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竜騎士になったよ
緑と黄色のペア
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紫のドラゴン、ヘラクレス号は俺だけが触れることができるので、世話は俺がすることになった。
とにかく立派なドラゴンだ。大きさは黒いカイザー号、赤いオリオン号に次いで三番目に大きい。長い首がとても美しい。まあ、ラースが一番綺麗なんだけどね。
「ヘラクレス号はもう翼も治っている。飛べるのなら飛ばしたいんだが。シン、できるか?」
「でも、竜騎士がいないのに?」
エリアスの提案に俺は尋ねた。
「ヘラクレスは攻撃力が半端なく強いドラゴンなんだ、できることなら再び戦力になってほしい。もし可能なら、シンがラースに乗って、ヘラクレスを連れてほしいんだ」
はあ?俺、ドラゴン二匹連れ?
まさかの話に俺は面食らった。エリアスが俺に近づいて腰を抱いて引き寄せて笑った。
「竜騎士シンの伝説の始まりだ」
うわあ…。俺は口が塞がらない。
嘘が独り歩きし始めた第一歩になるかもー!
「そ、そもそもヘラクレスの竜騎士は何で亡くなったの?」
俺の質問にトゥルキとハムザが真顔になって黙り込んだ。なんでだろう。フィリックスとエリアスも暗い表情だ。
「…任務中、ある遺物に触れて古の魔法にかかってしまって操られ、トゥルキに攻撃してきたんだ…俺たちとし烈な戦いになって…俺たちが殺したも同じだ。ヘラクレスも彼に翼を折られ、うちのドラゴン達が連れて帰ったけれど、それからもうこの通りだ。悲しい事故だった」
ハムザがトゥルキの肩を抱いた。
それはものすごく悲しい出来事だったんだな。
みんながしんみりしているとき、エリアスが空気をクラッシュした。
「と、言うわけで、シンの部屋なんだがな、しばらく俺の部屋に泊めるわ。空いてる部屋、まだなんもないからな」
全員が唖然としてエリアスを見る。
「だったら俺の部屋にしてくださいよ!何故エリアスの部屋にする必要が?」
フィリックスが主張する。
「えー、だってシン可愛いじゃん…今朝も俺の手をずっと握ってたんだぜチョー可愛い」
「俺の手だって握ってましたーエリアスだけじゃない!俺なんて昨夜キスしていい感じになりました!」
「俺はディープキスした仲だぞ」
「体温計っただけでしょう!?舌にどんなセンサーあるんですか!?驚きましたよ」
エリアスとフィリックスの言い合いに俺のどビッチ感がダダ上がりになって、めちゃくちゃ恥ずかしくて顔を覆ってしまう。
黄色のトゥルキがニヤニヤしながら俺を見て、緑のハムザがほお、という表情だ。
エリアスの舌体温計、俺だけじゃなくフィリックスも驚いてたんだ。あれ?フィリックスも唇で計れてたよね?
「あの、ラースは…?俺はラースとずっと寝起きしてたんだけど、ラースと一緒じゃなきゃ嫌だ」
「あ、シンは故郷の家ではラースと一つの特大ベッドで寝てたんです」
フィリックスが俺のわがままな申し出に助け船を出してくれる。俺はフィリックスを感謝の目で見ると、彼が俺の髪を撫でた。
「そうなのか…?シン、ドラゴンと一緒に寝起きとは…ラースはドラゴン舎では無理なのか?」
「ドラゴンと寝たのは昨夜が初めてじゃないかな…昨日は俺がそもそもダメだったもん…きっと寂しがるし俺も寂しい!」
ふうー、とため息をついてエリアスが腕を組んだ。
「一心同体か…シンがドラゴンの気持ちがわかるのもそういう生活から来てるのかもしれんな…わかった」
エリアスがうんうんと頷く。
わかってくれたんだ、ならラースと一緒の部屋を用意してくれるかな?と俺は期待した。
エリアスがドラゴン全員をぐるっと眺めて言った。
「では、竜騎士もしばらくドラゴン舎に泊まろう。みんなで合宿だ!」
エリアスがさも名案!というように笑顔でそう言い、俺はラースといられることに素直に喜んだ。
「俺はかまわない、大丈夫だ」
フィリックスも賛成した。
「はァ?ちょっ…!エリアス、冗談は…」
トゥルキが嘘だと言わんばかりに信じられない顔になって反対する。
「俺は大真面目だぞ。トゥルキ、ドラゴンと寝泊まりなんて外で任務の時いくらでもやってるだろう?もっとわかり合おうぜ!」
エリアスが親指を立てながらの言葉に、トゥルキが黙りこんで反論できなくなってしまった。
突然、ハムザが話し始める。
「エリアス、それは今夜からなのか?今日は俺たちの大切な記念日なんだ。深夜でよければ二人でドラゴン舎に行けるが…」
「ちょ!ハムザっ!」
トゥルキが真っ赤になってハムザの肩をバチコーンと叩く。
「記念日…?じゃあみんなで祝えばいいじゃんか」
首を傾げる俺にフィリックスが赤くなって小声で教えてくれた。
「あの二人はデキてんの…記念日っちゃーあの記念日だろ?二人きりで祝わせてやれ…」
デキてる記念日…。
深夜になる…?
あっ。
とにかく立派なドラゴンだ。大きさは黒いカイザー号、赤いオリオン号に次いで三番目に大きい。長い首がとても美しい。まあ、ラースが一番綺麗なんだけどね。
「ヘラクレス号はもう翼も治っている。飛べるのなら飛ばしたいんだが。シン、できるか?」
「でも、竜騎士がいないのに?」
エリアスの提案に俺は尋ねた。
「ヘラクレスは攻撃力が半端なく強いドラゴンなんだ、できることなら再び戦力になってほしい。もし可能なら、シンがラースに乗って、ヘラクレスを連れてほしいんだ」
はあ?俺、ドラゴン二匹連れ?
まさかの話に俺は面食らった。エリアスが俺に近づいて腰を抱いて引き寄せて笑った。
「竜騎士シンの伝説の始まりだ」
うわあ…。俺は口が塞がらない。
嘘が独り歩きし始めた第一歩になるかもー!
「そ、そもそもヘラクレスの竜騎士は何で亡くなったの?」
俺の質問にトゥルキとハムザが真顔になって黙り込んだ。なんでだろう。フィリックスとエリアスも暗い表情だ。
「…任務中、ある遺物に触れて古の魔法にかかってしまって操られ、トゥルキに攻撃してきたんだ…俺たちとし烈な戦いになって…俺たちが殺したも同じだ。ヘラクレスも彼に翼を折られ、うちのドラゴン達が連れて帰ったけれど、それからもうこの通りだ。悲しい事故だった」
ハムザがトゥルキの肩を抱いた。
それはものすごく悲しい出来事だったんだな。
みんながしんみりしているとき、エリアスが空気をクラッシュした。
「と、言うわけで、シンの部屋なんだがな、しばらく俺の部屋に泊めるわ。空いてる部屋、まだなんもないからな」
全員が唖然としてエリアスを見る。
「だったら俺の部屋にしてくださいよ!何故エリアスの部屋にする必要が?」
フィリックスが主張する。
「えー、だってシン可愛いじゃん…今朝も俺の手をずっと握ってたんだぜチョー可愛い」
「俺の手だって握ってましたーエリアスだけじゃない!俺なんて昨夜キスしていい感じになりました!」
「俺はディープキスした仲だぞ」
「体温計っただけでしょう!?舌にどんなセンサーあるんですか!?驚きましたよ」
エリアスとフィリックスの言い合いに俺のどビッチ感がダダ上がりになって、めちゃくちゃ恥ずかしくて顔を覆ってしまう。
黄色のトゥルキがニヤニヤしながら俺を見て、緑のハムザがほお、という表情だ。
エリアスの舌体温計、俺だけじゃなくフィリックスも驚いてたんだ。あれ?フィリックスも唇で計れてたよね?
「あの、ラースは…?俺はラースとずっと寝起きしてたんだけど、ラースと一緒じゃなきゃ嫌だ」
「あ、シンは故郷の家ではラースと一つの特大ベッドで寝てたんです」
フィリックスが俺のわがままな申し出に助け船を出してくれる。俺はフィリックスを感謝の目で見ると、彼が俺の髪を撫でた。
「そうなのか…?シン、ドラゴンと一緒に寝起きとは…ラースはドラゴン舎では無理なのか?」
「ドラゴンと寝たのは昨夜が初めてじゃないかな…昨日は俺がそもそもダメだったもん…きっと寂しがるし俺も寂しい!」
ふうー、とため息をついてエリアスが腕を組んだ。
「一心同体か…シンがドラゴンの気持ちがわかるのもそういう生活から来てるのかもしれんな…わかった」
エリアスがうんうんと頷く。
わかってくれたんだ、ならラースと一緒の部屋を用意してくれるかな?と俺は期待した。
エリアスがドラゴン全員をぐるっと眺めて言った。
「では、竜騎士もしばらくドラゴン舎に泊まろう。みんなで合宿だ!」
エリアスがさも名案!というように笑顔でそう言い、俺はラースといられることに素直に喜んだ。
「俺はかまわない、大丈夫だ」
フィリックスも賛成した。
「はァ?ちょっ…!エリアス、冗談は…」
トゥルキが嘘だと言わんばかりに信じられない顔になって反対する。
「俺は大真面目だぞ。トゥルキ、ドラゴンと寝泊まりなんて外で任務の時いくらでもやってるだろう?もっとわかり合おうぜ!」
エリアスが親指を立てながらの言葉に、トゥルキが黙りこんで反論できなくなってしまった。
突然、ハムザが話し始める。
「エリアス、それは今夜からなのか?今日は俺たちの大切な記念日なんだ。深夜でよければ二人でドラゴン舎に行けるが…」
「ちょ!ハムザっ!」
トゥルキが真っ赤になってハムザの肩をバチコーンと叩く。
「記念日…?じゃあみんなで祝えばいいじゃんか」
首を傾げる俺にフィリックスが赤くなって小声で教えてくれた。
「あの二人はデキてんの…記念日っちゃーあの記念日だろ?二人きりで祝わせてやれ…」
デキてる記念日…。
深夜になる…?
あっ。
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