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本編
剣ちゃんと出発
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俺はダリウスからその剣を手に取らせてもらった。
くすくすと笑う可愛い声。間違いない、この剣が笑っているんだ。
「この剣…名前はなんていうの?」
「名前?」
俺の質問にエリアスとダリウスが目を丸くした。うーん、と考えてエリアスが、なにかを思い出している。
「シンは剣ちゃん…とか呼んでるな」
「剣ちゃん、かぁ…君、剣ちゃん、っていうの?可愛いドラゴンさん」
俺は剣に話しかけるとエリアスが驚いた表情になった。
「レイはやっぱり生き物と話ができるというのは本当なんだな。そいつは昔、実在した竜騎士のドラゴンだったんだ。相棒の竜騎士が死んだあと、残されたドラゴンは物に変化して生きている奴もいるんだ。そこの金のドラゴンはそのまま生きることを選んだようだが…。今そいつはたまたまうちのシンのものになってるんだが…。さる王家の秘宝として倉庫にしまわれてたものを貰った」
えっ、王家の秘宝だった…!?そんな大切なものを借りるなんておそれ多いな!
「そいつは魔力がめちゃくちゃ強いが、自分の主をかなり選ぶ気難しい奴だ」
「え、そんなに可愛いのに気難しいの剣ちゃん?!」
そのとたん、剣ちゃんがピクリと何かに反応した。
『可愛い?…ね、可愛いってもっかい言って?』
あの声が頭の中で響く。
「うん、可愛い」
『ふふっ…ありがと。ぼく、強いより心から可愛いって言われるの、すき…。じゃ、レイに力を貸してあげるよ』
「えっ、ほんと!?俺に協力してくれるの!?ありがとう!」
喜ぶ俺にエリアスとダリウスが驚愕した表情になる。
「わかり合うの早っ…すげえなレイって…」
「ああ、それでこの金のドラゴンも堕ちた」
ダリウスが金のドラゴンを見上げ、ドラゴンも満足げに目を細める。
「ほえー…。そりゃー大国の王子落とすなんて容易いわけだ…。すげえな、カイザーどう思う?」
エリアスが自分のドラゴン、カイザーに同意を求める。カイザーは俺を見て笑った。
『レイにはシンと同じ、無自覚小悪魔の香りがプンプンするな…』
「ええ!?無自覚小悪魔って何だよ!」
初めて聞く評価にに俺はムッとしてツッコんだ。
「あぁ…わかる気がする。エリアス、お前もB国に行かないか?最近戦闘がなくて鈍ってるんじゃねえの?」
「ちょ、ダリウスまで!?」
「ふふ、無自覚小悪魔ぴったりだな。戦闘か…当主の命とあらば従うよ?わが一族が、大国であるA国に恩を売る大チャンスだからな…そういう意図か、上手いなダリウス」
クッ、とエリアスが笑いながらダリウスに答えると、ダリウスは金のドラゴンを見上げて爆笑した。
「ちげーよ、野次馬だよ、まず好奇心。な、金のドラゴン!レイにくっついてたら面白そうなことが起こった、それだけ。ま、そろばん弾くのはその後だ。確かに得られるものが大きいのも事実だがな。レイは将来のA国の花嫁だからな」
はっ、花嫁!?俺はベンの顔が浮かび、真っ赤になった。
ベンは今、頑張ってるんだろうな。俺は幸運にも、世界的チートな連中に囲まれ、強くなるチャンスが訪れようとしている。
この期を逃さない。ベンのため。
次に会うときには、ベンにぎゅっと抱き締めてもらってたくさん褒めてもらえるようになるんだ。
俺たち一行は世界の誰もが知る英雄、竜騎士まで手にいれてB国へと旅立った。
あらためて、すごい連中に囲まれているなと怖くなってくる。
おまけに、伝説的なドラゴンの剣ちゃんまでその手にした。
くすくすと笑う可愛い声。間違いない、この剣が笑っているんだ。
「この剣…名前はなんていうの?」
「名前?」
俺の質問にエリアスとダリウスが目を丸くした。うーん、と考えてエリアスが、なにかを思い出している。
「シンは剣ちゃん…とか呼んでるな」
「剣ちゃん、かぁ…君、剣ちゃん、っていうの?可愛いドラゴンさん」
俺は剣に話しかけるとエリアスが驚いた表情になった。
「レイはやっぱり生き物と話ができるというのは本当なんだな。そいつは昔、実在した竜騎士のドラゴンだったんだ。相棒の竜騎士が死んだあと、残されたドラゴンは物に変化して生きている奴もいるんだ。そこの金のドラゴンはそのまま生きることを選んだようだが…。今そいつはたまたまうちのシンのものになってるんだが…。さる王家の秘宝として倉庫にしまわれてたものを貰った」
えっ、王家の秘宝だった…!?そんな大切なものを借りるなんておそれ多いな!
「そいつは魔力がめちゃくちゃ強いが、自分の主をかなり選ぶ気難しい奴だ」
「え、そんなに可愛いのに気難しいの剣ちゃん?!」
そのとたん、剣ちゃんがピクリと何かに反応した。
『可愛い?…ね、可愛いってもっかい言って?』
あの声が頭の中で響く。
「うん、可愛い」
『ふふっ…ありがと。ぼく、強いより心から可愛いって言われるの、すき…。じゃ、レイに力を貸してあげるよ』
「えっ、ほんと!?俺に協力してくれるの!?ありがとう!」
喜ぶ俺にエリアスとダリウスが驚愕した表情になる。
「わかり合うの早っ…すげえなレイって…」
「ああ、それでこの金のドラゴンも堕ちた」
ダリウスが金のドラゴンを見上げ、ドラゴンも満足げに目を細める。
「ほえー…。そりゃー大国の王子落とすなんて容易いわけだ…。すげえな、カイザーどう思う?」
エリアスが自分のドラゴン、カイザーに同意を求める。カイザーは俺を見て笑った。
『レイにはシンと同じ、無自覚小悪魔の香りがプンプンするな…』
「ええ!?無自覚小悪魔って何だよ!」
初めて聞く評価にに俺はムッとしてツッコんだ。
「あぁ…わかる気がする。エリアス、お前もB国に行かないか?最近戦闘がなくて鈍ってるんじゃねえの?」
「ちょ、ダリウスまで!?」
「ふふ、無自覚小悪魔ぴったりだな。戦闘か…当主の命とあらば従うよ?わが一族が、大国であるA国に恩を売る大チャンスだからな…そういう意図か、上手いなダリウス」
クッ、とエリアスが笑いながらダリウスに答えると、ダリウスは金のドラゴンを見上げて爆笑した。
「ちげーよ、野次馬だよ、まず好奇心。な、金のドラゴン!レイにくっついてたら面白そうなことが起こった、それだけ。ま、そろばん弾くのはその後だ。確かに得られるものが大きいのも事実だがな。レイは将来のA国の花嫁だからな」
はっ、花嫁!?俺はベンの顔が浮かび、真っ赤になった。
ベンは今、頑張ってるんだろうな。俺は幸運にも、世界的チートな連中に囲まれ、強くなるチャンスが訪れようとしている。
この期を逃さない。ベンのため。
次に会うときには、ベンにぎゅっと抱き締めてもらってたくさん褒めてもらえるようになるんだ。
俺たち一行は世界の誰もが知る英雄、竜騎士まで手にいれてB国へと旅立った。
あらためて、すごい連中に囲まれているなと怖くなってくる。
おまけに、伝説的なドラゴンの剣ちゃんまでその手にした。
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