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竜騎士になったよ
ドラゴン舎までの途中での受難
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俺はラースと一緒に寝たくてここに来てからずーっとドラゴン舎でラースと眠っている。合宿は一日で終わり、俺はフィリックスに風呂を借りあたと、ドラゴン舎で眠る。
でも、ラースと寝たいのは俺だけじゃないようで、カイザー号とオリオン号も隙あらばラースを奪おうとしてくるんだ。
ラースはどうしたいんだろう。どっちでもいいのなら俺は邪魔者だよなあ。
ある日、フィリックスの部屋で風呂を借りてからドラゴン舎へ向かう途中、数人の騎士に会った。その中に、前にレストランの前で俺にいちゃもんをつけた騎士がいた。ドラゴン舎に忍びこんで大ケガをしたらしいけど復帰したんだな。俺を見て硬直するけれども憎々しげに睨んでくる。
「…何?知り合い?」
周りの仲間が俺見てその騎士にたずねる。
「竜騎士…らしいんだけど、まだ見習いじゃないかな…実戦で会ったことないし」
「へーえ、お高い竜騎士様の仲間か…まだ見習いってことは竜騎士じゃないんだよな」
仲間の一人が俺の手首を掴んだ。
「なかなかいいじゃん、綺麗な顔しやがって」
顎をつかまれそうになったのでその手を振り払うと蹴られた。地面に転がって手を擦りむいてしまう。俺はそいつらを睨み付けた。
「おい…やめとけよ、竜騎士にバレたら殺されるぞ…」
「じゃあ、言えなくしてやればいいんじゃないか?恥ずかしくって竜騎士たちに言えないようなこと」
騎士の1人が俺を嫌な目付きで笑って見た。
「お前それもう病気だろ」
「綺麗な顔がどう歪むかな、竜騎士様」
あはは、と騎士達が嘲るように下卑た笑いを俺に向ける。何だか嫌な雰囲気だ。俺はこんな経験が無くて、恐怖で体が動かない。
そうこうしてる間に俺は地面に押さえつけられて服をはがされていく。抵抗しても口を押さえられていて声が出なかった。
やだやだやだ!
必死に暴れていると、男たちが俺を襲おうとしてきた。さわんなちくしょおおおお!
あれ?何だか腰のあたりが冷たくなってきた。かなりの冷気も漂う。
「なんか、寒くね…?」
騎士達が辺りを見回す。
俺の耳の奥にドラゴンの鳴き声が聞こえてくる。魔剣ルーカス号の声、それは次第に大きくなってきて。
「ギャウ!」
ラースの声がした。ラースが俺のところへ走ってくるのが見えて騎士たちは爆笑した。
「おい、なんだあのチビドラゴン、あんなの連れてても竜騎士になれるのか?見てろ、すぐに倒してやるよ。俺はドラゴン狩りの騎士になれるな」
「やめろ!…やめろっ!ラース来るな!」
俺は笑う騎士達を渾身の力で振り払って腰にあるドラゴンルーカスの魔剣を構える。伝説のドラゴンの小さな手でできたこの短剣を見ても騎士達は大笑いした。
「なんだそれ?何のフィギュアだよ?!どっかのドラゴンの干からびたミイラの手かあ?気持ちわりぃ!」
バカにするのもいい加減にして。度重なる嘲りに俺の頭が沸騰した。
俺は弱いし、体も小さい。だからって何でこんな仕打ちを受けなきゃなんないんだ!俺の怒りを受けてルーカス号の手のひらから凄まじい冷気が男達に刃を向けた。ラースも口から冷気を騎士に向けて吐いた。
瞬時にそこら一面が大吹雪の雪景色に変わる。身を切る冷たい暴風が騎士達に襲いかかり騎士達は全身真っ白なドライアイスのようになった。つららが下がり、声もなく凍りついていく。
「シンーー!!シンっ!」
