…」
無意識に声が漏れ、フィリックスの熱い息使いが俺の体を熱くする。少しぬるめのバスタブの湯に浸かった二人の体温が上がり、バスルームに吐息が響いた。
俺の背中に手を廻し、ゆっくりと撫で上げて、指先でそっと撫で下ろす。
「んぁっ…はぁ、ん…」
ゾクゾクして喘ぎが漏れた。その撫で下ろした手で俺の腰を引き上げて膝で立たせる。フィリックスも向かい合わせに膝立ちになり、俺の腰をグッと引き付けた。
固くなった彼自身に俺のがコツンと当たり、フィリックスは二人のそれをくっつけたまま、ゆっくりと擦った。
「あぁ、んっ…あっ、ぁ…」
なにこれ気持ちいい…。
「シン…可愛い声…」
「我慢っ、できないんだ…も…ンあっ!ぁんっ」
腰が勝手にゆるゆると動いてしまう。二人が動くたびに張った湯がちゃぷちゃぷと音を絶てて揺れる。フィリックスは二人が離れないように片手を添えてもっと俺を擦り上げた。
「あっ、そ…だめぇ、あっあっ!っああっ!」
「いいよ、イって」
フィリックスの手のひらが俺自身のてっぺんをヌルヌルと丸くさすった瞬間、俺は彼の手のひらに向けて果ててしまった。
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