異世界に転生したら竜騎士たちに愛されました

あいえだ

文字の大きさ
上 下
16 / 113
竜騎士になったよ

緑と黄色のペア

しおりを挟む
紫のドラゴン、ヘラクレス号は俺だけが触れることができるので、世話は俺がすることになった。

とにかく立派なドラゴンだ。大きさは黒いカイザー号、赤いオリオン号に次いで三番目に大きい。長い首がとても美しい。まあ、ラースが一番綺麗なんだけどね。

「ヘラクレス号はもう翼も治っている。飛べるのなら飛ばしたいんだが。シン、できるか?」
「でも、竜騎士がいないのに?」

エリアスの提案に俺は尋ねた。

「ヘラクレスは攻撃力が半端なく強いドラゴンなんだ、できることなら再び戦力になってほしい。もし可能なら、シンがラースに乗って、ヘラクレスを連れてほしいんだ」

はあ?俺、ドラゴン二匹連れ?
まさかの話に俺は面食らった。エリアスが俺に近づいて腰を抱いて引き寄せて笑った。

「竜騎士シンの伝説の始まりだ」

うわあ…。俺は口が塞がらない。
嘘が独り歩きし始めた第一歩になるかもー!

「そ、そもそもヘラクレスの竜騎士は何で亡くなったの?」

俺の質問にトゥルキとハムザが真顔になって黙り込んだ。なんでだろう。フィリックスとエリアスも暗い表情だ。

「…任務中、ある遺物に触れて古の魔法にかかってしまって操られ、トゥルキに攻撃してきたんだ…俺たちとし烈な戦いになって…俺たちが殺したも同じだ。ヘラクレスも彼に翼を折られ、うちのドラゴン達が連れて帰ったけれど、それからもうこの通りだ。悲しい事故だった」

ハムザがトゥルキの肩を抱いた。


それはものすごく悲しい出来事だったんだな。

みんながしんみりしているとき、エリアスが空気をクラッシュした。

「と、言うわけで、シンの部屋なんだがな、しばらく俺の部屋に泊めるわ。空いてる部屋、まだなんもないからな」

全員が唖然としてエリアスを見る。

「だったら俺の部屋にしてくださいよ!何故エリアスの部屋にする必要が?」

フィリックスが主張する。

「えー、だってシン可愛いじゃん…今朝も俺の手をずっと握ってたんだぜチョー可愛い」
「俺の手だって握ってましたーエリアスだけじゃない!俺なんて昨夜キスしていい感じになりました!」
「俺はディープキスした仲だぞ」
「体温計っただけでしょう!?舌にどんなセンサーあるんですか!?驚きましたよ」

エリアスとフィリックスの言い合いに俺のどビッチ感がダダ上がりになって、めちゃくちゃ恥ずかしくて顔を覆ってしまう。

黄色のトゥルキがニヤニヤしながら俺を見て、緑のハムザがほお、という表情だ。

エリアスの舌体温計、俺だけじゃなくフィリックスも驚いてたんだ。あれ?フィリックスも唇で計れてたよね?

「あの、ラースは…?俺はラースとずっと寝起きしてたんだけど、ラースと一緒じゃなきゃ嫌だ」
「あ、シンは故郷の家ではラースと一つの特大ベッドで寝てたんです」

フィリックスが俺のわがままな申し出に助け船を出してくれる。俺はフィリックスを感謝の目で見ると、彼が俺の髪を撫でた。

「そうなのか…?シン、ドラゴンと一緒に寝起きとは…ラースはドラゴン舎では無理なのか?」
「ドラゴンと寝たのは昨夜が初めてじゃないかな…昨日は俺がそもそもダメだったもん…きっと寂しがるし俺も寂しい!」

ふうー、とため息をついてエリアスが腕を組んだ。

「一心同体か…シンがドラゴンの気持ちがわかるのもそういう生活から来てるのかもしれんな…わかった」

エリアスがうんうんと頷く。
わかってくれたんだ、ならラースと一緒の部屋を用意してくれるかな?と俺は期待した。

エリアスがドラゴン全員をぐるっと眺めて言った。

「では、竜騎士もしばらくドラゴン舎に泊まろう。みんなで合宿だ!」

エリアスがさも名案!というように笑顔でそう言い、俺はラースといられることに素直に喜んだ。

「俺はかまわない、大丈夫だ」

フィリックスも賛成した。

「はァ?ちょっ…!エリアス、冗談は…」

トゥルキが嘘だと言わんばかりに信じられない顔になって反対する。

「俺は大真面目だぞ。トゥルキ、ドラゴンと寝泊まりなんて外で任務の時いくらでもやってるだろう?もっとわかり合おうぜ!」

エリアスが親指を立てながらの言葉に、トゥルキが黙りこんで反論できなくなってしまった。

突然、ハムザが話し始める。

「エリアス、それは今夜からなのか?今日は俺たちの大切な記念日なんだ。深夜でよければ二人でドラゴン舎に行けるが…」
「ちょ!ハムザっ!」

トゥルキが真っ赤になってハムザの肩をバチコーンと叩く。

「記念日…?じゃあみんなで祝えばいいじゃんか」

首を傾げる俺にフィリックスが赤くなって小声で教えてくれた。

「あの二人はデキてんの…記念日っちゃーあの記念日だろ?二人きりで祝わせてやれ…」



デキてる記念日…。


深夜になる…?




あっ。










































しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

すべてを奪われた英雄は、

さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。 隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。 それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。 すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~

さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。 そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。 姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。 だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。 その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。 女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。 もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。 周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか? 侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

処理中です...