声がして振り向くとエリアスとフィリックスが走ってくる。二人は目の前で繰り広げられた光景が信じられないような目で周囲を見回す。
「シンお前裸じゃないか…!なんだってそんな…こいつらか!」
目の前で倒れている騎士たちを見て察したらしい。エリアスが呻き声を上げながら意識を失い、震えている騎士の一人の首を掴んだ。彼を引き起こしてすぐに放り投げる。
「っ…こいつら!…シンを襲おうとするなんて許せない」
フィリックスが俺を抱き締めてマントでくるんでくれた。その手が怒りに震えている。
「独りでドラゴン舎に行くのをそこまで危険だと思わなかった俺のせいだ…すまない…」
フィリックスの額がこつん、と俺の額に擦り合う。そして謝ってきた。
「俺も迂闊だった…こんなことになるなんて。まだ王宮に慣れないシンを独りにするんじゃなかった…」
エリアスが唇を噛んでガチギレしている。
違う。俺がラースと離れられないってワガママ言ったから。二人とも俺の部屋で寝ろって反対したのに。部屋だって用意してくれてるのに。
「とにかく、騎士団に話をつける。竜騎士に対してこの無礼な行いは万死に値するということを知らしめてやる…雑魚がイキってんじゃねえ!」
エリアスが転がる騎士の急所を蹴りあげた。パキン、と音が鳴る。
「…あ。」
三人ともその音に動きが止まる。
「…パキン、っていったよ…そこ、絶対折れたよね?」
「折れたな」
「解凍したら…うわぁ考えただけで鳥肌立つな…ラース、他のやつらのそこ踏んどけ」
「ああ。一切容赦しなくていいです」
「ギャウ」
ええ!?エリアス、フィリックス、騎士を心配したと思ったのに…。
その後、怒ったラースがどうしたかはご想像に…。
「行こう。ずっとこんなところにいると体に悪い。ラースも戻るぞ」
エリアスが声をかけ、ラースがついてくる。フィリックスはひょい、と俺をマントにくるんだままお姫様抱っこした。
「今夜から俺の部屋で寝るからな。シン、これは強制だ。わかったな」
フィリックスが怒ってる…。俺に対してではないけれど、黙って頷き、その胸に体を預けた。
でも、ラースと寝たいのは俺だけじゃないようで、カイザー号とオリオン号も隙あらばラースを奪おうとしてくるんだ。
ラースはどうしたいんだろう。どっちでもいいのなら俺は邪魔者だよなあ。
ある日、フィリックスの部屋で風呂を借りてからドラゴン舎へ向かう途中、数人の騎士に会った。その中に、前にレストランの前で俺にいちゃもんをつけた騎士がいた。ドラゴン舎に忍びこんで大ケガをしたらしいけど復帰したんだな。俺を見て硬直するけれども憎々しげに睨んでくる。
「…何?知り合い?」
周りの仲間が俺見てその騎士にたずねる。
「竜騎士…らしいんだけど、まだ見習いじゃないかな…実戦で会ったことないし」
「へーえ、お高い竜騎士様の仲間か…まだ見習いってことは竜騎士じゃないんだよな」
仲間の一人が俺の手首を掴んだ。
「なかなかいいじゃん、綺麗な顔しやがって」
顎をつかまれそうになったのでその手を振り払うと蹴られた。地面に転がって手を擦りむいてしまう。俺はそいつらを睨み付けた。
「おい…やめとけよ、竜騎士にバレたら殺されるぞ…」
「じゃあ、言えなくしてやればいいんじゃないか?恥ずかしくって竜騎士たちに言えないようなこと」
騎士の1人が俺を嫌な目付きで笑って見た。
「お前それもう病気だろ」
「綺麗な顔がどう歪むかな、竜騎士様」
あはは、と騎士達が嘲るように下卑た笑いを俺に向ける。何だか嫌な雰囲気だ。俺はこんな経験が無くて、恐怖で体が動かない。
そうこうしてる間に俺は地面に押さえつけられて服をはがされていく。抵抗しても口を押さえられていて声が出なかった。
やだやだやだ!
