異世界に転生したら竜騎士たちに愛されました

あいえだ

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竜騎士になったよ

バトルの終わりを飾るキスってなんだ

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フィリックスの手に大きな爪のような金属の装具がはまっている。それをモンスターにかざした瞬間、モンスターが爆発した。炎を上げて燃えるけれどもその中でまだ飛んでいられるようだ。

「ちっ…さすがにタフだな…こいつは攻撃力は少ないが鱗が固くてなかなかダメージが与えられないんだ…強くはないがなかなか倒せない…こちらがへばるのを待つタイプだから厄介なんだ」

オリオン号の口からも火炎放射みたいな炎がモンスター目掛けて一直線に攻撃する。

モンスターの口が開いて喉の奥になにかビームのような光が発生したのを見た。俺たちを攻撃しようとしているのか、ラースと俺は身を固くして緊張する。

そこへ、突然轟音と共にモンスターが大きな雷の柱に飲み込まれた。辺り一面閃光で真っ白になり、俺は腕で目を覆い耳が一瞬何も聞こえなくなった。

な…に?これは一体…?

一瞬の閃光がおさまったと同時に、目の前にいたモンスターが弾けるように粉砕した。

カイザー号とエリアスが、まるで隕石のように上から超速でモンスターに激突したのだ。フィリックスの炎とエリアスの雷撃で焦げて脆くなっていたのか、モンスターはカイザーの高速の体当たりで木っ端微塵にぶち抜かれたのだった。

肉片となって落ちていくモンスターの残骸。翼をバッと広げ、カイザー号が空中で風をはらんで減速し、俺たちの目の前に浮上してきた。エリアスは平然とカイザーに乗っている。下に落ちていったモンスターを一瞥する表情が冷たい。

どこまで強いんだこの人たち…。エリアスと、フィリックス、ドラゴンの力に圧倒されて言葉が出なかった。

「フィリックス、助かったよ。ご苦労さん」

エリアスがフィリックスに笑いかけた。

「エリアス、相変わらず最強ですね、我らが竜騎士団長」
「やめろ、ピンチだったんだぞ、これでも凹んでるんだ」
「ご謙遜」
「謙遜じゃねえ。…すまなかったなシン、よく逃げ切ってくれた…偉いぞ」

エリアスが俺を褒めた。

「逃げてただけだよ…」

俺はぽそり、とそれだけ答えた。だって何もしてないもん。たくさんのドラゴンに守られてるだけ。

ドラゴン三匹はゆっくりと広い野原の地上に降りる。ラースが大きく息をついた。

エリアスは落ち込んだ気持ちの俺に気づいてるのか、カイザー号から降りて俺のところに走って腕を掴んで引き寄せ、俺を抱き締めた。

「怪我はないな?無事でよかった」

俺の体を隅々まで確認して、何ともないことを知ると安心したように笑う。

「シン、命を失わないというのが一番強いんだ。逃げ切るのは攻撃するより難しいんだぞ。覚えとけ、無理なら退却が鉄則、戦うばかりが正しいんじゃない。ラースもご苦労だったな」

俺は驚いた。こんなに強い人から逃げる意味の言葉を聞くなんて。ほんとに強い人は背中を向けることを躊躇しないのかもしれない。命の大切さを知ってるからこその言葉だ。

「これから戻るけど、シンもラースもカイザー号に乗るか?」

エリアスが俺を誘ってくれた。カイザー号はオリオン号と二匹でラースを鼻先で怪我がないか確認している。

「エリアスもカイザーも疲れてるから、帰りはラース達はオリオン号のほうに乗ればいいかと」

フィリックスが自分の方へと俺たちを誘う。

「えっ?俺もカイザーも疲れてないぞ」

エリアスが反論する。

「カイザー号の首から血がでてますよ?あれを二匹倒す驚異的な力は流石ですが…」

しれっとそう言うフィリックスにエリアスが舌打ちした。
あんな戦いの後だ、本当は2人ともボロボロなのかもしれない。

あれ?そういや、ドラゴン達の声が聞こえない。するとガラが頭の中で教えてくれた。

『シンクロを切ればドラゴンの会話は聞こえない。お前も自分の魔力の器が空っぽだな、今はもう、シンクロは無理だ』

そういえば、ガラに報酬…。

『そうだな、頂こうか。バトルの終わりを飾るキスを』

うわあ!やっぱりそれ有効だったんだ!バトルの終わりを飾るキス?!訳のわからんキラキラした表現使うな!

俺は少し離れて話し合うフィリックスとエリアスを見つめて真っ赤になる。その視線に気づいて2人とも俺を見て不思議そうな顔をした。

「シン?どうした?」

そうだよね、変だよね!

って思ってるとエリアスが小走りで俺の元へ来て、いきなり抱き上げられる。そして俺の耳元に唇を寄せるとピアスの中にいる伝説のドラゴン、ガラに向かって話しかけた。

「ガラ…所望するものを言ってみな」
『キスしてくれ』
「どこに?このピアスにか?」
『私の感覚をシンの唇に繋げた』

えっ?俺は自分の唇に触れた。なんともない、自分の唇だよ?

「わかった」

エリアスがそう言うなり俺を降ろして触れる程の軽いキスを何度もした。それでも俺には衝撃的で腰を反りながら声が漏れた。

「ん…ぅ…っ」

唇を離すと俺の目を見て微笑む。

「戦い後のシンとのキスは、俺の回復にも役立ちそうだ」

「…シンと何をしてるんですか?エリアス…」

フィリックスが不満そうに腕を組んで俺たちを見ている。俺は慌てて説明した。

「あのね、ドラゴンの瞳に住んでる伝説のドラゴンがキス魔のヘンタイなんだよ、だから魔力供給の報酬にキスがいるの」

「へーえ…それ、俺がしても?」
「え、もう今エリアスにしてもらったけど…」
『構わないぞ、二人から貰え』

俺の頭の中で嬉しそうなガラの声がする。

二人からなんて。ガラ、そんな話は聞いてない。

と言うが早いが、フィリックスが片手で俺の肩に手を回して抱き寄せて、もう片方の手で顎を上げ、唇を俺に投下した。

「何で言っちゃうかなシン…俺だけでいいのに、正直者め」

エリアスが少し唇を尖らせた。

『こんな美しい竜騎士達を惑わせているのか?この二人からのキスがこれから毎回手に入るとは…シン、これからは魔力を大幅ボーナスアップだ、増やしてやろう。私はお前が好きになってきたぞ』

ガラ……。このヘンタイドラゴンめ…。






































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