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本編

会議

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俺はいつの間にか眠ってしまったらしい。あのあとスイッチの入ったベンによって第2ラウンドが始まってしまい、俺はまたかき乱されるわひっくり返されるわで散々にベンを楽しませてしまった。

目覚めるとベンは隣におらず、窓の外は夕暮れのようだ。

でもぐっすり眠れたので体はだるくない。何と言っても愛に満たされた。俺の体はベンによって清められていたけれど、熱いシャワーを浴びた。火照る体はまだベンの感触をおぼえてる。思い出したらまた欲情しそうだ。 

これからどうなっちゃうんだろう。

そんなことを考えながら身支度をして部屋を出た俺は階下のリビングに向かった。

そこでは夕食の匂いがしていた。ダリウスの側の人なんだろうな、数人がキッチンで料理をつくっているのが見えた。

リビングにはダリウスとベンが話をしていた。ゲットが彼の膝に前足を置いてくつろいでいる。

「ん?もう目覚めたのかレイ?…明日の朝まで眠ると思っていたが」

ゲットのヒョウ柄の見事な毛並みを撫でながらベンが俺を見て笑いかける。俺はゲットのいる反対側のベンの隣に腰かける。

「…なんだ、もっとイチャイチャしていいぞ」
「…いや、一応これでも大人なので分別はあるつもりだよ…」
「どの口が…声めちゃくちゃ聞こえてたぞ」

ダリウスが、ぷっ、と吹き出しながら俺を笑う。

「えっ!マジで?うそ!」

俺は即座に立ち上がり真っ赤になって顔を両手で覆った。うそ!俺そんなに絶叫してた?
恥ずかしくて恥ずかしくて仕方がない。ベンは苦笑いだ。

「嘘だよ嘘。そこまで壁を薄く作ってないわ…だが図星か。仲良しだな…結婚はするのか?」

その質問に俺はびくりと反応した。ベンの婚約…が甦る。

「ああ。私はレイと結婚するつもりだ。レイが手に戻ったからにはB国がいかようにしようが邪魔はさせない」
「ベン王子に焦がれる両家の子女や王女が世界中にたくさんいるそうだからな。大国の王子でありその容姿だ…頷けるが」
「政略結婚なぞ絶対にしない」
「ま、レイとお幸せに」
「ああ。ありがとう」

ベンとダリウスはどうも馬が合ったようだ。二人で目配せするようにニヤニヤ笑っている。俺が眠っている間に何の話をしたのだろうか。

「…レイのお陰で依頼が成功したんだ。あの金のドラゴンさえ協力する気になった。生き物と話せるなんて不思議な力だよな…」
「そうだな、私のこの豹のゲットも父上のゼルもレイにはすぐに心を開いた。はじめは信じられなかったが、まさかゲットと話ができるなんて…」

俺の肩を撫でながら反対の手でゲットの喉をかくベンが感心したように笑う。

不意に外が騒がしいのに気がついた俺は、窓辺に近づき外を眺めた。

白い鳥の群れがすぐ隣の湖にたくさんいるのが見えた。

「渡り鳥だ。この季節、ここを棲みかにしている。季節の風物詩みたいなもんだ…そういえばいつもより来るのが少し早いな」

ダリウスがそう言って笑った。でも、俺にはその鳥の話し声が聞こえるんだ。

どうやら鳥たちはB国から来ているようだった。

「…えっ?」

俺は耳を疑った。

俺の理解するところによると、彼らは静かだった棲みかの入り江に突然たくさんの軍艦が現れ、物騒なので早めに旅立った、と。

これは…どういうことだろう。武装をはじめたということか。




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