異世界に転生したら竜騎士たちに愛されました

あいえだ

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竜騎士になったよ

レストランで朝食を

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朝起きると部屋にはフィリックスがいなかった。もう仕事に行ったようだった。

俺の服がきちんと畳まれてテーブルに置いてある。それを着ているとノックの音がした。トゥルキの声がして俺はドアを開ける。

「おはよう、ちゃんと起きてますね、シン。朝食を食べに連れていってくれとフィリックスから言われてまして、誘いに来ました」
「フィリックスは…?」
「エリアスと二人で騎士団の所に行きました。エリアスなんてえらい剣幕で怒ってましたけど、なんかあったんですか?全く教えてはくれないんですよ」

昨日の俺の件だ…。俺は軽く首を振った。


上級騎士以上のレストランでは豪華なモーニングが振る舞われる。トゥルキは俺にミルクとスクランブルエッグ、サーモンサラダにローストビーフのプレートを頼み、バゲットに濃厚なバターを塗ってくれた。

するとエリアスとフィリックス、ハムザがレストランへ入ってくるのが見え、トゥルキが手を上げた。
こちらへ近づいてきて、すぐ隣のテーブルに3人が座る。

「あれ?ハムザも、お揃いで…騎士団のところへ何をしに?」

トゥルキが訝しげに尋ねた。エリアスは俺をちらりと見てから腕を組んで答える。

「騎士団と恒例の合同演習の打ち合わせだ…今年は一般に公開することになった。弱い騎士団なんぞとやりたくもないけど、陛下がお楽しみにされているからな」

ざわっ、とレストランが騒がしくなった。ここは上級騎士以上の専用レストランだ。なのにそんな大声でディスるのは、ここにいる騎士達を挑発しているようだ。

「末端の躾もできていない奴等に俺たちと同じレベルの演習が出来るわけない。元々畑が違うしな」
「エリアスが強すぎるんですよ」

トゥルキがため息まじりに言った。

「それでな、ついでにシンの御披露目をしようかなと思って」

ぶほ。
エリアスがそう言った時、食べ終わってミルクを飲んでいた俺は豪快にむせた。

「シンというこんな可愛くて美しい竜騎士を世界に公開しなくてはバチがあたるんじゃないかと思ってな。」
「そうですね、全世界にシンの可愛さを知らしめ隊メンバーですからね俺たち」
「そう、それな。フィリックスが会長で、俺が不本意ながら副会長という」

エリアスとフィリックスが二人でうんうんと頷く。何か息がすごく合ってるね…。
それになんだその隊?

「えーっとぉ、一年中頭春めき隊のお兄さん達は置いといて。ハムザ、どういうことだ?」

ドン引きした目でエリアスとフィリックスを見ながら、トゥルキが唯一まともに話が出来そうなハムザに説明を求める。

「え?…シンもいいが、俺はトゥルキの美しさを世界に広め隊終身会長だ。他にメンバーは必要ない」

真顔でハムザが答え、トゥルキは乾いた笑顔になった。

「ハムザも頭春めき隊員だったのか……竜騎士はなんでこんなんばっかり…。俺とシンは頑張ってマトモな竜騎士をキープしていきましょうね」

春めいてるんだ…俺もラースの可愛さを考えただけで頭が春になっちゃうな。

「じゃあ、ラースの可愛さを知らしめ隊…あはっ…俺はそっちがいいかも」

俺のニヤニヤしながらの独り言にトゥルキが貼り付いた笑顔のまま黙った。

「で?演習が公開されるんですか?一般に?危険ではないのでしょうか」
「んー?モンスターがいると想定してのハリボテ演習になるかもな。まあ、 魔法はガチだけど…それでシンに頼みがある」

トゥルキの質問に答えながらもエリアスが俺に話を移す。頼み?なんだろう?

「演習にヘラクレス号を使いたいんだが…ドラゴンの瞳があればなんとかなるだろう?」

それにはヘラクレス号をドラゴン舎から出さなければいけない。俺の言うことを聞いてくれるには、ヘラクレス号を…。

「その、ドラゴンの瞳があれば、ヘラクレス号は俺と契約できる?前の竜騎士の人との契約は無くせる?」

俺がそう言うと、一斉にみんなの表情が曇る。

「ドラゴンの契約は一度きりなんだ…歴史上、契約した竜騎士を失ったドラゴンは処分されてきた…ただ、ヘラクレス号は強すぎて抵抗が怖くて誰も手を出せなかったし、あいつも大人しいから、そのままドラゴン舎に置いていたんだ」
「じゃあ、俺が何とかしなければいつかは殺されてしまうってこと?」

俺の質問に誰も目を伏せて答えなかった。

「だから、ヘラクレス号がシンに心を開いたのを見て俺は一縷の望みを持った。フィリックスから聞いたがお前はラースに命令をしたことがないらしいじゃないか。でもラースはシンに忠実だ。それをヘラクレス号でもできないかと思ってな」

エリアスが俺の隣に立ってテーブルに手をついて、俺の瞳を覗きこんだ。

「シンにとってドラゴンは相棒で、仲間なんだろ?それって、シンにしかできないことだと思うんだ」

エリアスはそう言って俺の手をとり、俺を連れてレストランを出ようとした。

「エリアス、シンを連れてどこへ?」

フィリックスがエリアスの背中に声をかけた。俺は引っ張られながらフィリックスを見る。

「…これからドラゴンの瞳をシンにつける…これは俺にしかできないから…」

フィリックスに答えたエリアスの片方の耳のピアスが、怪しく輝いた。

























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