71 / 93
本編
あれから一週間たったけど
しおりを挟む
あれから一週間たった。
ダリウスはドラゴンと王宮に営業に行き、周囲の度肝を抜いたらしい。
一流と名高いトレジャーハンターがいきなり現れたのだから。それもドラゴンに乗って。
日付をかなり過去にしたベン直筆の紹介状を持ち、彼らは友達という体で王宮に入り込んだ。
彼らは高位の貴族たちに自分の名刺を配り、どさくさに紛れてシュワルツにも渡しにいってくれたのだった。勿論手渡したのは名刺ではなく、ベンから預かった手紙だ。
それを読むなりシュワルツは国王陛下を呼んだ。そしてダリウスは二人に直に話をしてくれたのだった。
陛下とシュワルツはすぐに軍備を整え、B国との国境に配置するよう手配した。
そして。
ダリウスはベンに戻ってくるようにとの命と、陛下からの書類をたずさえて帰ってきたのだった。
「…」
黙って手紙を読むベンが気になって仕方ない。
「ヴォルフがクレオン王子を連れてB国に行ったそうだ。総ての指揮をとってるそうだ」
「は?なんでクレオン?」
クレオンはB国の第二王子だ。今B国の国王はどういうわけか空席で代理はクレオンの兄だとベンが話してくれた。この兄が最低な奴で、宰相は俺を拉致したあの憎いオッサンだ。
国王になるためにクレオンが俺を狙ってるといったこともあったな…。だけどベンの兄であり、この国の第一王子のヴォルフがついてるから大丈夫だよね。
俺は、ヴォルフがクレオンのことを好きだと推察している。
「おそらくは…父上の指示だ。第一王子のヴォルフがクレオン王子を連れていくことで我が国はクレオン王子を後継として推しているという表明になる」
するとダリウスが口を開いた。
「B国は今レジスタンスが勢力をつけていてな。それが軍備強化の一因でもあるはずだ。内部崩壊しそうな国ほど国民への締め付けもキツいし汚職は蔓延る。おそらくヴォルフ王子はレジスタンスとも連絡を取っているだろうが、つてはあるのかな?」
そうだよな、クレオン王子はレジスタンスと関わりがあるのかどうかわからないし、ヴォルフは彼らから見ると外国人だ。
「…私の部下である騎士アルがレジスタンスと親しくしているそうだ。…皇后関連で国外へ追放同様の憂き目に合っていたときにシュワルツの手引きでレジスタンスに出入りしていたと、この手紙に書いてある…驚いた。根回しがよすぎて声も出ない」
びっくりこきまくり、みたいな顔をしているベンがなんだか可愛くみえて俺はつい笑ってしまった。
それがよかったのかベンもダリウスも表情がほぐれていく。
「役者は揃ったようだな。…では反撃といきますか。俺もいっていいか?めちゃくちゃ面白そう」
ダリウスが笑いながら尋ね、ベンは「勿論、頼らせてもらう」と笑って頷いた。
そうだ。反撃開始だ!
ダリウスはドラゴンと王宮に営業に行き、周囲の度肝を抜いたらしい。
一流と名高いトレジャーハンターがいきなり現れたのだから。それもドラゴンに乗って。
日付をかなり過去にしたベン直筆の紹介状を持ち、彼らは友達という体で王宮に入り込んだ。
彼らは高位の貴族たちに自分の名刺を配り、どさくさに紛れてシュワルツにも渡しにいってくれたのだった。勿論手渡したのは名刺ではなく、ベンから預かった手紙だ。
それを読むなりシュワルツは国王陛下を呼んだ。そしてダリウスは二人に直に話をしてくれたのだった。
陛下とシュワルツはすぐに軍備を整え、B国との国境に配置するよう手配した。
そして。
ダリウスはベンに戻ってくるようにとの命と、陛下からの書類をたずさえて帰ってきたのだった。
「…」
黙って手紙を読むベンが気になって仕方ない。
「ヴォルフがクレオン王子を連れてB国に行ったそうだ。総ての指揮をとってるそうだ」
「は?なんでクレオン?」
クレオンはB国の第二王子だ。今B国の国王はどういうわけか空席で代理はクレオンの兄だとベンが話してくれた。この兄が最低な奴で、宰相は俺を拉致したあの憎いオッサンだ。
国王になるためにクレオンが俺を狙ってるといったこともあったな…。だけどベンの兄であり、この国の第一王子のヴォルフがついてるから大丈夫だよね。
俺は、ヴォルフがクレオンのことを好きだと推察している。
「おそらくは…父上の指示だ。第一王子のヴォルフがクレオン王子を連れていくことで我が国はクレオン王子を後継として推しているという表明になる」
するとダリウスが口を開いた。
「B国は今レジスタンスが勢力をつけていてな。それが軍備強化の一因でもあるはずだ。内部崩壊しそうな国ほど国民への締め付けもキツいし汚職は蔓延る。おそらくヴォルフ王子はレジスタンスとも連絡を取っているだろうが、つてはあるのかな?」
そうだよな、クレオン王子はレジスタンスと関わりがあるのかどうかわからないし、ヴォルフは彼らから見ると外国人だ。
「…私の部下である騎士アルがレジスタンスと親しくしているそうだ。…皇后関連で国外へ追放同様の憂き目に合っていたときにシュワルツの手引きでレジスタンスに出入りしていたと、この手紙に書いてある…驚いた。根回しがよすぎて声も出ない」
びっくりこきまくり、みたいな顔をしているベンがなんだか可愛くみえて俺はつい笑ってしまった。
それがよかったのかベンもダリウスも表情がほぐれていく。
「役者は揃ったようだな。…では反撃といきますか。俺もいっていいか?めちゃくちゃ面白そう」
ダリウスが笑いながら尋ね、ベンは「勿論、頼らせてもらう」と笑って頷いた。
そうだ。反撃開始だ!
92
お気に入りに追加
4,169
あなたにおすすめの小説

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?
下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。
そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。
アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。
公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。
アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。
一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。
これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。
小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位

王様お許しください
nano ひにゃ
BL
魔王様に気に入られる弱小魔物。
気ままに暮らしていた所に突然魔王が城と共に現れ抱かれるようになる。
性描写は予告なく入ります、冒頭からですのでご注意ください。
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる