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本編
B国
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B国の上を飛んでいて思ったけれど、肥沃な土地が少なめな印象だった。
「連絡によると、ヴォルフ王子が的確な指示と統率力で都市を落としたそうだ。…って言っても国民が自らヴォルフ王子とクレオン王子に都市を明け渡したというほうが濃いな」
「元々国王の支持なんてなかったんだよ、国民はこのチャンスを待ってた、といってもいいんじゃないのか?」
エリアスとダリウスがなんだか難しい話をしている。飛んでいても不思議と会話ができるんだな。無線みたいなもんだろうか?
そして、俺たちはヴォルフの軍と合流することになった。
ある都市の外れにある野営地。多くのテントや兵が見えた。それが一斉に空を見上げ、騒然となった。
それもそのはず、大きな金のドラゴンと黒いドラゴンの二匹が上空に現れたのだから。下はわらわらと黒い点が散るようにせわしなく動き回っている。
しばらく旋回したあと、ドラゴンたちは弊害人だかりを作る中、颯爽と着陸し、優雅に大きな翼を広げてからそれを畳み、ついでに黒いドラゴンカイザーが一声、大きな咆哮を周囲に響かせて威嚇した。
「ふっ…カイザーやりすぎ…イキんなって」
『いや、第一印象は大事だろ。エリアスが舐められないようにしてやってんだろうが』
「へー、そりゃ、ありがとう」
この軽い会話の中に二人の強い絆と友情を感じた。いいな、こういうのって。
「レイ!!!!!」
俺がドラゴンから降りたとき、遠くからヴォルフの声がして振り向いた。
ヴォルフがクレオンを連れて二人で走ってくる。散らばっていた兵達が恭しく道を開けた。
ヴォルフが、がばっと俺を抱き締める。
「よかった…無事だったんだな。…ベンからの手紙は読んだ、頑張ったな」
あぁ、やっぱりヴォルフは優しい。ヴォルフが俺を離すとすぐにクレオンが後ろから俺に抱きついた。
「…すまない」
「え?」
クレオンの謝罪。
それはこの国の者が俺にしでかした事を謝ってるのだろうと思った俺は、ふるふると首を振った。
「クレオンは悪くないよ。現にこうやってヴォルフと行動を共にしてるってことは、つらい決断をしたってことだよね?」
「レイ…」
そうだ。彼は祖国の、同じ一族の連中を敵にまわし、ここにいる。兄も、叔父も。
「クレオンはレジスタンス側についた。…レイ、大変申し訳なかった」
「アル!!!怪我は?」
そこに立っていたのは俺の騎士、アルだ。奴らは彼に怪我を負わせ、俺は拉致された。どうやら怪我は治っているようだ。よかった。
ポン、と俺の頭に手を置いたアルが笑った。
「…にしても派手な登場だな、ドラゴンと竜騎士、それに世界一のトレジャーハンターまで連れてくるなんて」
「ん?…えっ?せ、世界一?」
俺は後ろに立っているダリウスを見た。
「ああ。ダリウスさんは世界一のトレジャーハンターと言われていて、かなりの有名人だ。弟さんは竜騎士で無敵の戦士ともいえる…国内にこれが知れ渡ったら、国民の相当な士気が上がるぞ。国内に散らばってるあちこちのレジスタンスに一斉に反乱ののろしを上げるよう、今すぐ手配しよう。レイ、お前は英雄になるかもな」
アルの言葉に俺は驚いて目を瞬かせる。
英雄?
「連絡によると、ヴォルフ王子が的確な指示と統率力で都市を落としたそうだ。…って言っても国民が自らヴォルフ王子とクレオン王子に都市を明け渡したというほうが濃いな」
「元々国王の支持なんてなかったんだよ、国民はこのチャンスを待ってた、といってもいいんじゃないのか?」
エリアスとダリウスがなんだか難しい話をしている。飛んでいても不思議と会話ができるんだな。無線みたいなもんだろうか?
そして、俺たちはヴォルフの軍と合流することになった。
ある都市の外れにある野営地。多くのテントや兵が見えた。それが一斉に空を見上げ、騒然となった。
それもそのはず、大きな金のドラゴンと黒いドラゴンの二匹が上空に現れたのだから。下はわらわらと黒い点が散るようにせわしなく動き回っている。
しばらく旋回したあと、ドラゴンたちは弊害人だかりを作る中、颯爽と着陸し、優雅に大きな翼を広げてからそれを畳み、ついでに黒いドラゴンカイザーが一声、大きな咆哮を周囲に響かせて威嚇した。
「ふっ…カイザーやりすぎ…イキんなって」
『いや、第一印象は大事だろ。エリアスが舐められないようにしてやってんだろうが』
「へー、そりゃ、ありがとう」
この軽い会話の中に二人の強い絆と友情を感じた。いいな、こういうのって。
「レイ!!!!!」
俺がドラゴンから降りたとき、遠くからヴォルフの声がして振り向いた。
ヴォルフがクレオンを連れて二人で走ってくる。散らばっていた兵達が恭しく道を開けた。
ヴォルフが、がばっと俺を抱き締める。
「よかった…無事だったんだな。…ベンからの手紙は読んだ、頑張ったな」
あぁ、やっぱりヴォルフは優しい。ヴォルフが俺を離すとすぐにクレオンが後ろから俺に抱きついた。
「…すまない」
「え?」
クレオンの謝罪。
それはこの国の者が俺にしでかした事を謝ってるのだろうと思った俺は、ふるふると首を振った。
「クレオンは悪くないよ。現にこうやってヴォルフと行動を共にしてるってことは、つらい決断をしたってことだよね?」
「レイ…」
そうだ。彼は祖国の、同じ一族の連中を敵にまわし、ここにいる。兄も、叔父も。
「クレオンはレジスタンス側についた。…レイ、大変申し訳なかった」
「アル!!!怪我は?」
そこに立っていたのは俺の騎士、アルだ。奴らは彼に怪我を負わせ、俺は拉致された。どうやら怪我は治っているようだ。よかった。
ポン、と俺の頭に手を置いたアルが笑った。
「…にしても派手な登場だな、ドラゴンと竜騎士、それに世界一のトレジャーハンターまで連れてくるなんて」
「ん?…えっ?せ、世界一?」
俺は後ろに立っているダリウスを見た。
「ああ。ダリウスさんは世界一のトレジャーハンターと言われていて、かなりの有名人だ。弟さんは竜騎士で無敵の戦士ともいえる…国内にこれが知れ渡ったら、国民の相当な士気が上がるぞ。国内に散らばってるあちこちのレジスタンスに一斉に反乱ののろしを上げるよう、今すぐ手配しよう。レイ、お前は英雄になるかもな」
アルの言葉に俺は驚いて目を瞬かせる。
英雄?
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