異世界に転生したら竜騎士たちに愛されました

あいえだ

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竜騎士になったよ

家出計画

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「おい、シン?」

エリアスが俺を呼び、ハッとなって我に返る。今は訓練の途中で、ボーっとしちゃいけないのに。

「どうした?体調でも悪いのか?」

俺は首を振ってパンパンと自らの両頬を軽く叩いた。ラースが不安そうに俺を見つめる。
ラースには事情を伝えてあるんだ。


ーーーー

昨日の話。

「シン…僕ら、ここにいちゃいけないのかな…」

二人で空を飛びながらシンクロをして話した。

「ラースはどう思うの?カイザー号やオリオン号はラースにとっても大切なドラゴンだろ?」
「うん…なんでシンはここに居たいって言っちゃいけないの?」
「俺は伝説の竜騎士として王宮に呼ばれたんだよ。なのに、伝説じゃなかったらただの詐欺師じゃん。みんな伝説の竜騎士じゃない俺には用はないって。がっかりするよ」
「そうかなあ…?シンはシンだよ」
「ラースは優しいね。大好き」
「当たり前じゃん!僕はシンが一番大切なんだから!怒るよ!」
「うん…ねえ、ちょっと泣いていいかな?」

そう言う俺の声が震えていて、ラースはそれきり黙って高度を上げた。きれいな星空が悲しくて寂しくて。ラースは誰もいない、お気に入りの崖の上へ俺を連れて行ってくれた。

「このまま、どこかに行く?僕はシンさえ一緒にいてくれたらどこでも生きていくよ」
「ラース…」

俺は濡れた瞳でラースを見た。

「元々二人だけだったじゃないか。そりゃ、カイザー号もオリオン号も、ヘラクレス号も好きだけど…は、離れたくない…けど…」

ラースの声が震えだす。大きな蒼い瞳から涙がひとつこぼれる。ドラゴンは基本、涙は出ない。ラースの涙腺、どうなってんだ…と思いながらも二人で泣いた。

「僕だって…伝説のドラゴンじゃないもん…」

ラースがそう言ったとき、ピアスからガラが話しかけてきた。

『シン、俺はお前と共にするぞ。お前のキスは何より甘い』

ガラ、それ不純だけど嬉しいよ。俺の胸で魔剣ルーカス号も鈍く光る。

「みんな、シンが大好きなんだよ。いこう」

ラースがそう言いながら俺の涙をなめてくれる。伝説じゃないけど、伝説のドラゴンが二匹もついてくれてる俺は幸せだね。ラース、弱いマスターでごめん。

どこへいこうかな?とりあえず辺境の村に戻って、そこから旅に出るのもいいな。ラースを連れて、外国で勇者になるとか、それもいいかも。

その時、真上からまっ逆さまに急激に降りてくるものがあつた。

ドゴォン!と地面にめり込むほどの早さで着陸したのは。

ヘラクレス号だった。

ここ、崖な…崩れるとこだったよ。

「俺もシンと行く…置いていくな」

ヘラクレス号は真剣な表情で俺にそう言った。彼は普段ほとんど喋らない。俺達の何かを察知したのか、追いかけて飛んで来たんだな。

「ヘラクレス号…」
「シンがどこかに行ってしまうような気がしたんだ。何で俺を置いていくの?ベンがいなくなった時みたいに、俺をまた一人にするのか?」

ヘラクレス号が泣きそうだ。何でバレたんだろ…。そうだ、ヘラクレス号の気持ちも考えず、また傷つけてしまうところだった。そうなったらもう、彼は二度と人間に心を開かないだろう。

それに、ヘラクレス号を連れていくことは不可能だ。巨大な体が目立って仕方がない。能力も、普通の人間と混じって暮らすことはできない。

待てよ?ちょっとシミュレーション…。

冷凍光線を使えるラースと魔剣ルーカス号の能力で俺は氷屋さんで稼げそうだな…。ガラの力で魔力はあるから占い師にもなれるかもしれない。ヘラクレス号で火を売る仕事…焼き畑?いや、そこらへんが焦土と化す…。山焼き…いや、山脈が焦土と化す…。無理だ…。

俺はバカだなあ。一人よがりで誰のことも考えてない。わがままなダメダメマスターだ。

俺には4匹のドラゴンがついてくれている。なのに、一人になった気になって体裁を繕うことばかりだ。

「みんな、助けて…俺はどうしたらいいの?」

ボロボロと情けなく泣きながら俺はドラゴン4匹に尋ねる。我ながら情けないけど。

『うーん…正直に話すしかなかろう』

ガラがそう言った。ラースもヘラクレス号もうんうんと頷く。

そうだよな…それが一番いいか…。



ーーーーー


いつ、エリアス達に本当の事を言おうかとタイミングをはかってるけれども、なかなか言えない。最近またモンスター出現が増えていて、エリアスもフィリックスも身が休まらないのだ。俺も戦闘に行くことが増えた。

「大丈夫…ごめん」
「そうか。昼からは休みだ、ゆっくりできるな…後で俺の部屋に来てくれ、見せたいものがある」

エリアスが俺にそう言った。なんだろう?


本格的にモンスターが増えて、王宮で俺を見る目も厳しくなってきた。陛下のお気に入りフィルターがかかっているので直接手を下されることはないけれど気にはしておかないといけない。

訓練が終わり、俺は言われた通りエリアスの部屋へ向かった。


話というのは。
ある古文書をエリアスが手にいれたという。
それは、竜騎士が過去に二人現れた時代のものだった。














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