必死に暴れていると、男たちが俺を襲おうとしてきた。さわんなちくしょおおおお!
あれ?何だか腰のあたりが冷たくなってきた。かなりの冷気も漂う。
「なんか、寒くね…?」
騎士達が辺りを見回す。
俺の耳の奥にドラゴンの鳴き声が聞こえてくる。魔剣ルーカス号の声、それは次第に大きくなってきて。
「ギャウ!」
ラースの声がした。ラースが俺のところへ走ってくるのが見えて騎士たちは爆笑した。
「おい、なんだあのチビドラゴン、あんなの連れてても竜騎士になれるのか?見てろ、すぐに倒してやるよ。俺はドラゴン狩りの騎士になれるな」
「やめろ!…やめろっ!ラース来るな!」
俺は笑う騎士達を渾身の力で振り払って腰にあるドラゴンルーカスの魔剣を構える。伝説のドラゴンの小さな手でできたこの短剣を見ても騎士達は大笑いした。
「なんだそれ?何のフィギュアだよ?!どっかのドラゴンの干からびたミイラの手かあ?気持ちわりぃ!」
バカにするのもいい加減にして。度重なる嘲りに俺の頭が沸騰した。
俺は弱いし、体も小さい。だからって何でこんな仕打ちを受けなきゃなんないんだ!俺の怒りを受けてルーカス号の手のひらから凄まじい冷気が男達に刃を向けた。ラースも口から冷気を騎士に向けて吐いた。
瞬時にそこら一面が大吹雪の雪景色に変わる。身を切る冷たい暴風が騎士達に襲いかかり騎士達は全身真っ白なドライアイスのようになった。つららが下がり、声もなく凍りついていく。
「シンーー!!シンっ!」
声がして振り向くとエリアスとフィリックスが走ってくる。二人は目の前で繰り広げられた光景が信じられないような目で周囲を見回す。
「シンお前裸じゃないか…!なんだってそんな…こいつらか!」
目の前で倒れている騎士たちを見て察したらしい。エリアスが呻き声を上げながら意識を失い、震えている騎士の一人の首を掴んだ。彼を引き起こしてすぐに放り投げる。
「っ…こいつら!…シンを襲おうとするなんて許せない」
フィリックスが俺を抱き締めてマントでくるんでくれた。その手が怒りに震えている。
「独りでドラゴン舎に行くのをそこまで危険だと思わなかった俺のせいだ…すまない…」
フィリックスの額がこつん、と俺の額に擦り合う。そして謝ってきた。
「俺も迂闊だった…こんなことになるなんて。まだ王宮に慣れないシンを独りにするんじゃなかった…」
エリアスが唇を噛んでガチギレしている。
違う。俺がラースと離れられないってワガママ言ったから。二人とも俺の部屋で寝ろって反対したのに。部屋だって用意してくれてるのに。
「とにかく、騎士団に話をつける。竜騎士に対してこの無礼な行いは万死に値するということを知らしめてやる…雑魚がイキってんじゃねえ!」
エリアスが転がる騎士の急所を蹴りあげた。パキン、と音が鳴る。
「…あ。」
三人ともその音に動きが止まる。
「…パキン、っていったよ…そこ、絶対折れたよね?」
「折れたな」
「解凍したら…うわぁ考えただけで鳥肌立つな…ラース、他のやつらのそこ踏んどけ」
「ああ。一切容赦しなくていいです」
「ギャウ」
ええ!?エリアス、フィリックス、騎士を心配したと思ったのに…。
その後、怒ったラースがどうしたかはご想像に…。
「行こう。ずっとこんなところにいると体に悪い。ラースも戻るぞ」
エリアスが声をかけ、ラースがついてくる。フィリックスはひょい、と俺をマントにくるんだままお姫様抱っこした。
「今夜から俺の部屋で寝るからな。シン、これは強制だ。わかったな」
フィリックスが怒ってる…。俺に対してではないけれど、黙って頷き、その胸に体を預けた。
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