異世界に転生したら竜騎士たちに愛されました

あいえだ

文字の大きさ
上 下
64 / 113
伝説のゆくえ

★フィリックスの優しい情熱 前編

しおりを挟む
あれから3日経った。

フィリックスは伝説の竜騎士になったということで色々と書類の手続きがあるらしく、エリアスに呼ばれてずーっと部屋に帰ってこないのだ。進化したオリオン号の待遇も変わるらしい。

4日めの夜に、やっとフィリックスが戻ってきた。とても疲れている表情だ。まあ、そうだろうな…普通の竜騎士がいきなり伝説の竜騎士になったんだから、説明がかなりややこしそうだ。

ハムザとトゥルキから聞いたところ、国王陛下や宰相、議会への報告にてんてこまいしていたらしい。

「おかえり」
「ただいま」

ふう、とフィリックスが息をついた。

「シン、こっち来て」

手招きで呼ばれて、俺はフィリックスの側へ近づくと、そっと優しく抱きよせられた。

「あー、やっと落ち着く…」

そうしみじみ呟くと、俺の顎を持ち上げてそっと唇を重ねられた。

「ん…っ、ふ…ぅ」

フィリックスのキスは優しくていつもソフトだ。俺の心をくすぐって撫でるような心地よさを感じる。

「伝説の竜騎士の手続き、大変だったの?」
「上に説明をするのがな…。いきなり何で竜騎士だったお前が?って話だよな」
「ごめん…」
「ん?何でシンが謝る?」

フィリックスが、俺の顔を覗きこんで瞬きを数回した。長い睫毛が揺れる。

「騙してたことに…」
「ならない。勝手に誤解をされて迷惑を被ったのはシンの方だ。言い出せなくてつらかったろう?王宮側がシンを必要だから呼んだんだ、伝説だろうがなかろうが、シンは大切な竜騎士だ」

俺はフィリックスの優しい言葉に泣きそうになる。

俺の頬をフィリックスの唇が滑るように撫で、滲んだ涙をそっと舐めた。

「ごめんな…ずっと、苦しかったな…。これからも一緒だからな」

もう、その言葉で俺の涙腺は一気に決壊した。情けなくグスグスと泣いてしまい、フィリックスはずっと抱き締めて俺の髪を撫でてくれる。

なんでこんなに優しいんだろう。竜騎士のみんなはフィリックスを筆頭にとにかく優しい。俺もみんなのように、そんな強くて優しい人になりたいな。

なれるかな?

「なあ…シン、あのモンスターに捕まったとき、抵抗しなかったよな?まさか死んでもいいやとか思わなかったか?」

あ…。全くとは断言できない。そこまでは考えてなかったけど…。

「いなくなりたい、とは思った…。俺はみんなの期待を裏切ったと思ってたから、クビになって、王宮を追い出されると思ったんだもん、離れるのはやだよ、みんなといたいのに。もうフィリックスにもこんな風にしてもらえないと思って、色々とどうでもよくなったんだ」
「バカだなシンは」

俺の話を遮ることなくフィリックスは全部聞いてくれてから、俺に言った。

「いやーもう、あれから4日も伝説の竜騎士作業に引きずり回されてシンに全然会えなかったのって何の罰ゲームかと思ったわ…。こんなのなら伝説の竜騎士いらねーとか思ってめちゃくちゃ腹が立ってたんだけど、エリアスと同じ位置に立ってシンを堂々と愛せるって思い直した」

フィリックス…フィリックスも、コンプレックスとか色々と思うところがあったのかもしれない。

「フィリックスは…俺の尊敬する、強いフィリックスだよ?」
「尊敬だけ?」

ええー、とフィリックスが冗談ぽく俺を非難する。

「だって…」
「と、その前に、シンはもう風呂入った?」
「入ってない…」

俺の返事ににっこりと笑ったフィリックスは軽々と俺をお姫様抱っこをした。

「じゃ、一緒に入ろうか」

えっえっえっ?

俺はバスルームに連れていかれて服をスルスルと脱がされた。目が合うたびにフィリックスは優しく微笑んでくれて、俺の中のくだらないわだかまりがどんどんと薄れていくんだ。

頭を洗いっこしたり、二人とも泡だらけになって体を撫で合う。フィリックスは指で大きなシャボン玉を作って目の前で飛ばしてくれた。こんなことをしてくれた人は生まれて初めてで、俺の胸はどんどん高鳴っていく。二人で風呂ではしゃいで笑い転げた。

ふと、目が合った瞬間、フィリックスが真顔になり、俺はドキっとした。そしてだんだん顔が近づいてくる。俺も少し顔を上げてフィリックスの唇を待った。
しっとりとした長いキスをして、何度も唇が触れ合ったあと、フィリックスの舌が入ってきた。少し口を開けて俺は彼のと絡ませ、お互いの舌が愛撫しあって受け止めて、離れまいと絡み合った。

「んっ、ん…」

無意識に声が漏れ、フィリックスの熱い息使いが俺の体を熱くする。少しぬるめのバスタブの湯に浸かった二人の体温が上がり、バスルームに吐息が響いた。

俺の背中に手を廻し、ゆっくりと撫で上げて、指先でそっと撫で下ろす。

「んぁっ…はぁ、ん…」

ゾクゾクして喘ぎが漏れた。その撫で下ろした手で俺の腰を引き上げて膝で立たせる。フィリックスも向かい合わせに膝立ちになり、俺の腰をグッと引き付けた。

固くなった彼自身に俺のがコツンと当たり、フィリックスは二人のそれをくっつけたまま、ゆっくりと擦った。

「あぁ、んっ…あっ、ぁ…」

なにこれ気持ちいい…。

「シン…可愛い声…」
「我慢っ、できないんだ…も…ンあっ!ぁんっ」

腰が勝手にゆるゆると動いてしまう。二人が動くたびに張った湯がちゃぷちゃぷと音を絶てて揺れる。フィリックスは二人が離れないように片手を添えてもっと俺を擦り上げた。

「あっ、そ…だめぇ、あっあっ!っああっ!」
「いいよ、イって」

フィリックスの手のひらが俺自身のてっぺんをヌルヌルと丸くさすった瞬間、俺は彼の手のひらに向けて果ててしまった。































しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

すべてを奪われた英雄は、

さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。 隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。 それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。 すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~

さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。 そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。 姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。 だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。 その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。 女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。 もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。 周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか? 侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

処理中です...